この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方の閲覧を固くお断り致します。
種を割る夜・後
さて。
審神者用の小さな風呂場でどうにか心の準備をした私は、ちゃんと桑名江に流されていると思うのだけど。湯船から上がる頃にはもう自分で考えるのが難しくなってきて、私は桑名江のしたいようにさせることにした。嫌じゃない、というのが最大の理由だ。
その、思ってたのと違っただけで、嬉しいは嬉しい。恥ずかしいからブレーキをかけてしまうだけだ。桑名江を思って一人で耽っていたのだから、嫌じゃないに決まっている。
お風呂から上がると、浴衣だけだと身体を冷やすからと内番着の上着を被せられた。温かい。それ以上に、石鹸と洗剤の匂いがした。刀剣男士たちは体臭らしい体臭がないけれど、自分とは違う匂いが確かにあって、心拍数があがる。
そそくさと部屋に戻ると、当然ながら部屋を出たときのまま。少し乱れた座布団に、綺麗に敷かれた桑名江の布団。
「布団は一つで十分だよね」
ぱたん、と後ろで襖が閉まる。そうして腰を抱かれて、私はまな板の上の鯛ならぬ、布団の上の審神者になった。
ぎこちなく正座する私を、桑名江が後ろから抱えるようにして座って、抱きしめてくる。どうしても硬くなる身体を、何度も撫でて解そうとしてくれる。
「まずは『きす』から……だよ」
「……っ」
姿勢を崩して後ろへ上半身を捻りながら、きゅっと目を瞑る。大きな手が頬を一撫でしたかと思うと、唇に柔らかい感触が来た。
ぴったりとくっついて、しばらく動きが止まる。
かと思うと、そっと唇が離れた。
薄目を開けると、当然ながら本当に近い位置に桑名江の顔がある。髪の毛で瞳は見えないけれど、通った鼻筋と綺麗な肌、ふっくらと厚い唇は無防備に薄く開かれていて、その中に綺麗な歯列と、舌先が覗いていた。
「主、息。忘れてるよ。息して」
「はっ」
なんだか自然と息を止めていた。桑名江の声かけで、肩で息をして整える。
「キスの時も鼻で息をすればいいんだよ」
……私よりも遙かに人間歴の浅い刀剣男士にキスの作法を教わることになるなんて、昔の自分に言っても信じないだろうな。
「ん、む」
もう一度唇を塞がれて、言われたとおりに鼻で息を続ける。
今度は唇をもにもに動かされて、ちゅっと吸い付かれる。柔らかな感触は心地よくて、気づけば桑名江の腕に体重を預けていた。
「ぁ……」
唇が離れるのが惜しくて、自分でも驚くほど不満げな声が出た。
あ、と思った時には、もう一度ちゅっと吸い付かれていて。その上ペロリと舐められて、思わず唇を引き結んだ。
「桑名、」
「可愛いね」
沈黙を避けたくて名を呼ぶと、囁くような声が返ってきた。思ったよりも低くて、腰に響く。
優しく私を抱き止めていた手が、合わせの隙間からそろそろと入って、肌を這う。ナイトブラの上から胸の形を確かめるように指が滑った。たったそれだけで、腰が抜けそうなほどぞわぞわとして、縋るように桑名にしがみついた。
「怖い?」
「……は、恥ずかしくて。とりあえず、今は」
「よかった」
宥めるように桑名江の唇が頬に、瞼に、鼻に触れる。惜しみのない愛情表現に、戸惑いと羞恥が反省に変わっていく。受け止めるのに精一杯で、何も返せていない。仮にも彼への恋心を口にしたというのに。
「あの、桑名」
「うん」
ナイトブラのアンダーから、桑名の指先が潜り込む。様子をうかがうような、焦らすような動き。……流石に、これをスマートに脱がせるはずはない、と思いたい。
「ちゃんと、好意はあるの。嫌じゃない。その、だから……べつに、桑名の身体だけが目的ではないというか。桑名の好意も、嬉しいと思っていて」
