この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方の閲覧を固くお断り致します。

この世で、あなただけが。

「帰ったぞ-」
「おかえり!」
 ゼルが依頼のため遠出をすると聞いて一ヶ月と少し。片道二週間の距離はあまりにも遠いものだったが、無事な姿を見られること以上を望むのは贅沢だ。――想い人が自分の元へ顔を見せるだけでなく、心で結ばれた後ならば、余計に。
 イオは月極のフラットの自室でゼルを出迎えた。
「晩ご飯できてるわよ。お風呂も準備してるけど、どっちがいい?」
 エプロンを外し、玄関口で労いの抱擁をする。頬にキスを受け、照れながらもそう尋ねると急に深く口づけられた。イオを抱く腕の力が強くなり、そのうちの片方が怪しく動き始める。
「んっ……あ、はぁ、む、んちゅ、ふぁ、ぜる、」
「……お前」
「……?」
イオにする」
「あっ」
 尻の丸みに沿ってゼルの手のひらが滑り、服の上から割れ目に沿ってすりすりと指を這わされて、官能を起こされる。
 キスをしながらもイオを見つめるゼルの熱っぽい視線に射貫かれて、イオは目を閉じてその手を受け入れた。既に兆し始めたゼルの欲望を下腹部に感じ、イオの中にも快感の泉が開く。
「ゼル、ベッドに……」
 キスの区切りにそう口にすると、もつれ込むように寝室へと移動した。
 ベッドに押し倒され、ゼルの手が服の裾から直接肌を撫でる。性急な動きだったが、恋しい相手に求められて、イオの性感もまた応じるように高まっていく。
「んっ、あ、あんっ、はげし、」
 弱いところを悉く責められ、身体の奥に火を灯された後では、口に上がってくる言葉は咎めるどころか喜びを表すものへと変わる。イオが膝をすり合わせれば、容赦なくゼルの膝が割り入って邪魔をした。足を閉じられなくなったイオの足が、もどかしそうにゼルの足に絡みつく。
「ゼル、ん、やぁんっ、むね、ばっかり」
「ここでイけそうなくらい良いくせに、よく言うぜ」
「ああっ」
 ちゅう、と乳首を吸い上げられて、イオは仰け反った。
「レビュー見たぞ。今度はもふもふ獣人の所に行ったんだって?」
「あ、」
「番探ししてる狼獣人が相手だったらしいじゃん。年イチの繁殖期に被ったとかで」
「あっあっ、はぅ、ん」
「優しくしてもらって良かったな」
「んんん……っ、あ、ゼル、妬いて、るの」
「そりゃ、こんな噛み痕残されちゃな……」
 はだけた服から覗く素肌には、所々鬱血痕が残されていた。流石に出血はしていないが、狼獣人にとって相手を噛むのは愛情表現の一つだ。インキュバス店のような場所ではそう言った特性に応じた行為――無論取り返しがつかないものでないことが前提だが――を身体に残すことも珍しいことではない。ダゴンの吸盤なども有名だ。
「でも、私が好きなのはっ、あ、ゼル、だけだから、んっ」
 ゼルの手が胸からあちこちへと散らばっていく。上書きするように歯形を丁寧に舐められてイオは身もだえた。かぷかぷと噛まれた場所全てが後になっているわけではないが、ゼルはまるでお見通しだとばかりに吸い付いて、皮膚の弱いところをぺろぺろと舐めていく。
 整えられた下生えを掻き分け、小さくもぷっくりと熟れた肉芽をゼルの舌先が襲う。
「ああぁ……っ!!! あ、きもち、いいっ、もっと、もっとして、」
 あられもない声を上げながら、イオの腰が揺れた。ゼルの頭に添えた手に力がこもり、言葉通り、ゼルの顔を股間へと押しつける。
