この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方や高校生の閲覧を固くお断り致します。

All I want for Christmas is You.

「こんばんは」

 クリスマスイブの夜……もう日付は変わってしまったけれど、期間限定のアルバイトからノボリさんの家に帰った私は、私の格好を見て唖然とする彼の前でくるりと一回転して見せた。

「どうです? サンタの衣装、可愛いでしょ?」

 ヒウンからライモンまで、出張でケーキを販売するからと求人を見つけたのは少し前。予想されていた忙しさを乗りきって、それに見合うだけの報酬とケーキをワンホールいただいた私は上機嫌だ。

 ふんふんと気分よくケーキテーブルに置いて反応のないノボリさんを見ると、彼は本当にまじまじと私の格好を上から下まで確認していた。

「……聞き及んではいましたが……その衣装は返さなくてもよろしかったのですか?」
「はい。新しくできたお店の、まあいわばお試し企画のようなものですから。着て帰るなら処分は負担してくれって、ちゃんと言われてますし」
「……ずいぶん薄手ですね……」

 調子の戻ってきたらしいノボリさんは私の肩を撫でて、そのままぎゅっと私を抱きしめた。

「ノボリさん?」
「ずいぶん冷えてらっしゃいます」

 背中を大きく撫でる手が優しくて暖かい。
 同じように暖かな彼の胸に頬擦りをして腰に腕を回すと、手のひらの熱は私の頭に移動して、その指先が髪を梳いた。

「ヴォーグルの空を飛ぶで帰ってきましたから。それに、こんな格好ですけど下はちゃんと防寒対策してるんですよ」
「ほう」

 言うと、今までまあそんなそぶりの無かった彼の手が急に、まるで自然な流れで赤いスカートの裾を捲り上げるように動いて、そのまま私のお尻を丁寧に撫で上げた。

「なるほど、確かにこれは暖かそうです。手触りも良い」

 ノボリさんがそう言いながら無遠慮に触っているのは、黒のフリース生地でできたモコモコのショートパンツ。

「……ノボリさん、手がえっちですよ」
「よい子にしておりましたので、サンタから素晴らしいプレゼントを頂戴するのが道理でございましょう。そう言えば時間も丁度そのような」
「ノボリさんは立派な大人でしょう?」
「……駄目でございますか?」

 たしなめるように笑うと、ノボリさんは不安になったのかしゅんとした声と顔で、上から私を覗き込むように伺ってくる。
 ……私の身体に当たるそこは、もうどこより熱くなろうとしているのに。

「じゃあ、お仕事お疲れさま、の、プレゼントですよ」

 そっと背伸びをして、彼に回した腕を腰から首に変える。直ぐにキスが降ってきて、いよいよスカートが腰まであげられた。そこからノボリさんの右手の親指が、ショートパンツとその下のショーツを引っ掻けて、おしりの割れ目をなぞるようにして下がった。

「ん、っ」

 つま先立ちだったからふらついたけれど、彼の左腕に助けられる。そのままひょいとテーブルの上に乗せられ、パンツ二枚はあっさりと私の足から抜け出した。

「ここで……?」
「待ちきれませんので。……可愛らしいラッピングも、子どもにかかれば一瞬で台無しでございますね」

 だから貴方は大人でしょ、と言う間もなく自由になったノボリさんの両手は私のうなじに回り、小さなホックを外すと素早くおしり辺りまであるファスナーを引き下ろした。
 その下に着ていた、色気もへったくれもないスポーツ用のアンダーウェアは脱がせてもらうには生地のテンションが強くて、自分で脱ぐ。腕がうまく抜けたところでブラのホックを外されて、ぷるんと出た乳首に吸い付かれた。

「、ぁんっ!」

 思わず脇をしめると、ノボリさんは煩わしそうに胸元に落ちたアンダーウェアを脱ぎきるよう私にちらりと目配せをしてきた。
 ちゅうちゅうと吸い付かれ、舌で弄ばれ、胸の先からくる快感に何度も動きを止められながら、なんとか頭を抜いて、テーブルの脇に置く。するするとそのまま床に落ちてしまったけれど、拾えるはずもなかった。
 優しくも悩ましい音を立てて私の唇にキスをしながら、ノボリさんは肩紐だけで身体に引っ掛かっているブラを取り払う。上半身に纏うものがなくなった私は、暖かさを求めるべく彼にすり寄った。

