この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方や高校生の閲覧を固くお断り致します。
エッチな兄さんいい18禁の日(後)
結局ノボリさんの趣味とやらで、ネクタイは目ではなく、頭の上で束ねられた両手首の拘束に使われた。「痛いようでしたらすぐおっしゃってくださいまし」と優しく口付けられ、されるがままになったのは、少なからず私もそれを期待しているからだろう。
そのままノボリさんは私の手首に彼のそれを重ねて、やっぱり優しくソファに縫い止めた。
どきどきと早くなっていく鼓動は、期待と、興奮と。見上げるノボリさんのワイシャツのボタンはすでにいくつか緩められていて、そこから見える浮き上がった鎖骨の太さに腰がうずいた。
「――何をお考えですか?」
「あっ」
目線がさ迷い、どうしていいか分からなくなっていると、ノボリさんの舌が首筋をたどり、まさしく今私が見ていた鎖骨をねっとりと舐めあげた。舌が引っ込む間際、ちゅうと強く吸い付かれて、腰が浮く。どこか心許ないのは、いつもと違って脇を締めてないからだと気付いた。
「の、ノボリさん……」
「そうして欲しそうになさっているものとお見受けしましたが」
意地悪く、珍しくはっきりと口元を吊り上げてノボリさんが笑う。……見てたの、ばれてる。
恥ずかしくて目をそらせば、首筋を彼にさし出すような形になって、すかさずそこに舌が這った。
肩をすくめることも出来ず、ただされるがまま蹂躙される。身体が跳ねるのは抵抗ではなくもどかしさからで、たまらず足をこすり合わせた。
「今日はいつになくわたくしを煽るのがお上手ですね」
「そ、んな、こと」
「ない、と?」
髪をかき分けられ、耳の中まで舌が入ってくる。
「っ、や、汚い、っぁ、は、ああ!」
わざと音を立てて舐められて、ノボリさんの息遣いと共に耳の中に響いたそれはすぐさま脳を巡った。ぞわぞわと、身体を這う快感が頭蓋骨の中でもいやらしく蠢くような感覚。
ちゅっ、ぴちゃ、ぬちゅ、くちゅ、と、いつもノボリさんの指で中を触られたときのような音が、もっと近いところで聞こえる。腰が浮いて揺れるのを、やんわりと窘めるように彼の腰で押さえつけられた。
「やぁ……、ぁん」
器用に私の両足を割って入ってきたノボリさんの右足にすり寄れば、まだですよ、と笑みと一緒に優しい声が耳を撫でる。
彼の右手が背中に回り、それを手伝うように背中を反ると、そのまま丁寧に下着ごと上着をたくし上げられた。部屋の空気にさらされて、知らず身体が総毛立つ。
「寒いですか?」
「少し、だけ」
答えると、ノボリさんは片手だけでぷちぷちと自分のワイシャツのボタンを外して、私にぴったりと寄り添うように身を寄せた。あったかい。
彼のおでこの生え際にキスをしようかと思っていると、ノボリさんは一旦両手で私の身体を抱きかかえると、一度ソファに座って、それからごろんと、今度はノボリさんが下になるように寝そべった。当然、かかえられた私はその胸板に乗っかることになる。
拘束されたままの両手もそのままに、何とかソファから落ちないようにとノボリさんにまたがるべく足を開いたため、べしゃりとみっともなく、彼の胸に突っ伏してしまった。
「む、ぅ」
胸がこすれて、……その、さっきまでの愛撫で感じ始めた乳首から、ぴりりと痛いくらいの刺激が走った。
「っ、」
思わず彼の胸板から距離を取って背を丸めるけれど、またすぐ腰を押さえつけられ、今度は自由になった両手が、私の下肢を好き勝手に触り始めた。
前に深いスリットの入ったデニムのスカートはあっさり引き上げられて、ノボリさんの左手は思い切り私のお尻を揉みしだいて楽しそうだ。右手は腰に回っていたけれど、大きな円を描くようにしながら徐々に下がってゆき、私の左足を堪能している様子だった。
「…っ、ん、…ぁ……ぁ、ぁあ、んっ」