 歯を当てないようにしながら、ゼルは舌先を陰核に当てたまま、指でイオの媚肉を撫でさすった。谷間に沿うように、何度も往復をして愛液を絡めていく。そして潤んだ肉壷に指を沈めると、柔く温かい肉壁に包まれた。
「はっ、随分とよーく解されたみたいだな? もう二本くらい一気に入れても大丈夫そうだ」
「ああ、あ、あっ」
 中を拡げられ、言葉の合間に中と外を一気に責められ、イオの声が上擦っていく。そして一度絶頂を迎えそうになり、一際高い声で喘いだ瞬間、ゼルの愛撫の手が止まった。
「~~っ、え、なん、でぇ……」
 求めていたものが空振りをして、イオは思わずゼルを詰る。ゼルはゆるゆると刺激を再開しながらも、決してイオが求めるものは渡さなかった。
「イきたいか?」
「ん、イキ、たいっ」
「じゃあ、ちゃんと言わないとな?」
 今やイオ自身よりもずっと上手く彼女の官能を扱うゼルにそう言われると、イオに逆らう術はない。
「ゼルの指でイきたいの……っ、」
「どこだ? 胸か? クリトリス?」
「ちが、わ、私のおまんこ……ゼルの指でもっと、くちゅくちゅ、激しくして、っあ、ああっ、イ、っ!!」
 自ら腰を揺らして懸命に淫らな言葉を口にする。ゼルは言われたとおり彼女の弱いところを責め立てて絶頂させると、ゆっくりと指を引き抜いた。
「どうだ? これでいいか?」
「ん、ん……っ」
 余韻に身体を震わせながら、イオはゼルの声に距離を感じた。これが終われば当然やってくるはずの――ゼルの怒張が準備される気配がない。
「ゼル……?」
「ん?」
「あの、……やだ、最後まで、したい」
「最後までって? イオはちゃんとイけただろ?」
 優しい声色だが、まだゼルが満足していないことに気づき、イオは息をのんだ。
 それから、潤んだ目でゼルを見つめながら、濡れそぼった肉を指で割り開く。真っ赤な蜜壺はひくひくとゼルを誘っていた。
「……ゼルの……世界で一人だけの旦那さまちんぽで、異種族ちんぽいっぱいはめはめされて中イキしちゃう私の悪いおまんこに、おしおきお注射して……?」
 はしたない言葉で先をねだるイオに煽られ、ゼルはいきり立った肉剣を取り出すと、彼女の割れ目に沿わせた。
「ああっ、ぁんっ」
 ぬるぬると擦り合わせ、竿でイオのクリトリスを擦り上げる。
 もどかしそうに彼女の腰が揺れるのを見て、ゼルは唇を舐め、蜜壺へ狙いを定めた。
「想定以上、だな……っ」
 腫れ上がった亀頭がゆっくりと食い込み、最早どちらがどちらを食らっているのか分からない。
「あっあっ、旦那さまちんぽ来ちゃう、エルフちんぽ入っちゃうっ」
 上擦って行くイオの声とともに、肉剣が突き立てられる。
「あぁっ!」
 亀頭が沈み込むと、そのままずるん! と竿が沈んだ。中を強く擦られて、イオはぴんと足先を伸ばした。
「は、ぁ……っこれで正真正銘、生ハメセックスになっちまったな?」
「ん、ふぁ、ぁ、あ!」
 避妊も何もなく繋がっている。興奮するには充分だった。
「お待ちかねのエロエルフちんこはどうだ?」
「あんっ、きもち、いいっ」
 久々の逢瀬に加えて、淫らな言葉が互いの性感を容赦なく煽っていく。
 解してもなお狂おしく絡みつく中のうねりに、ゼルはすぐに呼吸を乱された。
「他所でも生ハメだろうけど、久しぶりの旦那ちんこも味わってくれよ、なっ」
 淫らな女だと優しく責めながら、彼女の好きなところを狙って腰を打ち付ける。ゼルに揺さぶられながら、イオは嬌声を上げて喜んだ。