口にすると、今言うことじゃなかったように思えて口が重たくなっていく。代わりに自分で胸元に手を突っ込んで、ナイトブラのカップをサポートするフロントホックを外した。そこから、桑名江の手を迎え入れるようにブラを上へずらす。
尻すぼみに終わった私の言葉だったけれど、桑名江はキスを続けながら、遠慮なく私の胸に手を被せた。露わになって少し肌寒く感じていたのが、一気に温められてほっとする。
「んっ」
「伝わっているよ。でも、教えてくれるのは嬉しいから、もっと言って欲しいな」
「あ、くわ、な」
桑名江の大きな手が、やわやわと胸を揉む。硬くて分厚い皮膚。私よりもずっと太くて長い指。なのに、そうっと優しく揉まれて、気持ちいい。
「ん、ん」
「凄いね。手に張り付くみたい。……気持ちよくて全然離せないや」
少し熱持った桑名江の息が近い。当然ながら自分とは全然違う触り方に緊張しながらも、胸の頂きは既にぷっくりと膨らんで、その時を期待してしまう。
「……はぁ、ん♡」
伏し目がちに待っていると、桑名江の指先が乳輪に触れ、こりっとした乳首を押し倒す。直ぐに親指と人差し指で優しくつままれて、くりくりと弄られたり、指の腹ですりすりと扱かれる。
腰が揺れてしまう。胸の先は硬くなると痛く感じるほど敏感になるけれど、桑名江の指先はそれを知っているかのように、いつまでもフェザータッチを止めない。それが気持ちよくて、唇を閉じても鼻から嬌声が抜けていくのを止められない。
「うん、実ってきた」
そう言って、胸に触れていた手がおもむろに浴衣を引っ張って、前をはだける。止める間もなく露わになった場所を口に含まれて、背がしなった。
「ふぁ、あぁっ♡♡♡」
「こんなに甘く実って……美味しい」
そんなわけないのに、乳首を桑名江の舌先で転がすように舐められて、何度も吸われて、目眩がしそうな程の快感に身体が苛まれる。
「んっ♡ やぁん♡ そんな、ちゅぱちゅぱ、しちゃ……♡」
「うん? でも……主の声、蕩けてるよ……気持ちいいよね?」
「あ、あっ♡♡ しゃべっちゃ、っ♡」
桑名江の体温と、口の中の温度。吐息。胸に口をつけたまま喋られて、舌や歯と唇の動きまで愛撫に変わる。
「こっちはどうかな」
「あぁっ♡ そん、な、りょう、ほ、ぅっ♡♡ はぅ♡」
片方は口で、もう片方は手で。胸の果実に触れられて、あらぬ場所が疼く。じわじわと身体がずり落ちて、気づけば仰向けになっていた。桑名江はそんな私の身体を跨ぐように、馬乗りになっていて。
「ん♡ やぁんっ♡ も、むね、ばっかり……あぅ♡」
身体の奥の疼きが大きくなって、何度も両膝を擦り合わせる。けれど決定的な刺激は得られず、もどかしさが募る。気持ちいいのに段々物足りなくなって、激しくされたくなってくる。
「はぁ♡ んん、っ♡ だめ、ぇ♡ すりすり、……っ♡♡ あ、あっ♡」
乳首への焦れったい愛撫と、時折強く乳房全体を大きく揉まれ、あるいは吸い付かれて、その淫らな光景に息が上がる。
「こうしてあげると、人の身体はどんどん熟れていくんだって。ほら、主も腰が揺れてきた」
「~~っ♡ いつの、まにっ♡ どこで、そんな、こと、をぉ……っ♡♡」
「どこって……そりゃあ、君によこしまな気持ちを持ってから色々と文献を当たってみて、だよ。論文とか、医療系の資料映像とか……ああ、雰囲気作りの参考に、フィクションの本も満遍なく。映像も色々見てみたよ。僕より先に顕現した刀剣男士はその辺の知識も豊富で、数には困らなかったから」
――最後だけはあまり聞きたくなかった。
けれど、最初にアカデミックなものにあたるところが非常に桑名江らしい。なんて場違いなことを考えているのは私も同じだ。
「胸だけで『おおがずむ』を感じる人もいるらしいけれど……最初から無理は良くないよね」