「ノボリさん、なんだか余裕ない……」
「あなたさまを前に、余裕など持っていられたためしなど」

 艶やかな声に胸が跳ねる。再び唇が重なって、彼の舌先が私の唇をくすぐった。

「んふ、…ぁ」

 ちゅ、ちゅう、ちゅる、くちゅ、唾液が混ざりあって、ノボリさんがそれをいたずらに吸ったり戻したりするから溢れた分が顎を伝って落ちていく。
 それを気にするだけの理性はほとんど崩れていて、私は彼の舌の心地よさに完全に身を委ねていた。

メグルさま」
「ぁ…ん、ぅ」

 同じように唾液で唇を濡らしたノボリさんが、そうっと私の両膝を手のひらで包んで、開く。それにあわせて私の上半身はリクライニングシートみたいにさがって、自分の開かれた足と、陰毛と、その先にあるノボリさんの股間の膨らみが一気に視界の中に入ってきた。
 先に脱がされてしまったそこは彼が開くまま姿をさらけ出して、じわりと空気に触れる感覚が恥ずかしくて完全にテーブルに上半身を横たえる。
 と、髪の毛伝いに違和感があった。

「あ……、ノボリさん、ケーキ、が」

 折角貰ったのだ、避けておかないと落ちてしまうかもしれない。
 ルームライトの眩しさに頭だけを起こしてノボリさんを見ると、彼はなにか考えるようにじっとケーキの入ったままになっている箱を見つめて、それからぽつりと

「……折角ですから、早めにいただきましょうか」

 そう、呟いた。




 ――かくして、白いホイップクリームでベーシックに作られたケーキは、ノボリさんの手によって無造作に崩された。
 普段なら絶対に綺麗に切り分けてお皿に乗せて出してくれるだろうに、まるで子ども――否、幼子がするようにスポンジごと一部をもぎ取った彼は、試食とばかりに口元を汚しながら一口食べた。
 その様子が子どもというよりは乱雑な気がして、どこかノボリさんじゃないみたいで。

「そう甘くはないのですね。これならわたくしでも美味しくいただけそうです」
「そうなんですか?」
「ええ。メグルさまもどうぞ」

 言って、ノボリさんはやっぱり指先でケーキを崩すと、一口サイズと言うには大きいそれを私の口元に寄せた。
 ノボリさんの顔を伺うと、彼はぺろりと口回りのクリームをなめとって、私を誘う。寝転んだ体勢からじゃ食べにくくて、私はつき出された彼の手首をそうっとつかんで、一旦上半身を起こした。足は開かされたまま、彼の身体が割り込んでいて閉じることもできない。
 すうすうするあそこに、ノボリさんが距離を詰めるようにしてぴったりと股間を寄せてくる。

「ノボリさん、スラックス、汚れちゃう」
「お気になさらず」

 焦らしているのかなんなのか、余裕のなかった様子から一転して、ノボリさんは私にケーキを勧めてくる。
 おずおずと口を開くと、ゆっくりノボリさんの指が入ってきた。それを唇で挟むようにしてケーキだけを口内に残す。やっぱりノボリさんがすくいとったそれはおおきくて、私も口回りにたくさんクリームがついた。
 取り敢えず口に含んだ量が多くて咀嚼すると、ノボリさんの言ったように甘さが薄く舌を撫でた。

「ん、おいひ」
「そうでしょう」

 汚れた指をなめるノボリさんの声は弾んでいる。ぎゅ、とケーキを胃に送り込んで、口回りを舐めようとすれば、それはいけないとばかりに彼の唇が襲ってきた。
 舌でクリームをなめとられ、そのままディープキス。
 舌と吐息の熱さに、甘い味と感触が加わって、私の意識は直ぐに溶けそうになる。
 丁寧な愛撫に、さっき感じた乱雑さはなかった。

「甘さが増す気がしますね」

 ぼんやりとする思考のなか、ノボリさんの珍しい言葉で、私はくすっと笑ってしまった。

「酔ってるんですか?」
「クリスマスの空気に中てられました」
「……甘くなったら、ノボリさん、食べられないでしょう」
「これはわたくしの好きな類いの甘さですので。……いくらでも、いただきたいですね」

 ちゅ、と軽い音を立ててキスの雨。
 同時に確かな意図でもってまぐわっているときのように彼の腰が揺れて、声が漏れた。

「んん、っふ、ぁ……は、ぁん…」

 キスは愛撫へ変わり、ちらちらと彼の舌先が鎖骨を這う。身を震わせると、暖かな手が腰を撫でて、ぎゅっと彼にしがみついた。
 舐め取ったとはいえ、べたつきの残る彼の手は私の胸をしっかりととらえて放さない。
 ぷるぷると乳房を揺らされて、私はその感覚に乳首が痒いような、痺れるような疼きを覚えた。