からかうような、けれど確かに私に欲情している手つきに、早く触れてほしいと秘部がねだる。身体を揺らすと、ノボリさんの肌と乳首がこすれてそれもまた気持ちよくて、ノボリさんの視線から逃げるようにして、その胸に顔をうずめて、彼の手と快感に意識を向けた。
「んん、……ふ…ぁ、はん…」
甘えるような声が止まらない。もじもじと動くと、時折ノボリさんの固くなった部分に触れて、彼の切なそうなため息が聞こえた。それが更に行為の先を望む身体の動きを早めて、彼を誘うように下腹部を擦り付ければ彼も応えるようにして足を動かした。
「っ、あんっ!」
「……ん、もう少し上がって来ていただけますか?」
きゅん、と入り口が期待に震えて、息が荒くなる。言われるがまま身体ごと動かしてノボリさんの顔との距離を詰めると、そのまま鼻先にキスをした。おっかなびっくり目を閉じたノボリさんに、可愛いなあと思う。口には出さない代わりにくすっと笑えば、彼は照れたようにはにかんだ。
「困りましたね……わたくし、元よりあまり我慢のきかないことはあなたさまもご存知でしょう?」
「……我慢しないで下さいって言ったら、どうします?」
全く困ったような顔じゃないけれど、ノボリさんは本当にそう思っているんだろう。手首をひねって、突っぱねるようにして距離をとると、どこか、バトルの時に見せる空気を感じた。いや、それよりも遥かに淫靡で、私を食らいつくそうとしてるような。
ぞわぞわと皮膚を撫でるものの正体を判断するより先に、ノボリさんは首から上を起こして、噛みつくようにキスをしてきた。
「う、っむ、ぐ」
それでも歯が当たらないのは彼の手腕だ。大きな口は私の口をすっぽり覆ってしまう。熱い舌が私の唇を舐めて、びくりとした拍子に開いたのを彼が逃すはずもない。舌同士が絡み合い、未だに慣れないそれに翻弄される。唾液はすぐに溢れだして、飲み込む間もなく彼の顔を汚してしまった。
「んっ、のぼ、り、ぁ、」
にもかかわらず、ノボリさんの口づけは止まる気配がない。頭を引こうとする私を追いかけ、彼はいつのまにか両肘で身体を支え、上半身まで少し起こしていた。私が彼の胸板を押しながら離れようとしていたから、辛かったんだろう、ノボリさんは私の頭を素早く抱いて、力尽きたようにぽすんとソファの肘掛けに頭を戻した。
「はぁ、この体勢でよかった。いよいよ頭が沸くところでした」
言いながら、彼は腕を緩めて、私の顔にバードキスを繰り返す。それを受け止めながら、私は努めて冷静に言葉を返した。
「ん、それでもよかったのに」
「いいえ、本日はわたくしがいかに俗な男か知っていただくいい機会でございましょう」
ぺろ、と赤い舌が唾液で汚れた口回りを舐めるのを見て、ほう、と息が漏れた。のも束の間、ノボリさんの右手が下着の上からお尻の割れ目に触れて私は腰をくねらせた。
尾てい骨や内腿を丁寧に愛撫しながら、ノボリさんはそれ以上奥に来てくれない。もどかしくて自分から彼の手を追いかけても、駄々っ子をあやすような手つきでお尻を撫でられるだけだった。
「ノボリさん……ん、もっと…」
奥に。
焦れったくなって遂にそう口にすると、ノボリさんは白々しく苦笑をもらした。
「申し訳ありませんが、わたくしの手を追いかけてそうお下がりになられては、これ以上どうすることも」
ほんとはノボリさんだってそう余裕はないはずなのに、手が届かないからなんてよく言えたものだ。
悔しいけれど、それ以上に早く触って欲しくて、私は彼の望み通り、身体を彼の顔の方へと引き上げた。はだけた胸にキスをして、彼がしたように少し強く吸い付く。けれど、キスマークなんかこれっぽっちもついてなくて、意外と思いきりやらないとダメなのかと驚いた。
今度はもっと強くしてみようと加減もせず思いきりノボリさんの肌を吸い上げると、ようやっとそこに痣ができた。