「ほんとの種漬け子作りセックスは、ぁっ、ゼルとしかしないからぁ……っ」
 容赦なくゼルを締め付ける身体に嘘はない。
「ラブハメいちゃいちゃセックスすきぃ、ゼルとじゃなきゃできないっ、ゼルが好きだからっ、脳まで溶けちゃう、っゼルだけっ、すきなの……!」
 ここまで蕩けたイオの顔を見られるのは、こんな顔をさせられるのは自分だけだと思うと、ゼルの高揚感はいや増した。握り込んだ彼女の手に力を込め、最奥を穿つ。
「あっ、旦那さまちんぽすごいのっ、めろめろになっちゃう、っん! 腰、抜けちゃ、っあ、はぁんっ、いいっ、イくっ、イくぅ、んんん……――っ!!!」
 イオの足がゼルの腰を挟み、びくびくと震えた。ゼルもまた、イオの中が収縮するのに合わせて、快感のままに射精する。
 ふーっ、ふーっ、と息を整えながら、ゼルは腰を引いた。
「あ、だめ、抜いちゃ……ゼルのおちんぽミルク、零れちゃう……」
 切なげなイオの声も聞かず、彼女の足を一つにまとめ、ころりと転がす。測位をとり、後ろから再び昂ぶりを押しつけると、何の抵抗もなく肉棒が飲み込まれた。
「はあぁんっ」
 歓喜に震えるイオを後ろから抱きしめる体勢でつながりながら、ゼルが優しく腰を揺らす。
 絶頂の余韻も冷めやらぬ中、身体の奥の官能を突かれて、イオはまた深い絶頂に背をしならせた。
「ぁああっ……ん、も、きもちいい……っ、あ、またイくっ、ん!」
 ぴくぴくと腰が痙攣する。ゼルが優しく下腹部をさすってやると、クリトリスにまで響いた快感にまたイオの息が乱れる。
「んぁんっ、あ、はぁ、いっ……く、ぅ」
 柔らかな尻たぶがゼルの腰に押しつけるように震える。ゼルは快感に動けないイオの身体をうつ伏せにして、自分もまた繋がったまま彼女の上に覆い被さった。
「こっちの方が、深いとこまで届く、よな?」
「あぁああ……っ」
 自分の身体の下で、イオの足がピンと伸び、ばたつく。何度かスローピストンで様子を見ていると、声を奪われるほど快感に意識を奪われているのが分かった。
 彼女の淫らな蜜壺が、何度もゼルをしゃぶり、吸い上げるように収縮する。
 だが締め上げるようなキツさはなく、ねっとりとした動きだ。ゼルはそれに合わせて、焦れるほどゆっくりと、身長に腰を動かした。
「は、はっ、はぁっ、だめ、っゆっくり、だめだめだめっ……!」
「んでだよ? そんなイきまくって……好き、だろ?」
「あぃ、っく、いく、いくいく、いっちゃっ、――~~っ!」
 耳の近くで囁くと、陸に打ち上げられた魚のようにイオの身体が跳ねた。もがくようにばたつく足もそのままに、ゼルは彼女が逃げられないよう念入りに、二人羽織のようにして彼女の肩を掴んだ。
 その所為で、ゼルの肉棒がより奥まで届く。
「ぁ、」
 か細い声を喉から絞り出したイオは、じわりと奥を突かれて静かに絶頂した。息を詰め、上半身が硬直する。けれどたっぷりと快楽を注ぎ込まれた下半身はぷるぷると震え、まるで別の生き物のようだった。
「……っはぁっ、はぁっ、ぜる、だめ、ほんとに、もうっ」
「そんなこと言うなよ……やらしい俺の新妻をもっと、可愛がらせてくれって。なあ?」
「あ、ん……!」
「いいだろ? お・く・さ・ん」
「んん――っ!」
 どちゅん、と力強く一突きされ、イオは頭を仰け反らせた。ぶるぶると跳ねる身体が、絶頂の深さを示していた。
「ああ、またイった。かわいいな、イオ
 笑み混じりのゼルの甘い声に、イオの頭はぼんやりとして、快楽に涙が滲んでくる。