「形がはっきりとしてきましたね」
「ん……言わないで、ぁ、ください…」
「どうされたいですか?」

 ぴくん、ぴくんと物欲しそうに身体が跳ねて、その度にノボリさんのそれとは違うリズムで胸が揺れる。
 覗き込まれ、ぎらついた彼の目と、さっきまでより遥かに固くなって押し付けられる彼の芯にあそこがきゅ、と締まった。

「さわって、ほしい」
「どのように?」

 間髪を入れずにつき出される問いに、私はなにも返せずにノボリさんを見つめ返す。
 彼は音もなくそっと唇に触れるだけのキスを一つ。

「……ゃ、やさし、く……でも、つよく、ぅんっ!」

 か細い声はこんな至近距離では聞こえないはずがなくて、最後まで言い切る前にぷっくりした乳首をつままれた。

「あっ、は、あぁんっ! ぁ、ん、んぅ、く……ん」
「これでよろしいですか?」
「ふぁ、はぁっ、ん、んっ、ふ、ぁあ…は、…ぁあん……」

 ぐにぐにと遠慮なく、でも私が言ったように優しく乳首と乳輪をいじられて、がくん、と腰が抜けるように動いた。
 甘い、と言うのだろうか、くらくらする。力がふにゃ、と抜けて快感のまま声が出た。

「はぁっ……ん、ノボリさ、ん」
メグルさま、メグルさまもお勤めご苦労さまでございました。今夜は共に存分に、疲れを癒すことにいたしましょう」

 優しい声が耳のすぐ近くで聞こえて、ちゅ、とこめかみに優しい感触。
 人差し指と親指で乳首をこねくり回されて、残った指と掌で乳房を大きく揉まれる。
 それからノボリさんはブラのワイヤーが当たっていたラインをなぞるように舌を這わせて、時折ちゅ、ちゅう、と控えめに吸い付くようなキスを繰り返した。
 彼の頭を抱きかかえるようにして嬌声をあげれば、彼は私の腰に手を回して、両胸の間に顔を収めて私を見上げる。
 空いたもう片方の手が伸びた先を見やると、そこには形の崩れたケーキがあって、彼の指がイチゴをつまむ。そうして、それを私を唇に押し上げると、素早くそこにかみついた。

「んっ」

 彼の歯と圧力で潰れたイチゴはどちらの口内に吸い込まれることもなく、絞り出された果汁が位置的に低かった私の顎を伝ってお腹に落ちた。
 かぷかぷと甘噛みするようにイチゴを潰しながら、それと一緒にノボリさんの舌がこっちにまで入ってくる。ただのキスとは違って歯がぶつかって音を立てた。勢いがないから痛くはないけれど、お互いの歯でイチゴをすりつぶすような真似をする彼に翻弄される。
 暫く一つのイチゴを弄んだノボリさんは、それが後はほとんど飲み込むだけになるまで続けて、それから唇を離して飲み下した。私もそれに合わせて、口の中にたまったものを嚥下する。汚れた口周りは、ノボリさんがなめとった。……楽しそうだ、と気づいたのは、そのときで。

 そこからのノボリさんの行動は早かった。
 最初にそうしたようにケーキを手ですくい取って私の乳房に塗りたくると、それを舌で丹念に舐めとっていく。
 ぬるりとした冷えた感触と、彼の熱い舌が何度も敏感になった乳首をいたぶり、私を高揚させる。

「んぁ、あっ! は、ぁっ……ノボリさ、ぁっ…甘いの、そんな……食べ、ちゃ、っ…き、気持ちが、悪くなるって、んっ、前に言ってた、のにっ」
「……情けない話ですが、正直味などよりも……メグルさまのお声とお姿しか感じる余裕はございません」
「ひうっ」

 徐々に遠慮のなくなった指はケーキ周りに綺麗にコーティングされていたクリームだけを救い取って、そのまま私の陰部へ塗りたくられた。それからクリトリスを親指の腹で強弱をつけて押されて、身体が強張る。乳首ばかり構われてすっかり高まったそこに、ノボリさんの中指がするりと入って円を描くように内壁をこすった。