散々弄られて、名残惜しそうに解放された乳首はピンと勃ちあがっていた。やっと桑名江の手と口から開放されたというのに、なんだかじくじくと疼いて、もう触りたくなる。
その欲求を我慢すると、代わりとばかりに腰が揺れてしまった。私の身じろぎをどう受け取ったのか、桑名江は私の腰に巻かれているだけになった帯を解いた。それで、大事な場所だけがかろうじて隠れているだけの、胸元も足先もはだけたあられもない格好なのが更に崩される。
後ろ向きに数歩膝で歩いて、桑名江が私の足の間に身体を入れる。
ナイトブラと揃いで買ったショーツは、慎ましく私の下腹部を包んでいる。桑名江はそれを興味深そうに見つめて、触れた。
「意匠が凝ってるね」
「そ、そう、かな」
「うん。肌着の美醜はまだわからないけれど、主の身体が熟れて、蜜を出しているのが分かるのは、直接的に見るよりも興奮するかも」
とんでもないことを口にされ、カッと身体に熱が走る。私の羞恥を煽ったことに気づいた彼は、直ぐに私の足を掴んで固定してしまった。
「ごめんね。でも、ここ……蜜が染みて、濡れてるよ」
「あんっ♡」
桑名江自身の身体がある所為で足が閉じられない。だから膝を曲げて、膝同士を揃えて足を閉じようとしたのに。ショーツ越しに中指を押し当てられた。すりすりと擦られ、迸る快感に足が跳ねる。彼の親指がクリトリスを優しく押さえて、圧がかかる。
「ん♡ はぁ、……っふ、ぁ♡ くわな、そこ、もっとさわって……」
欲しかった快感に、彼の手に腰を擦り付ける。ショーツに手を掛けてずり下ろすと、残りは桑名江が攫っていった。
一糸まとわぬ秘部を晒す。恥ずかしいのに、もうどうしようもないくらい刺激が欲しくて足を開く。桑名江が見つめる前で蜜壺がひくんと動いた。羞恥が感覚を鋭敏にさせている。
そこに、改めて直接、指が擦り付けられる。
「――~~っん……♡ あ、そこ、ぉ♡ きもち、いい♡♡」
あっという間に桑名江の指が濡れて、ぬるぬるとした感触に変わる。つぷ、と指が入ってくると、その太さに背がしなった。甘い快感に貫かれて、イくほどではないものの気持ちよさに声が震える。恥ずかしさはまだあるのに、もっと気持ちいいのが欲しくて言葉が零れていく。
「もっと、して……♡」
「もちろん」
中を探るように動く指とは別の手で、桑名江が私の割れ目を左右に開いた。秘められた谷の中、更に皮の影に隠れた肉豆を舌が舐める。当然のように中に入れられた指がその間も止まることはない。
「んっ♡ ああっ♡♡ きもちいいっ♡♡♡ きもちいいよぉ♡♡ 桑名ぁ♡♡♡」
中と外とを一度に責められて、甘叫び声が飛び出していく。内股に感じる桑名江の柔らかな髪の毛の感触。口の中の熱。あっという間に潤んで、指に蹂躙されていく肉壷。
ちゅくちゅく、ちゅるちゅる。桑名江の唾液がまぶされ、まるで聞かせるみたいに音を立てながらの口淫で耳まで犯されている気分になる。ぬるりと抜けていった指は二本に増えて、一気に質量を増して肉壁を押し広げた。それもまた、気持ちがいい。その二本がバラバラに動いて、いろんな場所が擦れて、快感が爆ぜていく。
探るような手が、一定の動きに変わる。中の良い所が分かったのか、そこばかりとんとんと指で叩かれて、私は声が上擦るまま絶頂の山を駆け上がった。
「イく♡ イっちゃ、うぅ♡♡ イくっ、イくっ♡ あぁああっ♡」
私の声に応えるかのようにスパートをかけられ、ガクガクと足が痙攣する。いつの間にか責め立てる手は止まり、桑名江が空いた片手で髪をかき上げていた。
「ふーっ……」
気を落ち着けるかのような深呼吸の最中、目が合う。と、桑名江の金色の目が柔らかく細められた。
「すごいね、僕の指、きゅうきゅう締め付けられて、奥に引き込まれて……今すぐ入れたくなっちゃった」
彼の言葉はどこまでものんびりとしていた。
