この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方の閲覧を固くお断り致します。
種を割る夜・おまけ3
主を意識したきっかけは、ある程度強くなってから中傷で帰還し、手入れ部屋に放り込まれたときだった。依り代の修復を待つ間、本でも読んでいようかと思ったのだけれど……戦の興奮からか、初めて勃起して、初めて抜いたあとのことだった。
擦るだけで気持ち良くて射精に戸惑うことはなかったけれど、食事を通して人間について実感を伴った理解を進めていた僕には新しい発見だった。それで、性にまつわる知識について多少学んでおこうかな、と思った。
まさかその過程で、主を女の人として見るばかりか、欲情するようになるとは予想出来なかったけれど。
僕が顕現した時点で、既に彼女は90を超える刀剣男士達の主だった。とても遠い人だったけれど、新しく来た刀には一ヶ月ほど交流期間を持つという運営方針に助けられたと思う。
僕に寄り添ってくれる彼女に親しみを覚えたのはすぐだった。人で言う里心がつくと言えば良いのか、本丸も彼女も大切にしたいと思った。それは大局を見てのことではなく、彼女の元へ顕現した、たった一人の、個としての桑名江――つまり、僕の気持ちだった。
馬をはじめとする生き物を可愛がり、愛で、湧き上がる慈しみの心。それは勿論人間としての主にも抱く感情だ。
そんな気持ちで接していたからか、ふとバランスを崩した彼女を咄嗟に抱き止めたとき、自分の肉体よりも遙かに華奢で密度のない、得も言われぬ柔らかな感触に息をのんだ。馬の逞しい筋肉とも、刀剣男士の自分とも違う。人間の女性という生き物はこんなにも取るに足らない肉体を纏っているのかと。
その日、初めて彼女の柔らかさを思いながら抜いた。五回抜くまで収まらなかった。
性衝動、というには妙にしっくりと馴染む気持ちを誰かに吐露するのは勿体ない気がして、しばらくは一人で持て余した。主を一目見るだけでやる気が湧くし、話をしたら元気が出る。
審神者と刀剣男士である以上は当たり前な些細なことに、次第に満足出来なくなっていった。
いや、満足出来ないというのは語弊がある。満たされている感覚はあるのに、主への興味は尽きることがなかった。
何が好きで、何が嫌いか。考えごとをするときの目線の癖。集中力が切れたときの姿勢の悪さ。和装に慣れないのか、たまに袴の脇あきにポケットよろしく両手を突っ込んで、慌てて出す仕草。
江の皆に、それが逸脱している観察だと言われたとき、僕はこれを恋と呼ぶことにした。
以来、彼女は主で、僕の好きな人になった。
季節の花々を育て、植木鉢に入れて彼女に贈る。歌仙兼定や燭台切光忠をはじめとする刀も花器や花には詳しいけれど、育てるのは僕の得意分野だったから。
あの手この手で主の気を引いて、いつからか畑の管理が僕に一任されるようになったのは嬉しい副産物だった。予算を含めて相談したいことや主の決が必要なことは沢山あった。
そんな主が、僕の手を魔法みたいだとキラキラした目で言うものだから。
「物にはね、それぞれ適切な力加減があるんだよ。
桃やイチゴみたいな柔らかい果物、キャベツや白菜、小松菜みたいな葉物、土の中から優しく掘り出す根菜……ふかふかのキノコに、頑丈に見える木の実。それから……――宝物にも、ね」
愛おしさと劣情を抱きながら、そのふっくらとした頬をつまんだ。そうしたらやっぱり身体は反応してしまって、気づいて欲しいような、気づいて距離を取られるくらいなら気づかれない方がずっと良いような、そんな日が続いた。
主が、疲れきった顔をするようになるまでは。
……絶対に、それを癒やすのなら他の刀は嫌だと思った。
絶頂し、意識が怪しい主から陰茎を抜く。すると、だらしなく開かれたままの足の間、僕に荒らされたばかりの場所からとろりと白い種が溢れて、お尻の穴の方へ伝った。きっと無意識なのに、お尻の方まで僕の種を求めるようにひくひくと動いて、僕はたまらなくなってまた主の中へ潜り込んだ。
――いつまでたっても陰茎はがちがちに勃起したままで、全然収まらない。
「んぁ、ああ♡♡♡」
うっとりとした声が歓迎してくれる。それを免罪符に、腰を動かして彼女の良いところに陰茎を擦りつける。彼女の中は熱くて柔らかくて、別の生き物みたいにうねって、絡みついて放さない。腰を引くときなんか、ちゅうちゅう吸い付いてきて、持って行かれそうになる。
それでなくても名前を呼ばれて求められると、その度に射精してしまっているのに。
主が気づいているかどうかは分からないけれど、いつも「僕ばかり余裕そうにして」と口にするから、きっと知らないんだろう。
主の中がよすぎて、何度も吐精していること。その上で、僕の陰茎は萎えずにいること。
でも知らないままでも構わない。僕にばかり奉仕させているつもりの彼女が、一生懸命に僕を気持ち良くしようと頑張ってくれるから。そういう姿が健気で愛らしくて、ぎりぎりまで黙っていたい。
「んっ……主、今日もたくさんしようね……♡」
囁くと、とろとろになった彼女が僕をきゅうきゅう締め付けながら、恥ずかしそうに頷く。それだけで一回出ちゃったなんて知ったら、主はどんな顔をするのかな。
ああ、彼女に奉仕されたいような、されたくないような。彼女の中だけじゃなくて、彼女の胸や顔に僕のものが散る光景を想像すると、何度も射精して気持ち良くなってるのがバレることなんて些細なことのように思えてくる。
僕にだって格好つけたい気持ちがあるんだと、言えば彼女は受け止めてくれるだろうけれど。
まだもう少し、『主しか女を知らないのに余裕がある桑名江』でいたいから、ごめんね、主。
2025/11/25 UP
メッセージは文字まで、同一IPアドレスからの送信は一日回まで