この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方や高校生の閲覧を固くお断り致します。

争奪イニシアチブ!

2021年丑年記念搾乳ネタ

 ぷるんとした柔らかな曲線にそっと手を這わせると、監督生の喉から甘い声が上がる。いつもよりも大きく見える彼女の乳房はぱんぱんに張っていて、助けを求めるだけあって苦しそうだった。
「痛くない?」
 問いながら、優しく乳房を下から支えるようにして持ち上げ、撫でる。ゆるく首肯する彼女を見ながら、ラギーは乳房を両手で包むように触って、そっと乳首を舐めた。
「んっ♡」
 嬌声があがる。それを合図に控えめに吸い付けば、口の中に唾液とは違う液体が入り込むのが分かった。口内のそれを嚥下し、口を離す。唇を舐めながら彼女の乳房が白く濡れているのを見て、ラギーはほっと息をついた。
「ん。ちゃんと出てくるッス。……じゃあ、痛かったらちゃんと言うんスよ」
「はい……お願いします……」
 熱のこもった息を吐きながらラギーを見つめる彼女に小さく微笑みかけ、ラギーは再び彼女の乳首を口に含んだ。

 オンボロ寮の監督生とラギーが恋人という間柄になって程なく。学年が違うとは言え合同授業や学校行事の準備などで接点もあり、二人は順調に交際を続けていた。
 しかし、ここはナイトレイブンカレッジ。才能ある若者たちだからこそ出てくるトラブルが後を絶たない上、オンボロ寮の監督生はその地位に収まるまでの経緯からして巻き込まれ体質であった。魔法士養成学校であるにもかかわらず一切の魔力を持たない監督生、というのもそれだけでトラブルの元だ。で、あるからして、彼女がこの学園で平穏無事に過ごせる日々が約束されることなど、到底有り得ないことであった。
 昼休み、レオナの財布で昼食を腹に入れたラギーは監督生からのメッセージを受け取った。ラギーのスマホが震える時は限られている。基本的に連絡手段としてしか使わないその画面に目を落としたラギーは息を呑んだ。
『助けてください』
 何の前触れもなく送られてきた文言に、ラギーは僅かに逡巡した。通話ボタンを押すか躊躇い、何が起こっているのかを知るのに場合によっては悪手であることも考慮し、文字を打ち返す。
『監督生くん? 今どこ』
『保健室です』
 直ぐに返信があったのを見てほっと息をついたラギーは、しかし本当にこれは監督生本人からのメッセージなのか僅かに逡巡した。それでも、巻き込まれやすい彼女のことを思えば無視するには不穏な内容を思い、立ち上がる。
「ちょっと野暮用ができたんで抜けますけど……レオナさん、午後の授業ちゃんとでてくださいよ」
「めんどくせえ……」
「次は必修なんスから! 絶対ッスよ!」
「ったく、うるせえ。聞こえてる。分かったからとっとと行け」
 ハエを追い払うような動きの尻尾を見ながら、ラギーはさっと足を速めた。最短ルートを頭の中で考えながら、保健室へ足を向ける。
(それにしてもなんだってそんな所に……)
 彼女がシンプルな文面とはいえ、助けを求めるくらいだ。くだらない内容ではないだろう。通話ではなかったのは声を出せないからなのかもしれない。あるいは、大怪我でもしたのだろうか。誰かに代理でメッセージを送ってもらっている可能性も充分にある。なにせ、オンボロ寮の監督生なので。
 恋人という踏み込んだ間柄になったことはレオナには報告してあり、サバナクロー寮生の多くがラギーと監督生の間柄を知るところとなった今、彼女に手を出すことの意味を軽く考える者は寮内には多くない。
 誰に何をされたのか。ラギーは逸る胸を押さえつけるようにして敷地内を駆けた。
「……監督生くん? 無事ッスか?」
 保健室のドアは軽い。人気が無いのは昼休みだからなのだろうか。保健室は教員のテリトリーであるため、サボりに利用する生徒は皆無だ。本当に必要な者のための場所だし、薬品臭さも相まって不人気スポットでもある。今はそれが幸いだった。
「すみません、ラギー先輩、忙しいのに」
 カーテンの向こうで弱々しい声が響く。ラギーは耳を動かして、彼女のいるのだろう個室を覗き込んだ。
「え……なんスか、それ」
 覗き込んだそこには、枕を少し立てるようにしてヘッドボードに上半身を預ける監督生がいた。ただ、涙目でラギーを見上げてくる彼女の胸元は乱れており、シャツのボタンは腹部まで外され、その下に着用しているキャミソールはデコルテまでたくし上げられ、下着が丸見えになっていた。そしてなにより、はっきりと分かるほど乳房が大きくなっていた。
「誰にされました? ……ってのも気になりますけど、取り敢えず話してもらえます?」
「はい……実は、ある魔法にかかってしまいまして……」
「どんなヤツ?」
「『乳の出が良くなる魔法』……」
「……は?」
「だから、『乳の出が良くなる魔法』です。……家畜とか、保護動物とか、お母さんのおっぱいの出が悪いときとかに使うらしいんですけど……。クラスメイトが図書館でのレポート作成の際に知り得た情報を悪ふざけで友達に当てようとして、その友達が避けたために射線上にいた私に当たってしまったという次第でして」