「零したって惜しくないくらい、たっぷり注いでやるから」
「あ、」
 熱い吐息と共に、囁きが耳を通って頭を貫く。これから来る快楽の嵐を予感して、イオの身体はまたふるりと震えた。



「――……ん……え?」
 ふわっと意識が上昇する感覚に、イオは瞼を開けた。視界には微笑んで彼女を見下ろす見知らぬ男。ひつじのように丸い角を頭の左右に生やしているのをみて、彼女は思い出した。
 ここは夢魔のインキュバス店だ。
「おはようございます、お客様」
「えっ、と、おはよう、ございます」
「夢はいかがでしたか? お楽しみいただいていれば幸いですが」
 幻想的な光に室内が照らされる中、男の長い睫の奥にある不思議な色の瞳がじっと見つめてくる。イオはしどろもどろになりつつも感謝を述べた。
 遠くへ仕事に行くというゼルを見送ったはいいものの、身体が寂しくなってしまい、駆け込んだのがこの店だった。――こういう時ゼル達のレビューは助かる。大体の場合、同じコンセプトの店が女性向けに展開されていることが珍しくないからだ。
 イオの感想に、男は笑顔を浮かべた。
「それはよかったです。ですが……実際の身体はまだ火照っているのではありませんか?」
「え、あ……」
「僕でよければ、あなたの身体を慰めたいのですが……」
 薄着で横になっているイオの身体に、男の昂ぶりが触れる。イオは顔を真っ赤にしたものの、おずおずと頷いた。心は一時満たされたものの、身体は確かに疼いている。
「では、はじめましょうか。あなたに……夢ではなく、本物の官能を捧げましょう」
 しっとりとした声に目を閉じ、イオは男に身を委ねた。

「楽にして……そう、力を抜いて、僕に身を委ねてください」
「あ……んっ」
「恥じらう姿がとてもかわいらしい人ですね……。とても素敵ですよ」
「……っ、やんっ、ぁ、」
「いかがでしたか? 想う人との熱く激しい営み……実際は、こうして別の男に抱かれているわけですが」
「い、わない、でぇ……っ、ぁあっ!」
「ふふ、そんなに締め付けて……興奮なさってるじゃないですか。ほら、あなたを今犯してるのは誰です?」
「む、むま、さんっ、夢魔さんに、だかれ、てる、っ」
「はぁい、そうですね。こんなお店に来て、お金を出して、別の男に抱かれてまで大好きな男性とのえっちを夢見る……ふふ、健気ですね。とっても可愛いですよ」
「あぁんっ、だめ、やらぁ」
「はぁ……っ、想い人に見せつけてやりたいですよ、ほんとうにっ、この、僕の手で抱かれて、愛らしく啼くあなたを……!」
「やぁんっ、そんな、だめ、だめだめっ」
「口で嫌がっても……っ、あなたの身体は興奮していますよねっ? はぁ、はぁっ、いやらしい姿を見られるのを想像して、っ、こんなに、僕を締め付けて……っ」
「あんっ、あっ、あ、あぁっ」
「く、ぅっ、中に、沢山、注いであげます、ね……っう、でるっ……!」
「あっあっ、イ、ちゃ、いくっ ぁああぁぁあ――……っ!」


******


 やってしまった、とイオは我慢出来ずにインキュバス店に入ったことに関して自省していた。身体は満たされたし、ゼルの顔も声も、身体も味わえて後悔も反省もないが、こんなことではこの先が思いやられるというものである。
 風俗へ行くお金も無限ではない。レビューの報酬もいくらか入るとはいえ、あてにするものではないし、レビュー関係なく行くならば尚のことだった。
 夕飯を軽く済ませて、月極のフラットの自室でゆっくりと過ごしていると、ドアがノックされた。
