この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方の閲覧を固くお断り致します。

待ては上手に

 夜、私を社宅まで送り届けたライトと別れ際のキスをして、名残惜しそうに離れていく唇が赤いマフラーに隠れたのを見送った。
 私が社宅の中に入るのを確認するまで動かない彼の前で、じっと彼を見上げる。
「? 真琴?」
 困惑する彼に、ジャケットの裾を指先で掴んで引っ張った。
「朝まで一緒に居たいって言ったら……時間、空けてくれる?」
「!」
 別に今日じゃなくてもいい。キャンピングカーはまだ完成してないし、ホテルだって予約してない。
 それでも、ライトがずっと空いた時間を全て私に注ぐように使うから、新しい約束がしたくなった。テレーゼさんには予め「そうなるかも」とは伝えてあるし、明日はお休みだ。
「勿論。今からでもいいくらいだ」
「……本当に?」
「ああ。寧ろこれで帰ったら大将達にどやされちまう」
 肩をすくめてスカした仕草をつつも、声には喜色が滲んでいた。
「どこがいい?」
「二人で一緒に浸かれる湯船があるとこ」
「そいつはいいな」
 さっと携帯を出してホテルを調べ始めたライトが、空き状況を確認していく。私の前でここまで速やかに携帯を弄る姿を見るのは初めてで、不思議な光景だった。
「よし、早速行くか」
「ん、どこ?」
「ちょいと転がせばすぐだ」
 そう言って、ライトが私の腰を抱く。妙に様になっている仕草に思うのは、彼の高揚した気分の現れだろうか。
「……え? でもライトのバイクって、」
「こっちに来るときは毎回タンデム用のを引っ張り出してんのさ」
 目が合う。私を見下ろすその視線が、甘くも強く射貫くようで。
 ご馳走を前にずっとお行儀良く待てをしていた良い子に、とびきりをあげたいと、そう思った。

