この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方や高校生の閲覧を固くお断り致します。

争奪イニシアチブ!

人間に戻って初めてのxxx

 ラギー先輩は私がサバナクロー寮に近づくのをよしとしない。獣人が多く所属するサバナクロー寮では私たちが恋人同士のやりとりをすると直ぐに誰かしらに気づかれてしまうし、下手をすると乱交になる恐れまであるから、というのがラギー先輩の言い分だ。
 私も十月のマジフト大会の件でサバナクロー生の喧嘩っ早さというか、縄張り意識の強さというか、そういう性質をよくよく理解したので不用意に近づくことはないけれど、それでも先輩の部屋にお邪魔したりしてみたい気持ちはある。
 そんな私の欲求を知ってか知らずか、ラギー先輩は埋め合わせのようにマメにオンボロ寮に来てくれる。それはキスをしたり、顔見知りには見せない、好きな人にだけ見せる顔を見せたりするためだということは、充分に承知している。
 そこに、性交渉が入っていることも、ちゃんと。
「ねえ、ユウくん。……ダメ?」
 バイトも部活も、学園長からのお使いもない、二人揃った珍しい週末。
 夕食後オンボロ寮にやってきて、しれっと自室のベッドの上に乗り上げて、甘い声で私にお伺いを立てるラギー先輩はずるい。私が弱いところを的確に突いてきて、自分の意見を通してくる。
 グリムはといえば、今回はどうもラギー先輩が交渉したようで、先輩と入れ替わるようにして談話室で寛ぐと言ってウキウキで部屋から出て行った。
「ダメでは……ないんですけど……」
 自室には二人で座れるソファがないため、ベッドに腰掛けて話をしていたのが、どうしてこうなった――とは言うものの、ラギー先輩がベッドに寝転がって、私がその隣に身を横たえれば、まあ、そうなるよね。そのままお昼寝が始まったりはしないよね。
「オレ、ちゃんとイイコで待ってたんスけど」
「それは、ええ、はい、そうです」
 私の初体験はハイエナ獣人の姿だった。しかも発情期。
 ノーカウントというにはあまりにもがっつりとセックスした私たちは、その実、私が人間に戻った後まだ一回もセックスをしたことがなかった。
 理由はいくつかある。
 ラギー先輩はそもそも忙しい。私も学園長からの頼まれ事とか、補習とか、日々の生活とか、やることは結構ある方だ。なので、お互いの予定が重なって空くということがまあ無かった。
 それでもラギー先輩はふらっとオンボロ寮に来てくれて、ちょこちょこと恋人同士の時間をくれた。身体を、肌を重ねるほどの時間は……あった、と私は思うけれど、ラギー先輩はそんな短い時間ではだめだったようで、えっちな触り方は何度もされたけれど、最後までされることはなかった。
 そして休みの前の日、やっと都合がついたと思った矢先、私の生理が始まって、それでもラギー先輩はせっせと腹痛に苦しむ私の面倒を見てくれて。
 一週間後に仕切り直し! なんてできるはずもなく、そこから更に二人の予定が空いたのは二週間後だったという経緯がある。
「散々オレの上で腰振って、オレに跨がらせて腰振らせたくせに、今更何を恥じらうっていうんスか」
「は、恥じらうというか、いや私もしたいのは山々なんですが、」
「それにオレ、まだ君の元々の耳……食べてないんスけど。全部くれるって言いましたよね? 今日、食べたいなあ」
「ひゃわあ!」
 ラギー先輩の唇が耳の輪郭をなぞり、舌を這わされているわけでもないのにその柔らかな感触と息にぞわぞわとしたものが背中を駆け回る。
 先輩はそれでも私を解放するつもりはないようだった。これは……逃がす気は無いヤツだな?
 理解するのと同時に、先輩の左手がつつつ、と服の上から私の太ももを撫で上げる。唇で耳を挟まれて、あむあむと食まれる。あまりにも柔らかな感触に、思わずうっとりとしてしまう。
「ああ、そういやクリトリスもそうッスね? ユウくんの毛の中に隠れてる小さいクリトリス、勿論味わっていいんでしょ? 前の時と違って、たーっぷりまるごと舐めてあげる」
 ラギー先輩の声が意地悪く響いた。太ももを撫でていた手は股座に入り込んで、服の上から彼の指が優しく、意地悪く私のクリトリスを探るようにすりすりと動く。
ユウくんのクリトリス、舌先で優しく舐めて可愛がって……おまんこの方は舌全部使って舐め上げて、クンニだけでイってもらいましょうか」
 楽しげな声と股間の快感に、私は腰を揺らして感じてしまった。
 私まだ一言も、嫌だなんて言ってないのに。寧ろ、
「私だって……」
「ん?」
「私だって、楽しみにしてました! でも、あの時と違って発情期でもないし、多分そんなすぐに濡れたりしないし、」
「だから時間取れるまで手出さなかったんじゃないッスか。今更だよなー」
「え、」
 あっけらかんとしたラギー先輩の声に、この狩り上手なハイエナ獣人が、私の躊躇いに対して対策をしてこないはずがなかったなと反省する。
 そうだ、ラギー先輩はそういうところ、ある。分かってたのに。
「最低でも一時間はユウくんの身体、可愛がらせてもらうんで♡」
「えっ、ま、」
「もうたくさん待ったッス。……まだ、待てって言うの? その分は高くつくけど?」
「あう、いえ、……いえ、あの、今回は割と頭ぶっ飛んでないので……や、やさしくしてください……」
「はーい♡」
 にこにこと楽しそうなラギー先輩の顔が近づいて、唇を塞がれる。たっぷりと口の中を愛撫されて、最後の仕上げとばかりにちゅ、と音を立てて離れていく。
「じゃ、いただきまーす♡ 心配しなくても美味しく調理するのはオレがやるから、ユウくんは可愛く鳴いてオレに食べられて?」
 甘い声と蕩けそうな表情に、私は頷く以外できなかった。