けれど、ゆっくりと指を引き抜いた彼がジャージの下を下着ごとずり降ろして見せてきた昂ぶりは荒々しく膨らんで、腫れ上がっていた。
「くっ、くわな、」
唇が震えた。確かに桑名江は身長も高く、どちらかと言えばがっしりした体格だ。けれど、その、彼の股間にあるものまで、そうだとは思わなかった。
太さは私の指がぎりぎり回るくらいかも知れないけれど、それでも太いのは太い。それに、それ以上に長いのだ。私が手のひらを大きく開いた親指から小指までの距離が大体20cm。それくらいあるのではないだろうか。
おののく私を見て、桑名江は何を思ったのか、どん、と私の下腹にご立派を乗せた。私の下生えを抜けて、ヘソに届きそう。赤くぷっくりとした先っぽは桃のようになっていて、既にてらてらと濡れていた。
目が離せなくなる。
「これがね、入るよ」
「う」
「うん。多少ずれるけれど、全部入ったら主のこの辺まで僕でいっぱいになるね」
いつも通りの声色で、恐ろしいことをぽんぽんと投げないで欲しい。
「あの、桑名。物理的に無理だと思うのだけど」
「子宮は鶏卵くらいの大きさで、一般的に膣は8~10cmだものね。でも、主が気持ちよくなって、中が潤んでいたらかなり伸縮性があがるんだよ」
「でっ、でも、明らかにおっきすぎで」
「直径は3cmより少し太いけど、平均的な範囲を超えるものじゃないよ。長さも16cmだから、特別長いわけでもないし」
穏やかに、優しく反論してくる桑名江の様子を見ていると、そういうものなのかと思ってしまう。というか、計ったのか。桑名江らしいな。
「最初から全部入れたいなんて思ってないけれど……主にはまず、とにかく気持ちよくなって欲しいんだ。前戯で充分な快感を得た後、精子を求めて降りてきた子宮口を優しく刺激してあげるといわゆる『中イキ』をするくらいにいいらしいよ。そのためには必要十分なサイズだと思う」
声は甘やかなのに、内容は理性の塊みたいな発言に、調子が狂っていく。私は今なんのプレゼンをされているのだろう。
「で、でも、それはそれで私ばっかり……桑名がお預けにならない?」
「確かに、ここまでくるともう出すまでは収まらないかな。でも全くのお預けというわけでもないんだよ」
「……無理とは言ったけど、ずっと我慢させたいわけでもなくて」
口が滑っていく。多分、ソリ滑りよりも。
暗に手や口ですることもできると伝えたつもりだったけれど、いつもよりもいくらか熱い吐息と共に、桑名江が笑った。
「別に、我慢なんかじゃないよ。まあ、流石にさっき入れたいって言った口で、説得力がないかもしれないけれど」
大きな手がお腹を撫でる。少し落ち着いたものの、まだ絶頂の尾を引く身体はそれだけでも淫靡な刺激を受け取ってしまう。
「収穫時を見極めることを、一言『我慢』とは言わないでしょう? 主が僕を受け入れられるほど熟れるまで、そうかからないはずだよ。自覚がなかっただけで、一人で淫らなことをするくらい、君はもう自分で準備していたんだから」
囁くような声に、じわじわと身体に熱が戻ってくる。なんてことを白状したのだろうという気持ちと、改めて指摘されると自分の淫乱さが度を超しているように思われて、恥じらい等という可愛らしいものではない、『恥』が湧き上がる。
「でも、自覚が遅かったお陰で、根回しは無事に終わったよ」
「え?」
桑名江の言葉に、なにが、と反射のように言葉がまろび出た。
「何って……そりゃあ、他の刀達への周知だよ。お陰で、あとは主に気づいてもらうだけだったんだ。先に身体の話をされて吃驚もしたけれど……無事に花開いてくれて、実って、熟れて……ねえ、主。後は収穫するだけなのに、僕が手を止める理由がないと思わない?」
桑名江の声が、甘い。しっとりとして、彼の深い愛情を感じているのに、男として私に欲をぶつけたい、絶対に引かないという劣情も感じる。