「ひあぁっ! あっ やだ、ぁん!」

 ほとんど何の抵抗もなく入ってきた彼の指に、膣が喜ぶようにきゅっと包んで歓迎する。ノボリさんが手首をひねって指を回すと、焦らすような刺激に変わって、私はため息にのせるように咽喉が震えた。

「っ…は……ぁあん…」
メグルさま……」

 ゆっくりなキスを繰り返す。ノボリさんの手は反対に小刻みに私の中を揺らして私を攻め立てた。

「んっんっんっ、んっ、ぅ、ふっ、ぅん」

 ぐちぐちと、愛液と生クリームが混ざって卑猥な音を立てる。ぬるりとしたそれはすぐに馴染んで、ノボリさんの指だけではなく、手も汚していく。
 その指が一度引き抜かれて再びケーキへのびようとしていたのを、慌てて止めた。

「きたないから……」
「大丈夫ですよ」

 笑みさえ含んだ声色でノボリさんはそういうと、私の頬にキスをしてイチゴを一つ、指先でつまんだ。……それを私に見せつけるように目の前で揺らしてから、そうっと、もう生クリームだらけになっている私のそこへあてた。
 いつも……いつも彼がそうするみたいに、私のクリトリスを下から擦り付ける。クリームが摩擦を少なくしてくれたおかげで、私はさしたる痛みもなくその不思議な感触に声を上げた。

「あぁん……あ、ぁん…ん……ぁん…」
「……メグルさま、あなたさまは素晴らしい」
「んっんっ」
「今のお姿、とても刺激的ですよ……」
「ぁああっ!」

 すりすり、と優しかったのが、イチゴを潰すようなそれに変わる。
 サンタ服はもう腰の辺りに引っかかっているだけで、サイハイニーソはそのままに、ただ彼から与えられる快感に足を大きく開いて……一番いやらしくなってるそこは生クリームでべたべたで、その上イチゴでノボリさんに攻められている。それを嫌がりもせずにただ嬌声をあげて受け入れている事実を改めて突き付けられて、私は反射のように彼から顔をそむけた。けれど、それで止まるものでもない。

「今更そのような所作など、」
「あっ……」
「わたくしの加虐心を煽るだけ、というものです」

 ノボリさんは結局自分の手で一度を潰すと、それを乗せたまま指を私の中に入れてかき混ぜた。

「はぁんっ! あんっ、あっ」
「それとも、メグルさまの被虐心からのものですか? わたくしを誘っていると?」
「ああんっ、んっ、あ、ひうぅ、っは」

 気持ちよくて、ノボリさんのワイシャツを掴みながらどんどん背中が丸くなっていく。イキたくて、気持ちよくて、もっと欲しくて、快感を追いかけるために身体が動く。

「はっあっ、ノボリ、さ」
「ここですか?」
「っ!!! あ、そこ、そこぉ……!!」
「さようで、」

 どこか苦しげな声に、ノボリさんも我慢がきかなくなりそうなのかと思うけれど、彼を気遣う余裕も私にはなくて、

「っ、ぁ、ぁああっ、っ、――!!」

 強い快感にぶるぶると腰を震わせて、私は彼の指の刺激のままに、まるで精を吸い尽くすように思い切り中を締め上げて果てた。
 ノボリさんの指が、直前までとは打って変わってゆっくりと私の中を動く。

「ぁん……」

 それだけで気持ちよくて、私の口からはもっと甘えたような声が漏れた。
 後戯のようにノボリさんはキスを繰り返し、そうっと私の中から指を抜く。余韻に、ため息が出た。まだジンジンしていて、奥が疼くような気がする。

「ノボリさん……」
「……メグルさまも、クリスマスの雰囲気に中てられましたか」

 くす、とノボリさんが笑う。見透かした彼の言葉に、私はこっくりと頷くと、彼のワイシャツのボタンを上からぷつぷつと外して、そのまま流れるようにベルトのバックルに手を伸ばした。その間にも彼はケーキと私の愛液でべたべたになった右手を舌で綺麗に舐めとり、けれど左手の指先で私の頭を優しく撫でる。
 気恥ずかしいような、けれど嬉しいような気持ちになって、私は彼を伺っていた目線を外して、意識を下へ集中させた。
 フリーサイズのベルトはかちゃ、と金具をいじればすぐにゆるゆると外すことができた。スラックスに手をかけて、ボタンとフックを外して、そうっとファスナーを下ろす。
 膨らんだそこは苦しそうに見えるほど柔らかな生地を押し出していて、引っかけないように気を付けて。