「どなた?」
「ゼルだけど」
「え?!」
 聞き慣れた声がして、迷いなくドアを開ける。確かについ最近夫婦関係になることで合意したエルフの姿に、イオは目を瞬いた。
「よー」
「えっ?! ゼル、随分速かったわね?! 確か片道でも二週間かかるって話だったんじゃ……」
 ゼルを部屋の中へ引き入れてドアを閉めながら、ゼルの姿を追いかける。
「それが、ちょっと伝手ができて輸送隊ギルドのランクが上がったんだよな。ほれ、この通り。Aランク」
「Aランク?!」
 ぎょっとするイオに、ほら、とゼルが指輪を見せた。Aランクの証明品は輸送隊ギルドから発行され、持っていれば移動手段や方法に大幅な優待が受けられるものだ。シンプルながらも発行には莫大な金が掛かっていると聞く。人生で実際に目にすることがあるとは、とイオは感嘆した。
 ゼルやスタンク達の腕前は周知の事実だが、腕っ節が強いだけで輸送隊のランクは決まらない。貢献度や顔の広さなど、様々な条件を加味して判断される。――ゼルは『伝手』だと言ったが、権力者や影響力の強い人物に認められることも重要な要素だ。
 惚れた男がより一層凄くなってしまった、と言葉もないイオに、ゼルは話を切り上げた。
「そんなことはいいんだよ。イオ、お前昨日夢魔の店に行ったろ」
「はっ、え、なんで?! まだレビュー出してな……」
「やっぱりか! 変な夢見るからおかしいと思ったぜ……!」
 頭をかくゼルに、イオはどういうことかと首を傾げる。
 曰く、夢魔の見せる夢に親しいものが出てくると、相手の夢にも影響することがあるのだという。レベルの高い精神系術師なら『繋がり』を感じるだけでなく、そこを辿って夢魔の夢の中へも干渉できる――つまり夢魔の見せる夢で願望を果たすことができない――こともあるのだとか。
 ゼルも何らかの理由で分かったらしい。どちらかと言えば前者の理由だろう。ならば、
「ち、ちなみにゼルの夢に出てきた私はなにを……?」
 きっと、彼の夢の中であれこれと卑猥なことを言うかやるかしたということになる。
 ゼルの機嫌を伺うようなイオの目線に、ゼルは目を眇めた。
「知りたいか? だったら……そうだな、今から二人で再現といくか」
「あっ、ちょっと」
 悪い顔でにやりと笑ったゼルにあっという間に部屋に連れ込まれ、ベッドへ押し倒される。
「夫婦のいちゃいちゃらぶらぶセックスだったっけ。存分に楽しんでもらわねーとな?」
「……!!!」
「風呂より晩飯より、お・ま・え……ってやつ」
 言うや否や、ゼルが深く口づける。イオの抵抗などあってないようなもので、キスだけで腰砕けにされたイオがそのまま流され、夢魔の店で味わったようにいやらしい言葉を復唱させられた挙句、お仕置きのお注射をハメハメされることになったのは言うまでもなかった。


 濃厚な時間を過ごした後でも、朝は変わらずにやってくる。
 レースカーテン越しに差し込む朗らかな日差しに、イオは自然と目を覚ました。心と身体が満たされた感覚に、自然と口角が上がる。
「……イオ
「あ、ゼル。おはよう」
「はよ」
 折角一夜を共にしたのだから朝食を用意しようとベッドから出ようとした彼女を引き戻したのはゼルの腕だった。いつぞやとは異なり、意識のあるゼルの腕を振りほどくことは困難で、イオは不埒な動きを見せる手に身をよじる。
「やっ、ゼル、朝ご飯、つくる、から」
「夫婦のいちゃいちゃセックスっていったら、昼前までしっぽりだろ?」