なんだか嬉しくて、同じ場所に二度、三度とキスを繰り返していると、お尻に置かれていたノボリさんの指先が、器用に下着を押し退けて、私が触れて欲しくて仕方がなかったそこへと来てくれた。
「ぁあん!」
気持ちよくて、嬉しくて、否応なしに声が出る。ノボリさんの指は濡れ始めていたその入り口を揉みほぐすように数回、ぐりぐりと圧迫してくる。はやく、はやく。彼を見上げると――私が上なんだから見下ろすのが正しいか――ノボリさんは視線でさえ私を愛撫しながら一度手を離して、今度は私の前から手を差し込んで、中指で入り口付近を優しくかき回した。
「っは! あ、はぁああっ」
彼の指が私の愛液で濡れていく。見えなくても、ぬるぬると滑りがよくなるそれを感じれば嫌でもよくわかった。
「今日は一段とよく濡れておいでですね……」
「あっ、ん……だ、って、ぇ……の、ぼりさ、ぁっ…触って、くれない、か、らぁ」
指を浅く出し入れされ、そこから来る快感を逃すまいと身体をくねらせる。ひくひくと中が反応してる。もっといっぱい、気持ちよくしてほしい。
懸命に指先の動きに応えようとしていると、徐々にノボリさんの指も私の反応を見るものから、積極的に刺激を与えようとするそれに変わる。一本だった指が二本に増え、更に私の愛液で濡れた親指の腹で皮の上からクリトリスを押さえつけられた。
「っあ! そ、れっ、…だ、めえ!!」
思わず思いきり上体を反らすと、下から入れられたノボリさんの手は私と彼の身体に挟まって動けなくなる。それはそれでイイところに当たって声が漏れたのだけど、すぐ物足りなさを感じた私はノボリさんの胸の上にぺったりと上半身をくっつけて、お尻を持ち上げるようにして続きをねだった。身体を彼の方に寄せたから、縛られた手が邪魔でしかたがない。けれどほどくよりも構って欲しくて、私は彼が頭をのせている肘掛けに両肘をのせた。調度、彼の頭を挟むように。これで、邪魔じゃない。
殆ど触れ合うような距離。唇を重ねる。離れても、お互いの呼吸を肌で感じられる範囲で収まってしまう程度の。
じっと言葉もなく見つめあう。どきどきして、ノボリさんのアッシュの瞳にただ目を奪われていると――
「……ふぁ! ぁあっ」
急にゆるく指を動かされて、瞬間、腰から力が抜けた。顎を引いて震えていると、額に柔らかい感触。キスだ、とわかった直後、指の動きが激しくなった。
「っや、ぁあ! だめ、あ、あんっ、んっ、ぁ、は、は、んっ!」
くちゅ、ぐち、とぎこちなかった水音が、徐々にびちゃびちゃとしたものに変わる。
力が抜けて、ノボリさんの顔に当たらないようにして、その肩口に顔を埋める。
「ああんっ! やっ、だめえっ! あ、ふぁっ」
「だめ、ではないでしょう?」
「っ、だ、って! も、ぉっ、…ぃ、っちゃ、う!」
「構いませんよ」
ノボリさんの声が、息が近い。それは彼も同じで、私の声に興奮してくれたのか、さっきよりも余裕はなさそうだった。
「んっ、んっ、あっ、は、あ、ぁああっ!!」
中が膨らんで、くぽくぽとノボリさんの指が空をかく。それも束の間、きゅううと収縮して、一気にかけ上がるような感覚に抗うこともなく身体が強張った。
「――あっ?」
けれど、上りきる直前指を引き抜かれて、私は切なくなって彼を見た。
「ど、して」
急速に萎んでいく熱の代わりに涙が出そうになる。それをキスで吸い取って、ノボリさんは黙って身を起こした。当然、その上に乗っていた私ごと。ずるりと身体が落ちて、ノボリさんの固くて熱いものが内腿に当たる。……それだけなのに、また直に来るだろう快感を思って、期待から胸とアソコがきゅんと反応した。
「ノボリさん?」
見上げると、少し厳しい顔つきのノボリさんが視界に入ってくる。目こそ合わないけれど、どこかぎらついた目元に心臓が跳ねた。