私が桑名江の手に触れられたいと思ったように、彼もまた私に触れたいと思ってくれていた。それを叶えるのに、怖じ気づく必要はない気がした。
「大好きだよ、主。とっても可愛い……愛おしい、って言った方が、喜んでもらえる?」
未だ私の下腹には猛々しいものが乗っていて、甘く優しい桑名江の声との乖離を感じるけれど。
「桑名が私にしてくれることで、喜ばなかったこと、あった? 全部嬉しいよ」
言うと、嬉しそうに桑名江の目尻が下がった。長い前髪の一部が耳にかかって、黙っていても感情が見えやすい。
どちらともなく指を絡め合って、挿入こそないものの正常位みたいな格好で抱き合ってキスを繰り返す。その度に私のお腹に擦り付けられる昂ぶりに、薄まっていた湿度が戻ってきた。
「主は覚えているかな? 力加減の話。だいぶ前に畑でしたよね」
「うん」
ふと口を開いた桑名江に相づちで先を促す。と、桑名江は手を解いて私の上で四つん這いになった。
「僕のこれは強く扱いてもいいけれど……」
言って、自分で自分の膨れ上がったものを扱いてみせる。大きくて肉厚な桑名江の手の動きと連動して皮が伸び縮みして、先端が涎を垂らしながらぱくぱくと小さな口を開閉する。
改めて見せつけられたものの淫猥さにこくりと喉が鳴った。
「主のここ、は」
釘付けになっていた隙をつくかのように、桑名江の手が肉棒から離れて私の蜜壺へ潜り込む。未だしっとりと濡れているそこは、先走りで濡れた指をあっさり咥え込んだ。
「ひぅっ♡ っ、あ、やぁ♡ だめ、だめぇ♡♡」
気持ちいい場所を把握してしまったらしい桑名江の指には迷いがない。その上、またクリトリスを指でぐりぐりと押さえられて、あっという間に快感の波が現れた。
「乱暴に扱っちゃ、傷ついちゃうから……少しずつ……丁寧に解さないとね」
「~~っ♡♡♡」
「いきなり僕のを入れたりなんか、しないよ」
飽くまでも優しく、言葉通り少しずつ、指が奥へ奥へと入ってくる。
「あ……っ♡ おく、にっ♡♡」
私の指よりもずっと長くて太い。いつもは届かない場所をくすぐるように指先が動いて、腰が揺れた。私の声を聞き逃さず、桑名号の指先は再現性を確かめるように何度も同じ場所に触れる続ける。
「あっあっ♡ そこっ♡ だめぇ♡♡ きもちい♡♡♡」
「体格差を考えても、どうしても君に負担をかけちゃうからね。理屈的には、少し痛いのが普通で、慣れていくしかないって分かるのに……。
でも、すごく嫌なんだ。君を甘く溶かして、気持ちよさしか感じて欲しくない。ぐちゃぐちゃに乱れて、濡れた声で僕を呼んで欲しい」
健気で真摯な言葉に反して、その指は容赦なく良い所ばかり触れて、かと思えば高まる寸前に弱まって、本数が増える。
「ひぅうっ♡ も、そんな……っ♡♡ いっぱい入れちゃ、だめぇ♡ きもち、いい、からぁ♡♡♡」
「……っ僕を少しでも怯える主を想像するだけで、気分が悪くなるんだ」
「あっ♡ あっ♡♡ やぁんっ♡ も、イかせてぇ♡♡ 桑名の、入れていいからぁっ♡♡♡」
太い指を三本も入れられて、痛みも何もない。気持ちいいしかない。だから、一度イかせてほしい。指がダメなら、昂ぶりで貫いて欲しい。
「ね、もう……っ♡ ちょうだい、くわなぁ、」
そう思うのに、ねだるのに、桑名江が指を抜くことはなかった。
「っ、そんな聞き分けないこと言わんで……まだあかんに。もうちょい僕につきおうてや」
「……!!!」
――……ここぞで方言出すのは、ずるいでしょ。
不意打ちに、私は彼の指をぎゅうぎゅう締め付けて、軽くイってしまった。
桑名江に限らず、咄嗟の時に方言が出る刀剣男士は何振りかいる。
ただ、流石に情事の最中に放たれるそれがこうも響くだなんて、想像もしていなかった。