 発情期で頭飛んでたなんて嘯くんじゃなかった。
 そんなものなくたってラギー先輩のテクニックは上等すぎた。服は早々に脱がされ、先輩も下着一枚の姿で肌が重なって。
 敏感な部分は徹底してフェザータッチで弄ってくるくせに、思わせぶりに乳房を揉んだり、尻たぶを掴んで、ねっとり触ってくる。キスの感触だけじゃなく、リップノイズやくちゅ、と小さく響く水音、呼吸さえも私の耳に注ぎ込んで、性感を煽ろうと全力を尽くしてくる。それが延々と続くものだから、私の身体と頭は完全に蕩けきっていた。
 仮にラギー先輩が私の発情にあてられて理性が飛んでたとして、そんな人があんな……あんなテクニカルに私を抱けるというのなら、そうじゃない時なんてさもありなん。その上先輩の気質的にちょっと意地悪なところが重なれば、力加減はあの時よりも極上のものになるに決まっている。
「シシシッ……いい反応ッスねぇ」
 ラギー先輩の手つきは自分本位な所なんて全然ないように思える。時折私の内股に股間を擦り付けて、私に意識させてくる。
 なのに、全然膣周辺に触れようとしない。
 明らかに焦らされていることが分かるのに、自分からは恥ずかしくて口にすることができない。発情期だなんて言われて夢中になってたときには、抵抗なんてなかったのに。
 ラギー先輩の名前を呼びながら、もどかしく腰を揺らす。私が何をして欲しいかなんて先輩にはきっとお見通しだろう。けど、何も言わないままで要望通り動いてくれるほど、彼は優しい人ではないことも知っている。
「んー?」
 案の定先輩は間延びした声で、何も察してませんという風を装っている。でもその顔はにんまりと笑っていて、明らかに私の言葉を待っていた。
「……は、やく……食べて、ください……」
 それでも直接的なことを言うのは憚られて、遠回しにそうお願いする。ラギー先輩は間をおいてから、目尻を下げて笑った。
「仰せのままに」
 言うと、先輩は私の肌に何度も吸い付きながら、ずりずりと下半身の方へと身体をずらしていく。そして私が軽く足を広げると、内股にちゅ、と仕上げのように吸い付いた。
「いい子ッスね」
 ちらりと目を合わせてそう言いながらも、もっと足広げて、と指示を出す。それに逆らうという選択肢はない。
 丸見えになった秘部に視線が注がれるのを感じる。恥ずかしがるより先に、ラギー先輩の指先が私の下生えを掻き分けていた。
 すり、と指先が毛に擦れ、肉に触れる。そして、彼の左手だけであっさりと、私の隠されたクリトリスを剥くと、宣言通り舌先でそれを舐めあげた。
「~~っ♡」
 クリトリスから快感が放たれ、きゅん、と下腹部が反応する。自分の指で触るときとは全く違う、柔らかくてぬるりとした舌先の圧迫は決して強いものではないのに、だからこそ甘く響いた。
 ラギー先輩は私の反応を見てか、今度は優しくそろそろと舌先を這わせ、クリトリスを何度も上下に弾くようにこねたかと思うと、敏感な肉ひだに舌全体を擦りつけるようにして下からべろりと舐めると、クリトリスに甘く吸い付いた。
「ふぁ、ああんっ♡」
 それだけでたまらなくなるほどの快楽が押し寄せる。先輩の舌の動きをはっきりと感じて、恥ずかしいのに気持ちよくて。
 ラギー先輩の指先がスリスリと内股を撫でる。舌先がちろちろとクリトリスを優しく撫でて、たまにその舌の動きが大きくなって、肉ひだを掠めながら入り口の浅いところに入りこもうとしてくる。くちゅくちゅと、先輩の唾液と私の愛液が混ざって音を立てるのを、敏感なその肌越しに感じて身悶えた。
「恥ずかしいなら目ぇ瞑ってて良いッスよ。楽にして」
「……ラギー先輩もこっち見ないでくれます?」
「お尻の穴まで見ちまってるのに?」
「あっ、ちょっとぉ……っ♡」
 きわどいところまで親指で触れられて、自然と力が入る。お尻の穴を広げるような動きに上半身を起こそうとした瞬間、ラギー先輩の指がとろとろになっている柔い肉の中に沈んだ。
 同時にその舌が擽るようにクリトリスを押さえつけて、痺れるような甘い快感に力が抜ける。
「あっ、♡ ん、ぁ♡」
 ラギー先輩の指はあっという間にぬめりを帯びて、くちゅくちゅと音を立てて動き始めた。その耳がしきりに動いて、私の反応を聞き逃すまいと集中しているのが見える。