キスを受けながら、彼の首に回す形になった手を引き抜かれる。立たされて、下着を下ろされた。ソファに膝をつくよう促されて、お尻をつかまれ、ぐっと彼につきだす姿勢にされる。手と頭がソファに沈んで、私からノボリさんの表情を伺うことはできなくなった。
彼の両親指がお尻を開かせるような動きをして、私はようやく羞恥心でもがいた。
「やっ…見ないでくださ、い」
「了承いたしかねます」
「やだぁ……」
束ねられた両手では抵抗らしい抵抗もできない。お尻をふってみても、可愛らしいですねとそこにキスをされるだけ。
無遠慮になで回され、ねっとりとした手つきに徐々にえっちな気持ちが羞恥心より大きくなっていく。
「あっ、う」
ちゅう、とキスをされて、すぐに生暖かいものがお尻を這った。
「や、汚い、ですっ! お風呂、まだ、」
「そうですか? メグルさまのものでしたら汚物でも舐めたいものですが」
「変なこと言わないでください!」
「わたくしはいたって真面目に申し上げております」
「ひぁ!」
いつもならただ驚くだけのノボリさんの言葉にも、興奮が増すだけなのはどうしてだろう。
間髪いれずにアソコを舐められて、私は黙らざるを得なかった。
ぴり、とビニール袋のようなものの音が後ろから聞こえる。
「ローションは必要なさそうですね?」
嘲笑ともからかいともとれる声色に、私は答えることもできずに彼を待つ。
「大変長らく、お待たせいたしました」
「ん……は、い」
そっと入り口にあてがわれたそれは指よりもずっと太くて、固くて……熱くて、私の濡れそぼったそこを何度も撫でる。はりつめたそれが愛液を絡め取っていく。見えない分感じてしまって、私は詰めていた息をゆるく吐き出した。
それを待っていたかのように、ゆっくりとノボリさんが入ってくる。おっきくて、指とは比べ物にならないくらいその存在を感じる。
「んん、…ふ、ん……」
ノボリさんが入った分だけ、息を吐き出していく。私を気遣うような挿入は、早く奥まで来てほしいと言う期待と焦燥感のみならず、いやらしい自分をノボリさんに見られているのだと言う興奮まで掻き立てた。
「この程度では物足りないようですね?」
私の頭の中を覗いたようなタイミングに、ひくりと力が入る。ノボリさんは答えない私に構わず、一度ゆっくりと自身を引き抜くと、またゆっくりと入ってきた。
その動きで、調度彼の亀頭が気持ちいいところを何度も擦りあげてくる。
「あ、は…ん……ん、ぁ、はぁん……」
そこに当たる度、気持ちよくて吐息に混じって声が出た。膝立ちをしているけれど、腰から力が抜けてしまいそうになる。
「んっ…は、っあ、……ぁ、あ、あっ」
ノボリさんが私の腰に両手を置いて位置を固定する。ぐぐ、ともずず、ともつかない感覚で奥まで入ってきたそれに、私の中は喜んで抱きついた。
「っは、……く、」
彼の息が中途半端に露出している背中にかかる。それすら興奮材料となって、私をより追い立てた。
「ぁ、もう、ノボリ、さん」
はやく、動いて。
言う前に、すでにノボリさんは腰を引いていた。さっきの亀頭でのピストンでさらにぐちゃぐちゃになった私のソコは、たいした抵抗もなく容易に彼の腰の動きを受け止める。
「んあっ、は、あっ、あ! んっ、いい、よぉ、っ、のぼ、りさ、んぁ、あっ!」
「は、……何より、です…っ」
「も、っと! い、っぱい、して、あっ、あぁっ、は、あん!」
「仰せの…、まま、にっ……っく、」
普段あまり聞くことのない、少し上ずった声。強い快感に我慢も出来ず、ひたすら波にのまれ、転がされ、押し流されていく。
「っ……んど、はっ、やめな、ぃでっ」
「っはい、……は、っく、もちろん、ですっ……」
勢いよく打ちつける彼の腰に、息も切れ切れになる。かと思うと、ノボリさんは私の腰を抱いて自分の方に引き寄せると、右手でクリトリスをいじり始めた。
「っや、ぁあああああ! あんっ、んっ、だ、め、あっ、やぁああっ!」
