この話には性描写が含まれるため、18歳未満の方や高校生の閲覧を固くお断り致します。
争奪イニシアチブ!
一日目・夜 事故で魔法薬を被った監督生♀くんがハイエナの獣人になり自信満々に5万マドルを握りしめてオレのケツを掘りに来た件について
「……おいラギー、やけに機嫌が良いじゃねえか」
「ええ~? 分かります? 臨時収入で懐が温かい上に、今晩、美味いごちそうにありつけそうなんスよね!」
放課後以降、レオナを見つけてからのラギーは喜色満面だった。対するレオナの表情は渋い。ラギーがにまにまとしているときは大体割の良い仕事を得たときだが、絶えず鼻歌が聞こえるのがどうにも煩わしいからだった。
「なんでもいいが面倒だけは持ってくるなよ」
「その辺は上手くやりますよ。任せてくださいッス」
「外泊許可は?」
「ん~……今晩はいいッスかね。明日はどうなるかわかんねえッスけど」
テキパキと動きレオナの世話をし終わった後、ラギーはそそくさと自室で風呂を済ませ、『お呼ばれに行く』と言ってサバナクロー寮を後にした。
相も変わらず鼻歌と共に、軽い足取りで陽の落ちた敷地内を行く。監督生からせしめた五万マドルから念のためコンドームは未開封のものを用意したが、金を使った上、快楽目的でセックスに誘ってきたのだから、監督生も準備はしているはずだ。だが自分が抱かれる側でしかないことを彼女は知らない。彼女のサイズと自分のサイズは恐らく異なるものだろうし、そもそも誰かに任せきりというのは性に合わない。そこまで信用できる相手なんて身内の中でも『ばあちゃん』くらいで、今回の場合は特に何があるか分からない相手ということもあって、ある程度のことは自分で管理しておきたかった。そうでなくとも、何かあったときのために手立ては持っておかないと落ち着かない。
鏡を通り、夜道を歩く。鏡舎から程なくすればオンボロ寮だ。
鍵なんてあってないようなものだが、それはそれ。ラギーはドアノッカーを叩いた。
「はーい!」
中から監督生の声が響き、どこかそろそろとした歩き方と、床の軋みを感じながらドアが開くのを待つ。獲物が自分から進んで獲物になりにくるというのは意外と高揚するのだなとラギーは思った。耳が動く。
一応の鍵が開く音がして、ドアの向こうに監督生の姿が見えた。あちらも既に入浴まで済ませたのか、暖かそうなフリースの部屋着姿だった。
「お早いですね」
「そうッスか? でももう夜の九時ッスよ?」
確かにラギーはレオナの世話が終わったら、とは言ったが、何時に行くかは伝えていなかった。どうやら思っていた以上に楽しみにしていたらしい。
サバナクローならまだしも、オンボロ寮は気温の影響をモロに受ける。監督生から中へ案内されて、ラギーは玄関扉をくぐった。
オンボロ寮の中に古き良き風情は最早無く、廃墟寸前としか言いようのない寮内はどこからともなく風が入ってくるのか肌寒い。
(まかり間違ってアンティークとか高そうなモン転がってねえかな……とは思ったけど。やっぱないッスよねえ)
抜かりなく辺りに目を配りつつ監督生の案内で談話室を抜け、彼女の資質へと通されたラギーは、部屋の空気が変わった事に気づいた。監督生の匂いがするということもあるが、彼女の部屋は穴などはできる限り修繕されており、他に比べれば微かに温かみがあるように思える。ボロボロのままのカーテンが窓際にぶら下がっているのは優先度が低いからだろう。
ソファなどという上等なものはないので、と監督生自身からベッドへ座るように促されて、ラギーは遠慮なく腰を下ろした。
「ちょっと明日の準備だけさせてください」
言って、彼女は制服やら教科書やらをまとめ始めた。無論、一晩という話なのだから時間が短くなって困るのは金を出している彼女の方だ。ラギーとしては別に困ることもない。
「オレはいいッスけど。監督生くん、課題は終わりました? 一晩なんてあっと言う間に終わっちゃいますけど。寝る時間のこと考えたら実質数時間程度だし」
「うっ……い、一応は……予習までは手が回りませんでしたけど……」
「へ~。予習するんスね」
「雑用とかが無いときは。教科書読むくらいですけど、座学は元々好きな方だったので」
勉強用の机だろうか、使える程度には直した形跡のある家具を見遣る。監督生にとって重要度が高いものには手が加わっているのが分かった。生きるのに必要な寝床、勉強に必要な道具。堆(うずたか)く積まれた本は、ラギーが一年の頃に使っていた教科書の表紙が見えた。他に、恐らく図書館から借りたのだろう、見慣れぬ本もある。かと思えば子ども向けの本もあって、彼女がひっそりとツイステッドワンダーランドという世界について調べていること、この世界で生活するために行動を起こしていることを知る。
(こういうトコ、悪くないんスよねえ)
他人にひけらかさないところでオレの好感度を稼いでくるなあ、とラギーは思った。自分の力で生きる努力。そういう姿勢は共感できるし、肯定的な気持ちになる。
「……ん? 動物図鑑?」
彼女が片付けている勉強机の上。そこに、開きっぱなしのものがあった。本を閉じようとする彼女の動きに合わせて、開いてあったページが見える。何の変哲も無い動物の図鑑。その下にもやはりページを開いた状態の本がある。
何気なく立ち上がり手に取ると、下にあったのはサバンナの獣人たちに関する書籍だった。さらにその下には制服のポケットに収まりそうなサイズのメモ帳。いくつかある走り書きは書籍のタイトルとページ数、そしていくつかの単語だ。