 逃げられない。
「ああんっ♡ だめぇ♡ イッちゃ、うぅ♡♡ あ♡ イく♡♡ イ、くぅうっ♡♡♡」
 敏感な場所を責め立てられて、私ははしたないほど愛液で先輩の指を濡らしながら、あっという間にイってしまった。先輩の指がゆっくりと引き抜かれて、まだひくつくそこがきゅんと疼いた。
「シシシッ……びっしょびしょなのにすげえ糸引いてる」
「言わないでください……」
 喜色の滲む声に懇願する。ラギー先輩はしれっとそれには答えないままコンドームを取り出すと、素早く自分の勃起したものにつけた。くるくると装着されていく手つきは慣れたもので、毎回どこに忍ばせているのかと感心する。
 先輩は私のもので濡れきった手をゴムに絡めるようにしながら何度が扱くと、こっちに目を向けた。
「はぁ……っ、そんな顔で見られたら、我慢できないかも」
「ど、どんな顔ですか」
 ちょっと余裕のなくなったような、切ないような、治安が悪いような顔に煽られつつ、勝手に回る口からポロリと言葉が漏れる。
 ラギー先輩はよっこいしょ、と改めて私の足の間に身体を入れると、その屹立の先を私のぬかるんだ肉に擦り付けた。
「んっ」
「期待でいっぱいで、待ちきれない、って、カオ」
 指よりも遙かに太くて、熱い。それが何度も擦りつけられて、徐々に馴染むようにぬるぬると摩擦が少なくなっていく。そうすると徐々に中へ中へと潜り込み初めて、今度は中が熱を帯びる。
「っ……はぁ……♡」
 ラギー先輩の息が乱れる。それに私の心もかき乱されて、今か今かと中を拓いてくる先輩の肉棒を待ち望む。先輩の読み通りに。
「あ、入って……くる……っ、ん……っ♡」
 ラギー先輩が私で勃起してるのも、躊躇いなく口でしてくれるのも、意識すればするほど恥ずかしくて嬉しい。優しく手加減されてるのが分かって、どうしようもなくまた好きが深くなっていく。
「はぁっ……ん、ぁ、はい、った」
 じんじんと快感の痺れが止まない。中のこりっとしたものを押しのけてラギー先輩のものが収まると、どちらともなくため息が漏れた。
「くっ……ぅ、はぁ、きもち、よすぎ」
 やば、とラギー先輩の切なげな声が落ちてくる。そんな風に言われると、私だって興奮してしまう。
「ね、分かる? すげえぬるぬるして……っ、はぁ……、絡みつく、みてえ」
 途切れ途切れ、震えた声が吐息と共にはらはらと降ってきて、恥ずかしくてきゅう、とラギー先輩を締め付ける。
 しまった、と思った頃には遅かった。
「あっ、く……!♡ だめだ、動く、ッスよ……っ」
「~~っ♡」
 決して激しいわけではないけれど、奥へ奥へと急くように先輩の腰が押しつけられ、艶めかしい動きと快感に目を閉じる。動きに合わせて勝手に漏れ出ていく自分の声が遠くなる。なのに、ラギー先輩の息遣いと声は妙にはっきりと聞こえて、私を追いかけてきた。
「はぁっ♡ すげ、締まる……っ」
 先輩が私で気持ちよくなっている。
 それが嬉しくて、余裕を奪っているのが自分なのが心地よくて。だから、先輩のが自分にとっていいところに当たった瞬間、一際高い嬌声が我慢できなかった。
「あぁっん♡」
 身体の力を無理矢理抜かれたような感覚に、まるで抵抗するみたいにたまらず身体をくねらせる。それを逃げだと見たのか、ラギー先輩が覆い被さって、力強く私の腰を自分の方へと引き寄せた。
「ちゃんと感じてるみたいでなにより……っ」
「あ♡ んぁあんっ♡」
 安心したという口ぶりに反して、身体はまるで私を窘めるかのように容赦なくいいポイントを責めてくる。とんとんと奥を小突きながら首筋を舐め上げられると、ぞくぞくとした感覚が身体を這い回った。
「~~っ♡ それ、だめえ……っ♡」
 声がどこまでも上擦って行く。正直な反応にラギー先輩が手を緩めてくれるはずもなく、私はあっという間に快感の頂きに押し上げられた。
「あんっ♡ あ、イく、いっちゃ……っ、あぁあっ♡」
 発情期の頃に何度も迎えた感覚に、再び溺れていく。強く大きな質量に前後不覚になっていると、ラギー先輩がぎゅっと抱きしめてくれた。
「んっ……♡ オレも、イくっ……っ♡♡」
 強い力のお陰で、その声で、僅かに戻った理性。それを頼りにラギー先輩の身体にしがみつくと、彼の短い尻尾がぷるぷると振られる気配がした。