「はぁっ♡ ち、ちが……♡♡ 今のは、ノーカン、ノーカンで……ぇっ♡」
「……主、今のは流石にドキッとしたよ」
「んぁんっ♡♡ イったからっ♡ まだ敏感、だからぁ♡♡♡」
さっきよりも桑名江の指使いが激しい。先を急ぐようにぐちぐちと膣口を広げられて、擦れる指からの快感が強くなる。愛液が止めどなく溢れ、桑名江の指を濡らしているのが分かる。
「教えてくれる? 今の、方言に反応した?」
「やっ♡ それはぁ、っん♡♡」
「それとも、こらって窘められるのが好きなのかな?」
「んん~~っ♡♡♡」
もうとっくに身体は受け入れる準備ができているはずだ。なのに、桑名江は指がふやけそうなくらいいつまでも蜜壺の中を苛み続ける。
「主、かわいい……いっぱい気持ち良くなって」
「んやぁっ♡ あっ♡ また♡ イっちゃ、ぅうっ♡♡♡♡♡」
両手で膣口とクリトリスを責められて、絶頂の余韻もなくまた次の高まりに押し上げられる。
上がりきった感度は落ちることがなく、逃げて腰を揺らしても、桑名江の手がそれを追いかけてくる。その上で確度の上がった愛撫に、じんじんとクリトリスが痺れてきて、イってるのかそうじゃないのかの境目があやふやになっていく。
何度もそれでイかされて、まさか四本入れられるまでこれが続くのかと思うほど。しつこいと評してもいいほどの手淫に、徐々に泣きたくなってくる。
「もう、やだぁ……っ」
「主?」
ひく、と喉が引きつって、切なく胸が痛んだ。あんなにも想像した桑名江に触れられているのに、それ以上を求めてしまう。冷静な判断じゃなくて、心のままにもっと私を求めて欲しいと。
「桑名の、入れてっ、わ、わたし、ばっかり……っも、いやっ」
「主、泣かんで、な? 辛かったんやね?」
するすると桑名江の指が引いて行く。圧迫がなくなって、私は上半身を起こして、桑名江を押し倒した。位置が入れ替わり、足に力を込めて腰を浮かせる。
「わっ」
「自分で入れる」
私が怯えてたから、桑名江が充分過ぎるほど堪えている。なら、私が悪い。だったら自分で始末をつける。
そう言って桑名江の――まだ萎えてないものの、なんだか可哀想なほど先走りでびしょびしょになっていた――を掴んで立てた。そこに蜜壺の口先を合わせようと腰を下ろしかけ、結局先端が触れるか触れないかのところで、凄い力で腰をつかまれて阻止された。
「分かった! 分かったから! そんな急がんでって! なあ!!」
桑名江の慌てように拗ねた気持ちが膨らむ。だったらもう少し求めて欲しい。……その、いやらしく濡れる場所ばかり見るんじゃなくて。キスとか。胸をもっと触るとか。私には流されて欲しいと言いながら、自分が流されるつもりはないらしい。冷静さなんて、もうちょっとくらい失って欲しいのに。
「……じゃあ、入れてくれる?」
「うん。意地悪言ってごめんね」
「桑名ので気持ちよくしてくれたら、ゆるす」
桑名江の手が私の腰をゆっくり放して、背中に手を回す。ちゅ、ちゅ、とキスをしてくる彼に、騙されないぞ、と言う気持ちと、これを求めていたと素直に嬉しい気持ちが湧いて、自分からも口づけた。
「ん、胸も、もっと触って……いっぱい、」
「はぁ……主、どんどん可愛くなるね」
胸の時にそうだったように、桑名江の手は私のお尻を形に沿って撫で回して、思わせぶりに左右に開いてはぷるんと肉が揺れる感触を楽しみ始める。私の要望に応えるように、彼の鼻先が乳房を押し、つん、と乳首を挽きつぶした。
愛撫のやり直しに、今度こそ本懐を遂げられるのかと力を抜く。
自分からも桑名江を求めるように身体を擦り付けていると、抱きかかえられて、また仰向けに転がされる。それに身を委ねて、彼を誘うように足を開いた。
もう桑名江の大きさも怖くない。
「来て、桑名」
指で肉を掻き分けて蜜口を示す。桑名江の先端はくちくちと何度か肉襞を擦った後、ぐっと口を塞いで、中へと入って来た。
