この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方の閲覧を固くお断り致します。
種を割る夜・おまけ2
桑名江と結ばれてからと言うもの、性欲は収まった。……かに、思えた。
確かにあの日の夜はよく眠れたし、桑名江が上手く隙を見ては求めてくれるのもあって、日中の仕事効率は上がった。メリハリがついたとも言う。
けれど、日が経つにつれて、今までとは違う症状が出始めた。
以前のものが片想い由来の理性による『想像から生まれる劣情』だというならば、今は桑名江と行為を重ねたが故の、なんというか、『身体が熱を帯びる発情』だった。
特に敏感な場所がむずむずして仕方がない。
桑名江を想う前から一人で発散することはあれど、こんな所構わず服の中で身体の疼きを持て余すなんてことはなかった。
けれど桑名江に触れられ、甘く溶かされると感じる充足感に抗えず、気づけば私からもお誘いをかけるようになっていた。桑名江は喜んでくれているし、関係には満足している。審神者業に支障はない。
とはいえ、だ。私はこんなに性欲が強かったのかと思うと同時に、このままお盛んだといつか仕事に直結しかねないという懸念から、こんのすけを呼んで審神者の相談窓口を頼った。
結論から言うと、刀剣男士と肌を重ねることによる一時的な副作用だという。
端的に言えば彼らの精を受け止めたことで霊力的に身体が物凄く元気になっており、それに伴って性欲が爆発しているんだそうだ。回数を重ねるにつれて馴染んでいくため、長期的な症状ではないものの、行為の回数を増やせば症状が治まるのも早くなるらしい。
――それを桑名江に聞かれたこと以外は、何も問題はなかった。
「んっ♡ んっ♡ くわ、なぁ♡♡」
「はぁ……っ、残念だな。主のこんな淫らな反応が、そのうち慣れてしまって控えめになるだなんて……」
「ふぁ、ああっ♡ そこ♡♡ きもち、いいっ♡」
私の仕事の進捗を見てお伺いを立ててくれていた桑名江は、ここ一週間ほど「主がそれで困っているなら解消しない理由がない」と言って毎晩部屋にやってきては私を抱いていく。
合理的な言葉とは裏腹に、行為は義務的なものとはかけ離れた密度だった。
霊力的な部分で桑名江に慣れるだけなら、口淫で精を飲み込んでもいいし、繋がって吐精するだけで充分なのである。
にもかかわらず、桑名江は毎晩飽きることなく私の身体の隅々までを愛撫して、どんどん私の良いところ、好きな触り方、緩急のタイミングを掴んでいく。憎らしいほどの優秀さに、私は恥じらうことも許されなかった。
今日だって、桑名江に後ろから抱きかかえられながら始まって、散々乳首をすりすりと優しく愛でられていた。クリトリスがじんじんして、一度も触れられないまま乳首だけで何度も浅い絶頂めいたものを味わわされて、秘所に彼の指が這う頃には、甘い声でからかわれるほど糸を引いて濡れてしまっていた。
それでも桑名江にされること全てが興奮の種でしかなくて、だから「今日は主が僕の上に乗ってよ」と言われて頷いた。
彼の目の前で繋がった場所を見つめられながら、蜜壺に男根を向かえるのはたまらない刺激だった。快感の火花が散り、それだけで達してしまうほど。目線だけでこんなに感度があがるのかと遠い理性が囁く中、私の下で桑名江が腕を伸ばし、散々触っていたはずの胸を揉み始めて。
腰を揺らして悶えれば、
「良い眺め。僕の形を覚えて、こんなに上手に咥え込んで……一生懸命腰を振ってるなんて。中はとろとろなのにきゅんきゅん吸い付いてきて、僕の精を搾り取ろうとしてくるよ……えっちだね」
「……っ♡♡♡」
意地悪な言葉にまた煽られる。桑名江の愛撫にぴくぴくと身体の奥が反応して、快楽が湧き上がる。
でも、物足りない。自分の体重だけでは、これまで桑名にされてきたみたいな、圧倒的な重い快感を得られない。押しつぶすような強い力なのに、奥を優しく小突かれて、どろどろに突き崩されていく官能を求めて、彼の前で大胆に足を開いた。M字開脚って、桑名江は知っているのかな。
「くわな、動いてぇ……っ♡」
身体を後ろに倒して手をつき、繋がった場所を見せびらかすようにして腰をへこへこと動かす。と、さっきまで揉んでいた胸を取り上げられた彼の両手が勢いよく私の腰を掴んだ。
「はぁー……っ、ほんま、えっちなんやからっ」
「あぁあ――っ♡♡♡♡♡」
下から一突き。たったそれだけで、自分だけでは無理だった快感を叩き込まれる。荒れた絶頂の海に落とされて、もうそれ以上優先すべきことがなくなる。