 鍵の受け渡しをそつなく終えて、二人部屋に入る。オートロック式のドアがやけに大きな音で閉まるのを聞きながら、私たちはお互いの唇に夢中になって、身体を擦り付け合った。
「ん、ん、」
 背が高いライトが、私のお尻の下に腕を回して、持ち上げるようにして高さを合わせる。ぎゅっとお尻を揉みながら、私の足を開かせて、待ちきれないかのように股間同士を擦り付けてくる力業に、笑いがこみ上げた。
「ふ、くっ、ふふ……ん、ライト、」
「笑うなよ。こっちは真剣なんだ」
「だって」
 ライトの首に腕を回して胸を押しつける私の身体を、彼の手があちこち這い回る。キスだけではしたないほど音を立て合いながら、服を脱がしていく。
「ん、っあ、やん」
 とはいえ、私の方が脱がされるのは早かった。ライトは身体にフィットする服を好むせいで、脱がそうと思うと難しいのだ。殆ど彼の肌を愛撫しているのと変わらない。
「あんたにそういうつもりで触られてると思うと、もう出ちまいそうだ」
「あ、っ」
 軽口めいた言葉と共に首筋を舐め上げられる。息は熱くて、ライトの興奮が分かるようだった。
 まだジャケットしか脱がしてないのに、と言いかけた言葉が喉元で消えていく。
 気づけばライトに持ち上げられるようにしてベッドまで移動していた。大きくて柔らかいマットレスに押し倒されて、重い身体がのし掛かる。サングラスを外したライトの顔は、どこか切羽詰まっているように見えた。
「大丈夫? 確か明るいのが苦手なんだっけ。照明落としても……」
「いや、あんたの顔が見たい。勿論身体も、……いつも手探りでしか知らなかったここも」
 ライトの足が私の足の間に割って入って、そのままショーツにぐいと押しつけられる。
 そう言われると急に恥ずかしくなって、私は身をよじった。
「そんなにかしこまらないでよ……」
「そりゃ、多少は改まっておかないとな。女たらしだと思われちまう」
「それは……もう、分かってるから」
「あんたのことだって、一等大事に触りたいんだ」
 誤解なんてできないほど真っ直ぐに甘い言葉を叩き込まれて、言葉に窮する。もうどうして良いか分からなくて、私は完全にまな板の上の鯉だった。――あるいは、オオカミに食べられちゃうヒツジ。
「好きだ、真琴……」
「……わ、わたしも……すき」
 ライトの手が私の身体を辿る。気持ちいいところも、そうじゃないところも。撫でさするように手のひら全体で、あるいは指先だけで繊細に。
 気持ちいいところだけを責められて高まるセックスじゃなくて、まるでマッサージするみたいな、長い触れ合いだった。
 ベッドの上で緩いあぐらをかくライトの膝の上に横抱きにされ、キスを繰り返す。指はいつまでも乳房を弄っていたけれど、いよいよ片方の手がショーツの中でくちくちと秘所を苛むようになると、私は嬌声を上げる以外のことを許されなくなった。
 お行儀良く指を揃えて肉襞と恥丘を捏ねられたかと思ったら、太い指が潤んだ肉の中に潜り込んで、関節の凹凸もあわさって良いところを擦ってくる。ぬぽぬぽと抜き差しされ、また愛液に濡れた指が外側をいやらしく撫でて、あんまりにも淫らな手つきに頭を引けば、ベッドに倒されてキスが追いかけてくる。その間にも指は二本に増えて、親指が的確にクリトリスを捉えて、優しく押さえられる。わけが分からなくなるほどの力強い手淫に、私は呆気なく絶頂をこえた。
「んんん――っっ!!! ……っ、あ、はあ、はあっ」
「ん、かわいいな」
「っ……! あ、だめ、まだ……っ、」
「もう一回イっときな」
「らいっ……~~っ!!」
 舌を啜られ、かと思えばライトの舌を押しつけられて、翻弄される。ショーツをじっとりと濡らすほど、指だけで何度もイかされるのは初めてだった。いつも軽いクリイキはあったし、中イキだってしないわけじゃなかったけど、それはライトと繋がってからで。
 ぐちゅぐちゅとわざと音を立てながら片手だけでまた中とクリトリスを制圧される。空いた手と口は胸と耳を飽きることもなく責め立てて、
「なあ……いいか? 真琴……」
 そんな低い声を耳元で注がれて、私はがくがくと足をわななかせてまたイかされてしまった。
 好きな男が、私だけを求めている。私を乞うている。
 そう思うだけで、身体の感度は跳ね上がっているようだった。
 ぞわぞわと肌を這う快感のさざ波が、ライトの息遣いだけで大きくなっていく。
 駄目押しのように改めて唇に甘く吸い付かれて、分かりやすくライトの指をきゅっと締め付けてしまう。
真琴……」
 甘ったるい声で何度も名前を呼ばれて、頭が溶けそうだ。
「来て……ライトの、挿入れて……」
 かろうじてそういうのがやっとだった。
 ライトが雑に服を脱ぎ捨てて、ベッド脇に置いてあったゴムの封を破く。迷いのない動きでするすると屹立が覆われる。潤滑剤で数度扱いた後、ライトはすぐに私の蕩けきった肉壷に先端を宛がった。
 ぬる、ぬる、と何度も入りそうか確認して、徐々に彼の昂ぶりを私の中へ埋めていく。
「ん、んっ……あ、」
「っ……はぁ……くっ、」
 上擦った声に余裕はない。なのに、ライトは散々指で虐めた浅い場所で、短いストロークをゆっくりと繰り返した。
「あ、ライトっ……おく、きて……」
「ん……あんたが良すぎてすぐ終わっちまいそうだ……流石に勿体ないだろ」
「そんなの……」
「備品は多くても二個が相場だ。もうちょい持たせたい」
 腰をゆっくり動かしながら、ライトが上がっていく息を押さえようと深く息をする。
「……私のカバンに、いつも使ってるの、あるから」
「……」
「だって、私から誘ったんだから……準備だってしてるわよ」
 目を見開いて私を見下ろす彼にそう言って、だから大丈夫なのだと伝える。
 少しの間反応がなくなったライトの名を呼ぶと、急に腰を引かれ、深く差し込まれた。
「ん、っ……らい、っんん――っ!!!」
「っは……そいつは朗報だ」
「あ、あっ、おく、ぅ……っ」
「あんたの身体も俺を覚えてるようだし……っ、精々、気持ち良くなってもらうかな……っと」
「あぁあっ!」
 ぬるん、とあっさり奥まで貫かれて、快感が走る。奥を優しくこつこつと突くような動きと、ゆっくりとしたスローピストンがまざって、中のあちこちで快感が起爆していく。
 勝手に腰が跳ねて、足が彼の腰を挟みこむ。広いベッドの上で、何に阻まれることもなく動かれて、私はその激しさに押し流された。
「は、っ、はっ、好きだ、好きだっ、真琴……っ!」
「ライトっ、あ、好き、すきぃ……! 奥、いいの、っあ、もっといっぱい……して……っ」
 膝を抱えられ、押しつぶされそうなほど腰を打ち付けられて、それでも今までで一番気持ち良くてたまらない。
真琴真琴っ……出すぞ……っ」
「あぁっ! イクっ、おくっ、イっちゃ、う、ん、――~~っ!!!!」
「くっ……出る……っ」
 うわごとのようにもっと、もっとと求めながら彼を締め付け、追いつめられるままに快感の山を登る。
 繋がったまま正面から抱き合うように寝そべり、余韻も惜しいほど足を絡ませ合って、互いの身体を撫で回す。一向に収まらない衝動にライトが腰を引くと、未だ萎えないものに中を擦られて、甘い声がもれた。
「あんっ……」
「その声、今までで一番そそるかもな」
「んっ」
 耳に歯を立てられて、びくっと快感に身体を揺らす。ライトはゴムを外すと口を縛って、新しいものを破いた。
「次はこのまま……前から入れて、ゆっくり動いても良いか?」
「ん……」
 否やはなかった。新しい色のカバーに変わった怒張を迎えるために、足を開く。私の上げた膝を、彼が容易く抱えた。
「あ……ん、おっき、」
 愛液で泥濘んだ場所に、またライトの昂ぶりが戻ってくる。中が擦れて、またすぐに切なく身体がうずき出す。
 足を下ろされて閉じると、激しく動けないからこそのもどかしい気持ちよさにへこへこと腰が動いた。
「絶景」
「んぅ……」
 胸を押しつけるようにライトに抱きついて、良いところに当たるように自分で腰を動かす。お尻ごとライトがぎゅっと抱き寄せて、じゅわ、と快感が滲み出た。
「ぁん……きもち、い」
「かわいいな」
「ん、」
 ちゅ、ちゅ、と甘やかすようなキスに、中がきゅんきゅんと反応してしまう。
「すき、ライト……」
 気持ちのまま言葉を漏らすと、とん、と応える様に一突きされる。
「っ、あぁん、これ、すごい……っ」
 奥こそ届いてないけれど、びくびくと中が勝手に痙攣している。勝手にばたつきそうになる足を、ライトが絡め取るように固定する。
「イってるのか?」
「んっ……わかんな、あっ」
 ライトの腰がゆるゆると動いて、中を刺激する。擦れているところが全部気持ち良くて、ライトの腕の中で重くて深い絶頂が身体を抜けていく。湯船から勢いよくお湯があふれ出すようなそれに断続的に身体が痙攣する。
 ライトの手が背中を撫でて、とん、とん、と優しく揺さぶられる。
「……真琴っ」
「あ、あっ、~~っ!」
 私の中で、足の間で、ライトの熱が力強く脈打つ。いつにない早さを誤魔化すように深いキスで舌を絡め取られて、何度も彼を締め付けてしまう。
「んはぁ、っライト……」
 彼の身体に腕を回して、引き締まった筋肉を撫で回す。
 これで終われるはずがないのは、絡み合った足と目線で分かる。
 部屋の入り口に捨て置かれた私のカバンをライトが取りに行くまで、そう時間はかからなかった。