「だって昨日、晩ご飯も食べてないん、じゃ、っ」
「後でいいって……今はお前が食いたい」
「なに、いっ……ん、だめ、だったら……っ、ぁ、……ゆび、だめ、」
「そっちこそ寂しかったくせに」
「あっ、あんっ……! それ、と、これ、とは、っ、ちが、」
「ん……はは、すげえ、俺が出したヤツどんどん出てくる」
「っぁ、あ、はぁ……んっ!」
 ちゅくちゅくとかき混ぜられ、昨夜の熱がぶり返していく。百戦錬磨の指先に叶うはずもなく、布団を退かしながらゼルがイオの身体に被さって、動きを封じた。うなじを舐め上げられ、イオはいよいよ腰が抜けてしまう。
「やぁんっ、あ、こんな、明るい、とこ、で」
「はー……、朝日で肌が眩しいな……絶景だ……」
「もうっ、ぜ、る、っうぁ、はずか、し」
 潤んだ肉にゼルの熱く硬いものが擦り付けられ、入ってくる。すっかりその気にさせられた身体は、それだけで歓喜に震えた。
「ああっ……」
「ん、はぁ、……きもちい……っ」
「あっあっ、やぁんっ」
「顔隠すなよ」
「だって……その、んっ、好きな相手、だし……っ、あなた、かっこいいんだもの……。は、恥ずかしくて」
「そんなこと言うの、お前くらいだけどな」
 素直に乱れる身体とは裏腹に、酒も薬も入っていない頭では理性がしっかりと働いていた。日の光が部屋の中を優しく照らしていることも、イオの理性を起こすのに一役買っている。
 ゼルがキスで宥めすかして目を合わせると、イオの顔はより赤くなった。
「や、やっぱり恥ずかし、んぅ、っ」
 下がりそうになっていた手をイオが再び引き上げる。ゼルはそれを両手で開かせて、ベッドへ縫い止めた。
「やっ……顔、見ないで……」
「俺は見たい」
 思わず顔を逸らしたイオを追いかけて、ゼルが耳元で囁く。イオの肩が跳ねた。真っ赤に染まった顔の中に期待の色が滲んでいる。ゼルは口角を上げた。
「いつまで経っても俺の奥さんはウブくてやらしくて可愛いな……っと、はは、そんな締め付けんな、よっ」
「ふぁあぁんっ」
 昨夜の名残に手伝われ、柔らかく解されたイオの媚肉がそれを締め付け、あっという間に官能が布団の中を支配する。激しいストロークにベッドが悲鳴を上げた。
イオ……っはぁ、イオイオっ」
「あっあっ、あんっ、はげし、あ、ゼル、ゼル……っ、い、くぅ、――~~っ!!!」
 見つめ合ったまま下肢をぶるぶると震わせ、イオがゼルの腰を足で挟み込む。その力と強張りに連動して彼女の中はゼルの肉剣を啜り、中にある子種を吸い出そうと収縮した。
「うぁっ、は、ぁっ、イくっ……!!」
 イオの中の動きに抗わず、ゼルもまた腰を擦り付けるようにして吐精した。快感が腰を貫き、本能のままねっとりと腰を揺らして最奥に注ぎ込む。ゼルの動きに合わせてイオの身体が淫らに反応するのを見下ろして、ゼルはようやく満足げに息をついた。
「かわいいイキ顔」
「……!」
「怒んなって。持ってかれるくらいかわいかったんだから」
 軽口の中に甘さが滲む。情事の余韻が色濃く残るゼルの目に、イオは逃げ場もなく目を閉じた。ゼルの唇が重なり、羞恥が喜びで霧散する。何度も繰り返されるキスの合間に甘い言葉を囁かれて、許しの言葉を叫ぶしかなかった。


 昼も正午を過ぎ、イオはようやくベッドから出ることを許された。あの手この手で性感を煽ってくるゼルにどうにか空腹を訴えて、脱がされた昨日のシャツとショーツだけ身につける。身体を清めていないことよりも恥じらいが勝った。