喉からきゅう、と引き絞った音が漏れる。桑名江の律動とともに、喉が開き、また嬌声が始まる。
「あんっ♡ いいっ♡♡ きもちい♡ くわなぁ♡♡」
「んっ、主、あるじ……っ♡」
「もっとぉ♡♡ くわなのおちんぽ、ずぼずぼして♡♡♡ おく、いじめてほし、っい♡」
下から揺さぶられて、腰を押さえつけられながらもびくびくと跳ねる身体は、快感を貪欲に貪ろうとする。
うっとりと感じ入っていると、不意に桑名江の突き上げるストロークが遅くなった、片手が繋がった場所に伸びる。
そして濡れた肌に指が滑り、迷うことなく私の淫らな谷間を割って、クリトリスを押しつぶした。
「ひぅっ♡♡♡♡♡」
一度じゃない。とんとんと指の腹で何度も押されて、膝が揺れ、官能に堕ちる。
「あ、ぅ、ぁ♡♡ あぁ♡」
「ん、これやったら奥だけでもイけそうやね……」
声もないほど深く絶頂へ引きずり込まれて、気づけば、桑名江が私を見下ろしてた。私は仰向けになって、彼を見上げる。
「……主、僕の『おちんぽずぼずぼして』、『奥、いじめて』あげるね」
「あ……♡」
ふーっ、ふーっ、と息を殺しながら私を見る桑名江の目は鋭くて、余裕のなさが窺えた。でも、それだって充分、私を煽る。
両方の膝裏を掴まれて、胸に向かって押しつけられる。
「ほら、自分でも抱えて」
「んっ、ん♡」
「良い子」
甘く囁かれ、ちゅっと唇に吸い付かれた。かと思えば、優しい声とは裏腹に、彼の太くて長いものが秘部を擦り上げる。
ぬるぬると抜けていったかと思うと、じわじわとまた入ってきて、彼の形を嫌でも意識してしまう。
「んぁ、あぁんっ♡」
「は、すご……さっきより締め付けてくるやん」
桑名江は何度かそれを繰り返すと、徐々にピストンを浅くして、早めていく。
奥を突く感覚と、何度も見た彼の形が結びついて、興奮を高めていく。重さを感じる昂ぶりを突き入れられて、もう欲しいばかりになって、怖さもおののきもない。
彼の精が欲しい。そこに込められた気持ちをぶつけられたい。
「あっ♡ あ、ん♡ くわなもいっぱい、きもちよくなって……♡」
「んっ、なってる、よっ」
「あ、あ♡♡ あん♡ あ♡ イ、きそ、♡ イくっ♡ イっちゃう♡♡♡」
こちゅこちゅと最奥を突かれて、そこから快感が広がって肌が粟立っていく。絶頂の予感に力が入って、それがより鋭く快感を拾っていく。
「いいよ、イって……っ、おねだりもイくときも、上手に言えてかわいいね……っ♡」
「くぅ♡ ん、――~~っ♡♡♡♡♡ ……あ♡ はぅ♡」
桑名江の声で絶頂が溢れ、流れ出していく。
それでも止まらない律動に、泉が川になり、どんどんと飛沫を上げ始める。
「あんっ♡ イった♡♡ イったの♡♡♡♡」
「うん♡ わかるよ、主……っ♡ いっぱい締め付けてきて、あいらし、……あ、僕も、っ♡ で、るっ♡♡♡」
「あぁあっ♡♡」
ぎゅう、と桑名江に抱きしめられて、その圧迫でまたイってしまう。彼の猛りが力強く脈打ち、ねっとりと腰を押しつけられる。それも気持ち良くて、浮遊感めいた感覚に目を閉じた。
自分で膝を抱えるのにも疲れてきて、手を放して足を下ろす。頬に桑名江の頭がすりすりと擦り付けられて、くすぐったくて笑みがこぼれた。
「く、ふふ」
「んっ、あるじ……いま締め付けん、で」
「今のは桑名のせいでしょ……ふふ」
今は敏感になっているから、純粋にくすぐったいだけではないけれど。
しばらくそうやって戯れつつ、やってきた眠気に身を任せた。
桑名江の朝は早い。日の出前には部屋を出て行って、朝食の準備が始まる頃には江のレッスンに向かう。
今日もそうだろう。既に布団に彼の姿はなく、私は身支度をした後こんのすけを呼び出した。
「はい、なんでしょうか審神者様」
「この間相談した件なんだけど。あの時は桑名が来てその場が有耶無耶になってしまったでしょう? 聞きそびれたのだけど、その、刀剣男士と愛を育む審神者は少なくないのでしょ? 皆が皆、私みたいになっていたりはしないの?」
「審神者様の体調や健康に影響を与えかねないため、かなりの数の聞き取り調査をしたそうですが、現れる影響は様々なようです。天候であったり、刀剣男士達に様々な動物の耳や尻尾が生えたり、刀種が変わったのかと思う程体格や見た目の年齢が変わる例も確認されています」
「えっ まさか、その……せ、性欲系は私だけ、とか?」
「いいえ、そうでもありません。一割程度ではありますが、比較的見られる影響ですよ。勿論、繋がった刀剣男士側の士気や感情が高まる例もございました」
審神者の一割って相当な数じゃないか……?