「……」
 目が覚めると、部屋の中の照明は消えているのに、外は明るくなっていた。布団を被って、ライトの腕の中にいる。
 熱い体温。重い身体。マットレスが彼に向かって沈み込み、私の身体はそこに吸い込まれるように傾いていた。
 ぼう、とした頭で、すうすうと静かに眠る彼を見る。初めて見る寝顔はどこか幼くて、胸がきゅうと締め付けられた。
 長い前髪をそっと指で掻き分けて、形の良い眉をなぞる。
「んんっ」
 くすぐったかったのか、掠れた声と共に眉をひそめられて、さっと手を放した。……今まで夢想したものが目の前にあるのに、実感がない。
「……悪戯をするならキスか、こっちだろ」
「あっ」
 手を取られて、昨日散々繋がったものへ導かれる。……既に熱くなって、それなりに硬いのはどういうことなの?
「ライト、起きてたの」
「今起きた。……で、悪戯は続行してくれるのか?」
「もう……一緒にお風呂入ろうってば」
「俺は構わんが、生でヤることになるぞ。今ならゴムをつけてヤれる」
「どんな言い方よ……」
 とにかく今したいらしい。ライトの手が私の身体を撫で始めて、もう片方の手がゴムの封に伸びる。
「チェックアウトは?」
「朝が終わる頃だな」
 ちゅ、と口づけられて、力を抜く。
「寝起きの身体、そんな柔らかくないんだけど」
「やりようならいくらでもあるさ。……で? どうなんだ」
 もうゴムの準備をしているのに、どうもなにもない。
 返事の代わりに彼の首に腕を回して抱きつくと、柔らかく細められた目にキスをした。

2026/01/21 UP

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