 私の昂ぶりが落ち着き始めると、ラギー先輩は何くれとなく私の身体のケアを始めた。せっせと世話を焼かれ、労られ。先輩が満足するまでされるがまま。優しい手つきで後戯までしっかりと受けながら、さあ後は寝るだけ……となって、漸く私はおずおずと口を開いた。
「……あの、二回目しなくていいんですか? 無理してません?」
 思い返すも発情期の頃はこんなものではすまなかった。私も満足しなかったし、ラギー先輩も精根尽き果てるまでと言わんばかりに励んでいたのだ。
 よかれと思って口にした私の言葉に、けれど先輩は不服そうに目を眇めた。
「あのねえ、君、オレのことどんなケダモノだと思ってるんスか。それとも、まさか良くなかった?」
「そうは思ってないですけど……ラギー先輩にとっては貴重なお休みですし」
「いーの。ここまでやってセックスでしょ。あと、不満があるとき以外はそういう言葉使わないでくれます? 心臓に悪いんで」
「アッハイ」
 ラギー先輩の拗ねたような口ぶりから、お互いの感覚で『相手が満足していないのでは』状態になっていることに気づき、慌てて大人しく従う意思を示す。そういうつもりはなかったし、多分、先輩もそれを感じてくれているからこれで済んでいる……というのは、ラギー先輩の気持ちを受け止めてから気をつけていることだ。実際、布団の中でしっかり密着して抱きしめられている。こんなに大切にして貰って、ラギー先輩の愛情を疑うなんて不義理はできない。
「あの……」
「ん。何スか」
 まだ少し不服そうにしつつも、話し掛ければ答えてくれる。先輩の唇がむにむにと私の鼻先を挟んできて、実はもうあんまり怒ってないんだと伝えてくれる。
 嬉しくなってキスをねだると、望み通りのとびきり甘いキスの雨が降った。

2025/04/18 UP

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