こんのすけの言葉に、次の疑問をぶつける。
「えっと、じゃあ……その一割は私と同じようなことになっていたり……?」
「いえ、そのうち四割ほどは特に問題ないようですね」
「個人差が激しいということ?」
「それもあるかとは思いますが、審神者様個人の性質と言うよりは、避妊であったり精を中に注がなかったりする場合、症状が出にくいようです」
「ひ、避妊してるの?! 初耳だけど?!」
「子が出来ることは現状ないと思われますが、通常、刀剣男士の精を受け止めると霊力が補充されすぎる傾向にあります。研修時に刀剣男士との霊力のやりとりをする場合の説明があったはずです。会話だけでも触れ合いがあった方が彼らの士気や調子はよくなるものです。同じ釜の飯を食うのも有効ですよと」
「あー……緊急時の話しか覚えてなかった……」
「あとは、刀剣男士たちも知っているはずです。これは政府側で現状や顕現するに際してあれこれと事前に伝わるようシステム化しているので、全振り知識としては持っているはずですよ」
「……。え?」
ということは、桑名江も知っているということだ。
頭の回転が早く、よく調べ物をするのだから知らないはずはないし、忘れていることもないだろう。だったら、こんのすけに解消方法を聞いたときだって彼は分かっていたはずだ。
どういうことだ、と疑問が浮かんだ時、襖の向こうで声がした。
「主。桑名江だよ。入ってもいいかな」
「! どうぞ」
タイミングが良すぎる、と思ったのは正しくて、桑名江がどこか機嫌を伺うように襖を開けたのを見て、聞いていたのだなと納得した。
こんのすけに礼を言って下がらせる。未だ廊下で佇んだままの桑名江を手招きして迎え入れた。
用があるはずなのに、まるで説教されるために来ましたとでも言わんばかりに私の前に正座をする彼に、ふと笑みがこぼれた。
「怒ってないよ」
「……そう? でも、聞かれなかったとは言え、自分からは言わなかったから」
「まあそうだけど。理由があるのでしょう? それを聞かないことには怒るも、許すもないとおもうの」
言うと、桑名江は頷いて、教えてくれた。
「あの時、君は眠れなくて疲れていたみたいだったから。元気になるかなと思って」
「その後も、様子を見ながら誘ってくれたのは私のキリが良いタイミングを見計らってと言うより、仕事の区切りで疲れが出てたから、ってこと?」
「それもあるけど、邪魔をするのはそもそも本意じゃないからね」
「そう……」
「でも、いっぱい注いだのは僕がそうしたかったから、だよ」
悪びれもせずにそう続ける桑名江に言葉に詰まってしまって、咳払いを挟む。
「それは、つまり……」
「主が色んな意味で元気になって不都合なことはないからね。それに、僕に慣れてくれたら……主が身体も霊力も僕に馴染んだら、きっと幸せだろうなと思って」
当然ながら悪意があるはずもない桑名江の言葉に、返事ができなくなる。
彼の話を聞いたって、怒るも許すも、ない。
「でもやっぱり、黙っていたことについては謝るよ。ごめんなさい」
「……うん。私も、自分の身体についてちょっと心配になっていたから。桑名の謝罪を受け入れます」
怒ってはいない。が、ちょっとだけ「言ってくれれば」という気持ちがあったのも事実だった。それが、桑名江からの謝罪で落ち着く。
桑名江が私を見下ろしながら沙汰を待っている。背筋は伸びているし、目元も見えない。
でも、どう見てもしょげている。
私の機嫌を損ねたくないと、どうすれば良いのかと考えている。
そんな風にしか見えなくて、惚れた欲目だなと笑ってしまった。
「こうなったからには私も早くあなたに慣れたいけれど。……いつもあなたばかりがんばってくれているから、次は少しくらい、私にあなたを愛でさせてね」
「!」
桑名江の肩が跳ねる。膝に置いた握りこぶしに力がこもる。
口元を引き結ぶ彼の表情は掴みにくいはずなのに、不思議と分かってしまった。
私が許してくれて嬉しい。『次』を口にしてくれて嬉しい。でも今は反省しないとだから、おおっぴらに喜んじゃいけない。そんな風に、私の目にはありありと彼の機微が見えたのだ。
ご褒美になっちゃったかな、と反省はしたものの、撤回する気にはなれなかった。
2025/11/25 UP
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