「……君ってホント、そういうのに巻き込まれちゃうタチなんスね……」
 いっそ哀れみさえ含んだラギーの声に、監督生はため息で返事をした。
「で、そいつらは?」
「ちゃんと先生から罰が出てます。私は……その、胸が張って母乳が出ちゃうけど、一定量出たら収まるものだし、それ以外は問題ないからって言われて……まあ、ここで絞るように言われて。……ただ、えと、そのですね、胸が張って物凄く痛くて……その、上手くできなくて。あんまりにも痛いので、もう自分で触るのも億劫になってしまって……そうなるとさらに胸が張って痛いっていうループにハマってしまいまして」
 サムさんの店には流石に搾乳機が無くて、と溢す監督生に、ラギーはそりゃあそうでしょうね、と返すしかなかった。
「服が乱れてるのは分かりました。誰かに襲われたとかじゃないんスよね?」
 確認のために聞くと、監督生は何度も首を縦に振った。彼女の身が他の男の劣情にさらされたわけではないと分かり、ラギーは安堵の息をつく。
「ひとまず、大事じゃなくて良かったッス。それに……こういうことで他のヤツを頼られた方が嫌なんで。遠慮とかしないでくれて助かります」
「ラギー先輩……ありがとうございます」
「で、要するにオレは君の乳搾りすりゃいいってことッスね?」
 そのものずばり言い切ると、監督生は困ったような顔をしたものの、そうです、と答えた。この内容ならば、いつも一緒にいるオトモダチを頼らなかったのも頷ける。
「自分で触るのも痛い、ね。じゃあ……『いつも通り』、触らせてもらっていい? 勿論、力加減はするッス」
「は、はい。お願いします」
 言うが早いか、ラギーはシャツの脇から手を差し込み、ブラジャーのホックを外した。緩んだそれを優しく上にずらすと、ぴんと硬く勃ちあがった乳首が見えた。ラギーには乳輪まで硬くなっているのが分かるだけに、自然と眉尻が下がる。
「……確かに痛そーッスね」
「その、さっきから自分でも出してみようとは思ったんですけど……痛いのと、その割に全然でてこなくて……」
「それでオレに助けを、ね。りょーかい」
 鼻腔を擽る甘い匂いは彼女の母乳なのだろう。ラギーはばあちゃんと呼び慕う家族が、いつだったか誰かに似たようなことをしていたのを思い出しながら、ベッドへ腰を下ろした。
 彼女の張り詰めた乳房に手を乗せ、力を込めないように、指先で丁寧に乳房を撫でる。片方ずつ、片手で下から支えるようにして乳房を持ち上げながら、脇から乳首へ向かって何度もマッサージを繰り返し、乳輪の近くを押すようにしながら乳首を優しく、優しくつねる。
「っ……」
「これも痛い?」
「はい……でも、大丈夫、です」
 自分でするよりも我慢ができるので、と溢した彼女に、ラギーはふと息をついた。
「流石にヒトの乳搾りなんてしたことないッスけど……昔、ばあちゃんが痛がってる女の人にやってたんで、見よう見まねで悪いけど触りますよ」
「はい」
 お願いします、という監督生の返事を聞きながら、ラギーは乳房に優しく触れ、乳首を指先で挟んでつねるように弄った。無論力加減には細心の注意を払って、だ。
「んっ……」
「あ、出てきた」
 監督生の乳首から、じわ、と白いものが滲み出る。どうやらこれでいいらしいとラギーが息をついたのと、監督生が甘い吐息を滲ませたのは同時だった。
 むくり、と鎌首をもたげたのは悪戯心だ。
「……君、触ると痛いって言ってましたっけ」
 悪い癖だとは思いながらも、抑えるよりも先に口をついて出てきたのはそんな言葉だ。監督生は不思議そうにしながらも首肯を返し、ラギーの口角は更につり上がった。
「じゃ、無事にお乳も出始めたことだし、極力触らないようにしましょうか?」
 言いながら、そっと彼女の乳首を口に含む。迎え入れた口内で優しく先端を舐めてやり、唇で挟んで軽く吸い付くと、監督生の喉からは嬌声が漏れた。
「あっ……♡」
 左右差のある乳首の感度を考慮して、先に敏感な方から口にしたとはいえ、色好い反応に思わず耳が動いてしまったのは仕方が無い。それでも念のため口を離し、ぷつぷつと乳首からこぼれ落ちそうな母乳を舐め取り、彼女の表情を窺う。
「う……ら、ラギー先輩……」
 困ったように眉尻を下げながらも、はっきりと嫌がることもなく抵抗しない様子にラギーはまんざらでもないのだと確信した。
「……痛いよりも気持ちいい方がいいでしょ?」
 囁くようにそう言うと、監督生は引き結んでいた唇を緩めて、お願いしますと小さく返事をした。
「まあでも、いつ誰が入ってくるか分からないんで、声は抑えて」
「はい……」
 もじ、と布団の中に隠れている彼女の足が動く気配がする。性的な快感に彼女の身体が反応しているのだと思うとラギーの気分は上がった。勿論痛みに苦しんでいる彼女を自分の手で楽にしてやれるというのも大事だが、それはそれ。ラギーはこのまま流れで彼女を抱く気などさらさらなかったこともあって、このシチュエーションを多少は楽しむことにしたのだった。