「ん……」

 ノボリさんの色っぽい声。
 スラックスに指を引っかければベルトの重みであっさりと地面へ落ちていった。黒い下着はぴったりとしたボクサーパンツで、既に染みができていた。腰元のゴムに添ってなぞれば、彼の大きなため息とともにその腰が揺れる。
 一度手を放して、テーブルから降りる。椅子を一つ引いて、彼の後ろに置いた。

 さっき彼が私にしたみたいに後ろからパンツを下げて、既に勃ちきったノボリさんのそれを引っかけないようにゴム伝いに前に引っ張って、スラックスと同じように床まで落とす。

「ノボリさん、座ってください」

 腰の辺りに手を添えて促すと、ノボリさんははい、と答えながらゆっくりと腰かけた。今度は私がノボリさんの開いた足の間に入り込む。
 そそり立ったノボリさんの陰茎に手を添えて、既に先走りで濡れた亀頭を指の腹で円を描くように撫でると、ノボリさんの足に力が入るのが分かった。

「っ、すみません、先ほどからあまり、余裕が」
「ん……我慢、できます?」
「善処いたします」

 ノボリさんの手がまた私の頭を優しく撫でて、私はそうっとオスの匂いのするそこに舌を乗せた。亀頭に歯が当たらないように唇で挟み込んで、浅く出し入れを繰り返しながら、尿道をちろちろと舌で舐めて、吸って、ノボリさんの反応を見る。
 脈打つそこはさらに硬さを増して、血管が浮き出て、彼のどの部分よりも勇ましくて雄々しい。

「はぁっ……続けていただけますか?」
「ん、……はい」

 既に溢れていた彼の陰茎はたくさん濡れていて、舐めれば彼の味が口いっぱいに広がった。

「んむ、」

 ちゅう、と吸い付いて舌だけでつつけば、反り立った陰茎が揺れて、ノボリさんの口から焦れったそうなため息が落ちた。
 知らず浮かんだ笑みと一緒に彼の根本まで唇を下ろして、陰嚢から丁寧に舌で愛撫する。
 裏筋を舐める前に思い付きで内腿に添えていた手をくすぐるように動かすと、彼の身体は大袈裟なくらい跳ねた。
 それに合わせて陰茎も揺れて、私の鼻とぶつかる。

「っ! メグルさまっ、急にそのようなお戯れを……!」
「だって、宣言したらつまらないでしょ?」

 咎めるような声にそう返せば、危うく出しそうになりましたとノボリさん。

「こんなに先走りが出てたら変わんない気がしますけど」
「っふ、ぅ……!」

 今度は人差し指の腹で円を描くように彼の先端を撫でる。それから、きちんと根本の方までくわえこんで、頭を動かした。

 ゆるく、ノボリさんがイってしまわないように吸い上げて、手でも扱いて舌を絡ませて、時おり熱い息を吐きかける。
 硬くなってびくびく脈打つそれがいつも私を突き上げてくるものだと思うと、また身体の奥が疼くように反応してしまう。
 目の前のこれが、私の中を擦って、掻き回して、私はこれに悦んで、欲しがって声を上げて、

「……メグルさま、」

 頭を撫でられて、顔を上げるとどこか切なそうに眉を寄せるノボリさんと目が合った。
 彼は私に口付けながらさっき私が下ろしたスラックスに視線を走らせた。
 私は黒いそこから、やっぱり黒いピルケースを探り当てると蓋を開ける。中にあったのは予想通りというべきかコンドームで、どうしてこれがと考えるより先に手は包みを開けていた。
 ゴムの先をつまんで彼の先端に乗せ、そこからくるくると下げていく。
 しっかり根本まで下げきったのを確認すると、ノボリさんの指先が私の髪を後ろへ梳くように動いた。

「わたくしが申し上げたいことがよくお分かりになりましたね」
「……そういう言い方はずるいですよ」

 少し唇を尖らせて拗ねた素振りをして見せると、ノボリさんは優しく笑みをこぼして立ち上がり、私を抱き上げた。
 再び机の上に乗せられて、膝を曲げてかかとを机の端に置けば、もう後はノボリさんを待つだけになる。
 なのにここに来て焦れったく陰茎でクリトリスに触れてくる彼に、私は我慢できずにうずくまま腰をくねらせた。