「くぅ……ん♡」
太い。指なんか目じゃないくらい太くて、熱くて、ぬるぬるしていて、大きい。
みちみちと肉を割り開いて、必死に息を吐いて力を抜く。早まったとは思わない。だって、擦れるのが気持ちよすぎて、少しくらい痛くてもいいからもっと奥に来て欲しくて腰が揺れるんだもの。
「あっ、こら……待って、主」
桑名江の腰が少し引いて、浅いピストンに頭がひりつく。待ち遠しくて、迎えに行きたい。でも、少しでも慣らして、スムーズに入れられるようにしてくれているのが分かるから、私は嬌声を上げながら堪えるしかなかった。
イくには足りないけれど、圧倒的な質量で迸る快感。早くどうにかなりたい。そう思うのはおかしいだろうか。
しばらく焦れるようなストロークの後、不意にちゅこ、と一線を越える感覚があった。
「んぁあん♡♡♡ はい、ったぁ♡」
勝手に中が痙攣している。触れられてないはずのクリトリスからじんわりと甘い快感が滲んだ。これもイったうちに入るのかも知れない。
桑名江も私が気持ちよくて締め付けてしまうからか、苦しげに呻きながら息を整えていた。
「はぁっ♡ ん、すご……♡ 主のナカ、気持ち良すぎて、なんも、分からん……っ♡」
止められないとばかりに桑名江の腰が揺れる。それが優しく中を揺さぶって、じわじわと熱いお湯みたいな快感が湧いてくる。
「こんな、はずじゃ、くっ♡」
乱れる呼吸を整えながら、桑名江が喘ぐ。それが可愛くて、その髪に指を通した。何度も頭を撫でる。
「んっ♡ もっと奥、きて……?♡」
「~~っ♡ 主、その声、ほんまにあかんって……!」
「ぁ、あ♡♡」
たまりかねたように腰を押しつけられ、一気に身体が密着する。桑名江の熱い身体が気持ちいい。荒々しく唇を奪われて、厚い舌が唇を割ってきて口内を蹂躙した。
歯列をなぞり、私の舌を追いかけ回して、まるで引きずり出すように吸い上げる。唾液が混ざって泡立ち、上手く飲み込めないまま口の端から溢れた。
「んっんっ♡ んふ♡ んぁん♡♡」
口を塞がれても、鼻から、合間から、甘い声が漏れる。散々放っておかれて寂しかったからなのか、深い口づけに桑名江と擦れる全ての場所から快感が滲み出る。最奥まで彼を受け入れて、苦しいけれど動いて欲しくて、桑名江の背中に、腰に、お尻に手を回して彼を煽る。
「んっ、やらしい手つき、やね……っ♡ 主のこんな色っぽいとこ、他の男が知らんのやったら、ええんやけど……っ」
「はぁ、あんっ♡♡♡ し、らないっ♡♡ くわな、しか、ぁ♡」
「う、くっ♡ はぁ……っ♡ ほんま? うれし……っ、かわいい、主、僕のでいっぱいになって、気持ち良くなってるとこ、もっと見せて……っ?」
桑名江の腰が揺れ、奥を突かれる。ぐいぐいと彼の先端が最奥へ押しつけられ、熟した果実から果汁が出るように、身体の奥でどんどん快感の飛沫が飛び散る。
「すき♡ くわなぁ♡♡ すきっ♡♡ あっ♡ イく♡ イくのっ♡ 桑名ぁ♡♡♡」
「見とるよ、主っ、イって、気持ち良くなって……っ! 僕も、すき、っ、大好きやに……!」
「イくイくっ♡ いっ、くぅ、――~~っ♡♡♡♡♡」
「く、ぅ♡♡♡ ……っ、は♡ あかん、締め付け、すご、っ♡♡♡」
一番大きな波に頭が攫われる。振り落とされないように彼にしがみつくものの、身体の奥の快楽の源泉に意識を奪われて、それが暴れるまま身体が跳ねた。
私の腰を掴んでいた桑名江が、ぎゅっと自分の方へと押さえつけ、一際強く腰を突く。それでまた一段快感の波が被さって、息もできない。
きゅっと収縮する感覚が解けたのは、数秒後。止めていた息を吐いて、吐いたから吸えるようになる。呼吸と共に身体も弛緩を始め、漸く絶頂から降りてこられた。少し腕の力を緩めると、じっと何かに堪えるような桑名江の頭頂部が視界に広がる。