激しかったピストンは私のいいところに焦点を当てて、小刻みに震えるようなそれへ変化していた。腰を揺らして逃げようとしても、余計に気持ちよくて自分から求めるような形になってしまう。
「あっ、あっ、だめ、だめえ!」
何とか両手をソファについてるけれど、実質ノボリさんに身体を支えてもらっているようなものだ。こんな体制でするのは初めてで、自分でもどうしていいかわからず勝手に動いてしまう腰を抑えられない。
「っは、メグルさま、メグルさま……っ!」
「んっ、ノボリさ、ぁっ!」
それは彼も同じのようで、うわごとのようにお互いの名前を繰り返す。
はやく、はやく。もっと強く、もっと気持ちよく。
まさに食らいつくように動きを速めて、後ろから押し上げられるような感覚に頂上が近いのを感じとる。
足の裏は冷えたように痺れて、もうただその感覚を追いかけることしか考えられない、考えるまで行かない。
「ノボリさ、はっ、ん! も、ぁ、だめ、いっちゃ、あ、ぁ、あっ!」
「メグルさま、メグル、さまっ!」
「――っ!!!!」
ぎゅううと身体が強張って、目を閉じたのに真っ白になって、それからやってきた浮遊感が心地いい。
気づくと、私は繋がったままでノボリさんに後ろから抱きしめられていた。ソファに膝立ちになっていたのに、今はカーペットの上にいる。
ノボリさんはさっきまでと違ってただ優しく私の身体を撫で、うなじにキスを繰り返していて、まだぼんやりとした思考ながらも名前を呼ぶと、すぐにはい、と穏やかな声が降ってきた。
「これ……」
「ああ、今外しましょう」
縛られたままでは彼に触れることもままならず、手首を掲げてみせると、彼はそっと両手でネクタイの拘束を解いた。
知らないうちに力を入れていたのか、少し赤くなっている。
「申し訳ありません、痛くはないですか?」
「ん……大丈夫、です」
そっと彼の掌に包まれ、両方順番に優しく口づけられる。ようやく自由を得た私は、ノボリさんの右手に自分の右手を重ねて、ぎゅっと握った。恋人つなぎだ。
ノボリさんは左腕で私の下腹部を支えると、そっと自分を引き抜いた。甘いため息がこぼれ、今度こそ力が抜ける。
「……ノボリさん、ゴム、いつの間に……」
「わたくしはあなたさまが想っているほど、硬派でもないのですよ」
それは、いつでもできるようにと、持ち歩いているということか。見ると、ノボリさんは黒い小さな……携帯灰皿くらいの大きさのそれに、コンドームを入れているようだった。その事実に、また身体が疼きを覚える。
「幻滅なさいましたか?」
「まさか……そんなわけ、ないです」
ノボリさんのこと分かって、嬉しいです、と正直に伝えると、意外や意外、ノボリさんはきょとんとした顔をして
「メグルさま、まさかこれが全てとお思いですか?」
「え……」
「そういえば、今日はこちらのお相手ができませんでしたね」
「! っきゃ、ぁ」
ぬけぬけと私の胸元をまさぐるノボリさんに私は一瞬慌てたものの、それが後戯だと分かるとまた彼にもたれかかった。
「御入浴はどうなさいますか?」
「……」
「続きはそこでもよいのですが」
「……もう」
「あなたさまの嫌がることはいたしませんよ。今日はもう、十分お付き合いいただきました」
優しい口づけに応えるべく、私は身体をひねってノボリさんの首に腕を回した。ちゅ、ちゅうとお互いの唇を啄ばむ。
「……お風呂、入らせてください」
「かしこまりました」
そのままこれ以上ないまでに嬉しそうなノボリさんに横抱きにされ――その際はぎ取られた私の下着をノボリさんが拾ったのはスルーして――私は彼にすり寄りながら、脱衣所まで運ばれた。
リビングに残ったのは黒いコンドームの箱と、部屋の端へ追いやられたAV。
この日以降、ノボリさんのえっちが一癖あるものに変わったのは言うまでもない。
2011/11/18 UP