「ノボリさん……」
「ん……はい」
「ね、早く……きて」

 ください、と言い切る前に、ノボリさんの亀頭がゆっくりと私の中に入ってきて、私は小さく声を震わせた。

「っは、……メグルさまは…挿れ始めが、気持ちいいの、ですよね?」
「あっ、んっ、……ぁ、や、それっ…、だ、め……っ」

 亀頭だけゆっくり出し入れされて、彼の言う通りGスポットを擦られてひくつく中が、もっと奥まで来てほしいってはっきり物足りなさを主張する。

 気持ちよくて膝が揺れる。それをノボリさんの掌で包まれて、あったかいと感じてからすぐ、唇を塞がれた。同時に、彼が奥まで入ってくる。

「ん、ふ…ぁ……は、ノボリさん、私はいいから…さっきイかせて貰ったから……ぁっ、今度は、ノボリさんがイって……?」

 ぴったりと繋がって隙間のないそこにどこか満たされながら、私はノボリさんの首に腕を回して更に密着しようと試みる。
 彼はそれを察してくれたのか、私の腰と背中に手を回して引き寄せてくれた。
 体勢が少し変わったせいで、中が擦れて感じてしまう。

「……お言葉ですが、わたくしも男ですので」
「あっ、んんっ!」
「了承、いたしかねます」
「ぁあんっ」

 ずる、と引き抜かれすぐ奥まで戻ってきたそれに、腰から力が抜けて机に倒れこみそうになった。
 それを止めてくれたのは力強いノボリさんの腕で、

「それに……っ、あのように、物欲しそうな顔を、なさってらしたのに、自分だけ一人、果てるなど」
「んっ、あっ、やん!」
「男には、意地、と、言うものが、ございます…っ」
「んぁんっ」

 なんとかノボリさんに抱きついていたいのに、大きく穏やかなピストン運動を繰り返されて、力が上手く入らない。

「それに、わたくしは、サンタクロースなどでは、ありませんが…っ、今、メグルさまが、望まれること、でしたら……ふ、っく……っ、叶えて、差し上げられ、ますのでっ」
「――っ!!! あっ、だめ、またっ」

 大きく突かれ、今度はそのままぐりぐりと下腹部を押し付けられて、一番奥の、気持ちいいところを擦られて足が跳ねる。

「構いませんよ……っ、どうぞ、お気に召すまま」
「んっ、ぁ、っああ!」

 どこか満足そうなノボリさんの声は聞こえるけれど、彼の先と私の奥が触れているところが気持ちよくてなにも返せない。
 意識の殆どがそこへ集中して、快感を求めるように私の身体も動く。

「可愛らしいですよ……とても」
「ふぁ、んっ!」

 後頭部を撫でられて、いつもならそんなこと嬉しいと思うだけなのに、今は自分でも驚くほど敏感になっていて、大きな声が出てしまう。
 気持ちよくて、ノボリさんの手が暖かくて、なんだかとても満たされたような、幸せな心地。

「ノボリさ……!! ノボリ、」
メグルさま、……っ、メグルさまッ」
「――……ッ!!」

 身体を揺さぶられて、さっきと比べたらずっと小さな動きなのに気持ちよさは桁違いで、私は彼に与えられるまま快感に流された。
 硬く目を閉じたのが白く染まって、徐々に引いてくる。

 ノボリさんは変わらず私を抱き留めてくれていて、彼も達したのだろう、落ち着いた様子で私の瞼にキスを落としてくれた。
 それからゆっくりと陰茎を抜くと、ノボリさんは頭を撫でてくれたように、腰やお尻、背中や肩、胸にお腹、足に至るまで丁寧に愛撫してくれた。
 私も同じように彼に触れる。

 しばらく黙ってそうしていたけれど、流石に肌寒くなってきて、私は机からおりた。
 トン、と足をついた衝撃だけでもさっきの快感を思い出して腰が抜けそうになる。
 咄嗟にしがみついた私に、ノボリさんは大丈夫ですかと声をかけてくれた。

「平気です。……お風呂、入りましょうか」
「そうですね。流石にこのままではわたくしも気になります」

 苦笑気味にそうこぼして、私はそっとケーキを仕舞い、ノボリさんは脱いだままの服を集める。

「では参りましょうか」

 集めた服とは逆の手で身体を引き寄せられて、私はそのまま彼の耳に向けて背伸びをした。

「ノボリさん、メリークリスマス でした」

 上半身を屈めたノボリさんは私の言葉に目を瞬かせて、それから失念しておりましたと破顔した。

2012/03/06 UP