 壁面に備え付けられたコンロとシンク、調理台から、少し離れてこぢんまりとしたダイニングテーブルが置かれている。イオは調理台の前に、ゼルはダイニングテーブルに腰掛けながら彼女の後ろ姿をニマニマと眺めていた。
「台所に立つ奥さんのえろい後ろ姿っていいよな」
「……そういうのって、エルフでも思うものなの?」
「さあ? 少なくとも俺は思う」
 暢気な言葉にやれやれと肩をすくめ、エプロンを身につける。昨日夕飯に準備していた温かいキノコと野菜のスープを温めようと火にかけ、それとは別に卵とベーコンをフライパンに落とし、じっくりと火を入れる。
 誰かのために料理をするのは悪くない、と、気づけば鼻歌が出そうなほど気分は高揚していた。たっぷりと愛を交わし、心が満たされているというのもあるかもしれない。
 そんな風にイオが思えたのも、長くは続かなかった。
「っ、ちょっと、ゼル?」
 そっと彼女の後ろにゼルが忍び寄ったかと思うと、イオのショーツの上から、すり、とその手が怪しく尻の丸みに沿って這わされたからである。
「俺のことは気にしなくていいから」
「気にしないでいられるわけ……! っ、だ、だめだったら、ちょっとっ、やだぁ……っ、だめ、ゆび、もうっ、」
 両手で尻たぶを揉まれたかと思うと、指先がショーツ越しに散々愛された場所へ食い込んでいく。火を使っているのだからと諫めようとしても、説得力の無い甘い声が鼻から抜けていき、イオはどうにかゼルの手を退かそうと奮闘した。
 しかし、あらゆる意味でゼルの腕前は一流で、力を込める前にいいところを擦られて、カクカクと腰が揺れる。咄嗟に調理台に手をつくも、結果的に腰をゼルの方へ突き出すような姿勢になってしまい、腰を抱かれてしまった。
「なあ、もうちょっとだけしようぜ」
「だって、せっかくいま、っ、ご、はん、つくって、あんっ」
「お前の方が美味そうなんだもん」
「だもん、じゃ、ない、っ、たらぁ……! あっ、そんな、かわい、くっ、……言ったって、だめ、なんだから、」
 ゼルの片手がエプロンの脇からシャツの下へ潜り、胸の丸みを撫でさする。
「んんっ、……はぁっ……だ、……めぇ……」
「火はほら、消しとくから」
「そういう、ぁ、もんだいじゃ、はぁ……ん……」
 イオの言葉は尻すぼみになって、抵抗する力があっという間に弱くなっていく。抗議の言葉はどんどん頼りないものになり、身体はゼルの手を受け入れ始め、じっと感じるばかりになっているのには気づいていないのだろう。
 ゼルはそんな彼女に殊更優しく囁いた。
「悪ィって……後でいくらでも怒られるから、な……? イオ、したい」
「あぅ……も、ずるい……」
 ショーツをずり下げるゼルの手を、もうイオは止めなかった。押され慣れていないのもあるだろうが、そもそもゼルを突っぱねるという選択肢が基本的にイオにはない。
 膝までゼルの手で下ろされたショーツは、朝まで愛し合った証左で重く濡れ、重力に任せて床へ落ちる。ゼルに片足を高く担がれて、イオは調理台に身を寄せて身体を支えた。
 未だ潤んで赤く花開く場所へ、いつまでも衰えないゼルの屹立が差し込まれる。途端、甘やかな嬌声と水音、そして肌を打ち付け合う音が重なり始めた。
 ――夫婦のいちゃいちゃらぶらぶセックスがいつ終わったのかは、二人しか知らない。

2025/12/11 UP

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