泡沫
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Theme : V.D.
「……お」
「……邪魔したな」
「おいおい!そんな眼があって直ぐに帰ろうとするなんて無いだろ。ゆっくりしてけって」
「アルフレッドの店じゃないだろう」
「俺、常連だもん。ジューダスこそなんでここに?」
「……マリアから聞いたんだ」
「ヘェ。でも当のマリアは居ないけど?」
「……五月蝿い」
「ああ、そう膨れるなって。良いこと教えてやるからさ。な?」
「……」
*
「おい」
「あ、ジューダス。何処に行ってたの?」
「何処に行こうが僕の勝手だ。それよりも……これをやる」
「え……。あ、これ……指輪と……ネックレス?」
「今日ハイデルベルグは祭の日なんだそうだ。現王の戴冠日を祝う行事で、国民はそれぞれ近しい者にプレゼントや花束、カードと言ったものを手渡して思い思いに過ごす。……ウッドロウは慕われているようだな」
「あ、えと、ジューダスはこれを、私に?」
「……悪いか」
「……ううん、有り難う」
『素直じゃないですねー……。普段身につけて欲しいけど彼女が剣を握る時に邪魔にならないようにネックレスも着けたって言えばいいのに』
「シャル!」
「……ジューダス」
「……なんだ」
「有り難う……。大切にするね」
「……ああ」
*
「あれだなあ、可愛い妹に彼氏が出来た時って、こんな気持ちなのかな」
「……アルフレッド、お前彼女と初めてあった時あれだけ邪見にしておいて……」
「あはは、一歩間違えればロリコンに見えたヴィルヘルム隊長、そこは言わないで下さいよ」
「……お前は本当に良い性格をしてるよ、全く。ああ、手の掛かる息子を持つと苦労する」
「マリアは目に入れても痛くないのに?」
「彼女は私の初恋の人に似て居るんだ。ああ、今彼女は元気にしているだろうか……」
「げ、こんな所で昔話なんて止して下さいよ。男二人なら尚のこと寂しい気分になるじゃないですか」
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