「……ん……♡」
はあ、と繰り返す息がまだ熱い。肌にもまだ甘い痺れが残って、時折ぴくんと疼く。
彼もまた、大きく荒い呼吸で肩を揺らしていた。刀剣男士が肩で息をするほどになることはあまりないことだから、無防備なまま晒され続ける頭頂部を撫でた。さらさらと髪の間を指が抜ける。頭皮から出た汗だろうか。少し湿っていた。
桑名江の大きな昂ぶりはまだ私の中にあって、どくん、と不規則に力強く脈打ってはその前後で微かに桑名江の身体がふるりと震えている。
「うっ♡ 主、いま動かんで……♡」
中に注がれていると思うと、つい締め付けてしまった。可愛らしい声に、身体が揺れてしまう。
「ふふ、かわいい」
「……主ほどじゃないよ」
彼の頭を撫でていた手を取られ、手のひらにちゅ、とキスをされる。私が掻き分けたせいでまた見えるようになった目が私を見つめた。息こそ上がっているものの、その顔に疲労はない。
「ふぅ……。どうやら、まだ元気が残ってそうだね」
彼の目に、私にとって不穏な色を認めて、咄嗟にマズイ、という言葉が頭に浮かんだ。
けれど身体はまだ余韻に浸っていて、逃げられない。身体もそうだし、頭も、まだ。
「花開いた君を手折ったんだから、君のここをじっくり耕して、種を植えないとね」
「さっきまで果実扱いだったのに」
「それはそれ。これは、これだよ」
散々熟れた身体だの収穫だのと言ってた口で、しれっと同じ意味の、違う例えを持ち出すなんて。
そう思いながら、桑名江が次にどんな風に私に触れるのかを期待している自分もいて、ああ、お似合いなのかと苦笑が零れる。
「……あんまり焦らさないでね」
「うん。もう懲りた」
注文を一つつけると、了承の言葉と共に桑名江の唇がちゅ、と私のそれに吸い付いた。
結局、桑名江による『私という畑を耕して種を蒔く』行為は、夜が更けるまで行われた。一度達したからなのか、彼が次に私の最奥で果てたのはだいぶ後のことで。それまで奥を優しく虐められて、焦らされはしなかったものの胸だの耳だのを同時に責められながら何度もイかされて、彼の形を覚えそうなほどあの手この手で律動を変えられて、最後は呂律が怪しくなっていた。
激しくないのに、重くて甘い絶頂に何度も喉を引きつらせる私を桑名江は嬉しそうに見下ろして、
「好きだよ」
「大好き」
「愛しい」
「可愛いね」
と飽きることなく繰り返した。言われ続けた私はと言えば、頭の中がふにゃふにゃになる感覚を初めて味わうと共に、桑名江の辛抱強さというか、しつこさというか、耐久力の高さを思い知ったのだった。
体力的に疲れ果てたからか、起きたのは昼を過ぎてからだった。障子越しに部屋に入ってくる日の光の強さでそれを悟る。
にも関わらず、まだ布団の中に桑名江がいて嬉しいよりも先に驚きが来たのは仕方がないだろう。もしかしたら、朝に一度畑には行ったのかもしれないけれど。
私を抱きしめながら、おはよう、とご機嫌そうな口元から朝の挨拶が零れる。
「初めてだったけど、たくさん主に気持ちよくなってもらえてよかった」
「……うん」
数時間前の情事に言及されて、身体の奥で火が灯る。けれど、散々与えられたせいか、心は酷く満たされていた。犬猫にするかのように頭を撫でてくる桑名江の胸に顔を埋める。
身体が限界過ぎて今日はもう仕事は無理だ。折角だから全部甘えてしまおう。そうしよう。
未だふわふわした気持ちのままそう決める。
休み明け。仕事の効率があがった私に、桑名江がしたり顔で迫ってくるのは三日後の話。
「結果は出したよね。継続しない理由は、ないと思うのだけど」
2025/11/20 UP
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