 ちゅ、ちゅ、と殊更に優しく、甘く吸い付くラギーに、監督生の身体は弛緩しきっていた。ただでさえ既に全てをラギーに預け、快楽に耽った仲なのだ。心もさることながら、身体もすっかりとラギーに許して、監督生は与えられる快感に息を震わせていた。
 声を抑えるように言われ、何度も息を繰り返して声を出さないように努める。健気な努力は実っていたが、身体の方はどうしようもないほどラギーを求め始めて、焦れったくて仕方が無い。片方の胸しか弄られていないことも身体の熱を高めるだけ高めて、一向に満たされない要因になっている。
 このまま求められたい、一つになりたいと思う気持ちと、昼日中の学内で性的に興奮しているという状況が嫌でも理性を揺さぶり、互いにぶつかって彼女の口を黙らせる。
 ラギーが監督生の胸を舐め始めて十分ほど経っただろうか。服が濡れないように気を遣ってくれているのか、一滴も溢すまいと丁寧に彼女の母乳を舐める姿を見下ろしながら、監督生はラギーの頭を撫でるように髪をすいた。
「痛かった?」
「いえ、……その、それは大丈夫です……」
 やむにやまれぬ応急処置に過ぎないとは言え、白昼、それも学校でこんな行為に耽っているだなんてと思う気持ちがないわけではない。そしてそんないたたまれない気持ちがあることなど、ラギーにはお見通しだろう。
 けれど監督生の目には、制服のスラックスを押し上げるラギーのペニスがはっきりと見えていた。
「その……ラギー先輩、ここで、します、か?」
 何のための確認なのか、監督生は分からなかった。分からなかったが、何にせよ心の準備はしたいと思った。どういう段取りでこの昼休みを終えるのか、知っておきたい。そうでなければ午後一番の授業をまともに受けられる気がしなかった。
「んー? いや、しないッス」
「へっ」
 あれこれと考えていた監督生は、ラギーの、股間の主張とは相反するのんびりとした声に間抜けな声を上げた。先ほどまで劣情を滲ませていたラギーの顔は形を潜め、どこか優しげな表情が監督生の視界に映る。
「ゴム持ってないんで。それに……今ここでしない方が、次が盛り上がるでしょ?」
 あっさりとした返事の後、にんまりと意地悪そうな顔で笑う。その変化に、監督生は身体の熱をかき混ぜられたような気分になった。ラギーは監督生の表情に気を良くしたのか、相変わらず優しく乳房を撫でながら続ける。
「まあ、オレも男なんでどうしても股間は反応しますけど。今はいいかな。どっちかって言うと……今こうしておけば、本番に落ち着いて対処できそうだなって考えてたッス」
「本番……って、」
「子どもができたら、こういうこともあるかもしれないでしょ」
 いつになく柔らかな表情になるラギーに、監督生は震えた。ラギーの気持ちを疑うわけではないが、改めて言葉にされるとこんなにも嬉しいものなのかと思う。
「まあ、つまるところ予行練習ッスね。……どう? こっちはもう大丈夫そう?」
 少しは張った感じがマシになったと思うけど、と続けるラギーに、監督生は羞恥のために目眩を覚えた。ラギーが後々のことを考えるタイプであることは理解しているが、それはそれとして目先の利益が得られるのであればそれもいただいていく強欲さを持っていることも知っていた。コンドームを持っていないとはいえ、そんなラギーからはっきりとセックスするつもりはないと言われて監督生は動揺していた。一人で身体の熱を持て余し、求めていたことが急に恥ずかしく思われた。
 か細い声でラギーの言葉を肯定する監督生の表情を見て、ラギーの口元がゆがむ。
「……そんなに気持ちよかったんスか? 監督生くんのエッチ♡」
「うっ……! で、でも気持ちよくしてるのはラギー先輩ですし」
「そうッスねえ。痛くなくて何よりッス。……じゃあ、もう片方もいっぱい気持ちよくなりましょうか?」
「ひっ……」
「昼休みが終わるまでに済まさないとお互いマズいッスから。……声、我慢できてるんだし、大丈夫、大丈夫」
 言いながら、ラギーの手つきが幾分か慣れた様子で監督生の乳房に触れる。散々舐めて吸われた方の彼女の乳房は、確かに随分と柔らかさを取り戻していた。愛撫された分だけ痛みよりも淫らな気分の方が勝ってはいるが、それだけにまたしばらく乳房と乳首をたっぷりと刺激されるのかと思うと、全く触れられていない場所が疼く。
「せ、せんぱい、あの……手でし合うのもダメ、ですか?」
「シシシッ……あのねえ、君、そんなあからさまに言ったら交渉になんないでしょーが。ダメに決まってるでしょ」
「うう……自分でするのも……?」
「一人でもっと気持ちよくなろうって言うんスか? オレ、君のためにギンギンになってるちんぽほったらかしにしてこんなに精一杯頑張ってるのに……?」
 それは許さない、とラギーが含ませると、監督生はそれはそうだと思った。そうやって丸め込まれるから目が離せないのだ、とラギーが思っているとはつゆほどにも考えず、ただただ一向に触れられずに欲を持て余しているのはお互い様なのだと納得してしまう。
 その様子を正確に把握したラギーは苦笑を溢した。
「……君が良いなら、胸、痛くします?」
「それは嫌です……!」
「じゃあ、気持ちいい方で我慢してください」
 気持ちいいのが不満なのではない。高まるだけ高まって果てが無いから困っているのだ。監督生は余程そう言いたかったが、どうせそれも見透かされているのだろうと思うと口にするのはなんだか悔しいように思われた。
「終わってもそんな可愛い顔してたら授業出すわけにはいかなくなっちゃうなあ。まあオレは行きますけど」
「どうしろって言うんですか……」
「この触り方でイけるようになるしかないんじゃないッスか」
「ええ……」
 そのうち、服と擦れるだけで胸でイっちゃう身体になったりして。
 耳へそう吹き込まれ、監督生はそれだけで肌が粟立った。社会生活がままならなくなるのはNGです、とかろうじて返せば、ラギーはけたけたと笑った。
「エロい君には合ってると思うけど」
「ラギー先輩がちゃんと触ってくれるなら、えっちな身体でもいいですけど」
 すりすりと、ラギーの指先が優しく監督生の乳首を撫でる。あっという間に母乳で濡れた指を舐めながら、ラギーは目を細めた。
「ふーん。じゃあ、そうなってもらおっか」
 彼の様子を見て、午後の授業は欠席かもな、と監督生が自分が口を滑らせたことを悟るのと、ラギーが優しく乳房に口づけたのは同時だった。

2025/04/18 UP

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