「ああ……えっと、まあ、こうなったので。これを機に獣人について軽く触れておこうかと思いまして。クルーウェル先生が薬作ってくださるみたいで、来週の月曜日の放課後には元に戻れるっぽいんですけど……」
「ふーん。ってことは四日後か。土日挟むし、トラブルなんて早々起こらな……くもないのか。アンタですもんね。オレにとんでもないこと言ってた割には、結構普通に不安だったりするんスか?」
「すごい言われようなのにその通り過ぎて何も言えない……。いや、不安というか……なにかマズってからじゃ遅いかなと」
(もう遅いんだよなあ)
ラギーは思ったが、黙っていた。当然だ。ご馳走にありつくための立ち回りには自信しか無い。やらかしをフォローする義理だってない。
それよりも今の監督生がどこまで獣人――ハイエナの獣人についての情報を得たのか確認するのが先だろう。今からの折角のお楽しみが減ってしまう。それになにより――情報は金になるのだ。
「こんなん見るよりオレに聞いた方が早いじゃないッスか! 小ネタ一つにつき五十マドル、どうしても押さえておきたいネタなら千マドルでどう?」
「たっか。値段跳ね上がりすぎでは?」
「急ぎで知りたいこともあるでしょ?」
「ぐっ」
言葉に詰まる彼女を見ながら、どうやら『急ぎで知りたいこと』が彼女にはあったらしいことが分かる。ラギーの手元のメモ帳にそれらしい単語はないが、これからラギーとすることを考えればその『予習』の線はあった。
「時は金なり……っていうでしょ。クソ広い図書館で、しかも魔法士養成学校で、ピンポイントにハイエナの、もしくはハイエナの獣人について調べる? 確かにできなくはないッスけど、そんだけの労力と時間を使ってまで知る価値があるんスか? この先一生ハイエナのままでもないのに? 四日間でしょ? そういや課題出てるッスよね? そんな贅沢な時間の使い方できるほどの身分でしたっけ? 優雅でいいッスねえ」
「うぐぐ」
「お買い得だと思うけどなあ。勿論、金取る以上はウソは言わないッスよ。まあ、オレの知ってる範囲での話にはなるんで、結果的にウソだった場合もあるかもッスけど」
その分、普段の生活に関連する事柄に関しては本よりもずっと今を生きる若者としての必要な情報が即座に得られるというわけだ。
ラギーがそう仄めかすと、監督生は真偽についてはそれはそうだろうなという顔をした。誰しもきちんと調べればデマだとされることでも、本当だと思って過ごしていることはある。金が絡む以上情報そのものはちゃんと渡す事については信用されているだろう。だが、彼女は既に『聞かれなかったから答えなかった』と言われることがあるのを身を以て知っている。
「監督生くん、顔、顔。諸々全部丸見えッス。どうしても押さえておきたいネタなら千マドルって言ったでしょ。値段分の情報はちゃんとカバーしますって」
付け加えると、相当魅力に感じているのか、監督生はぐぬぬ、と声に出して奇妙な唸り声を上げた後、絞り出すような声で言った。
「今だけ限定同じハイエナのよしみでキャンペーンとかないんですか」
「へえ……具体的には?」
「割引!」
「え~……だってその状態ってめちゃくちゃ期間限定じゃないッスか。弱すぎるッス。今の監督生くんに必要なことだからこうして声かけてんのに」
「ぐうの音もでない」
ぐう、と呟きながら、監督生は片付けと明日の準備を終えたのかベッドへ座った。ラギーもそれを追うようにして隣に座る。
「値引きするなら身体で支払って貰いましょうかねえ」
そっと上半身を押し倒して二人でベッドを軋ませると、監督生はラギーの胸元に手のひらを添えた。
「いっ異世界の情報は?! 今ならブッチ先輩しか知りませんよ!」
「本当かどうか確かめる方法もないのにそんなん言われても」
「うぐう~っ! 圧倒的ド正論……!」
「シシシッ。もう手札はないんスか?」
「えっと、えっと」
「そういや、尻尾痛くない?」
「あ、まあ一応このためだけに服に穴開けるわけにも行かないんで多少窮屈なのと違和感がある程度で痛くはないです」
「そりゃ良かった。じゃあ、靴脱いでもっとベッドに上がって」
ラギーのペースに乗せられながら、素直に監督生が枕に頭を預けるのを見下ろす。
(この……素直さが腹が立つような、放っておけないような。他の連中にもこうなんだと思うと全然楽しくねえんだよなあ)
彼女との気易いやりとりそのものは楽しい。楽しいが、これからのお楽しみはこんな感情の比ではない。思わず唸り声を上げてしまいそうになるのを耐えながら、ラギーは歯を見せるようにニタニタと笑った。動物ならば威嚇行動だが、ラギーは獣人だ。監督生もそんな風には見ていないだろう。
「んじゃ、お買い上げいただきありがとうございますッス。サバンナの風がどーたらは知ったこっちゃねえッスけど、一緒にいーっぱい、気持ちよくなりましょうね」
「ひえ……」
言い聞かせるように言えば、監督生は顔を赤くして口元を手で覆った。金で買ったにしてはいい反応を見せる彼女に、ラギーも気分が良い。柔らかな彼女の部屋着の上から、遠慮無く胸の膨らみに手のひらを添える。ブラジャーの凹凸が伝わってくるものの、パッドを入れている様子はなく、思ったよりも監督生の胸が大きいことがわかる。あと、柔らかかった。
「へえ、胸大きいんスね」
優しく触れながら暗に『異性化したわけじゃないのでは』と告げると、監督生は気恥ずかしそうにラギーにされるがままになりながら「ひぇ」と情けない悲鳴を上げた。
「なんスかその声。気持ちよくない? あ、痛かったら直ぐに言うんスよ」
「うっ……い、痛くはないです。その、先輩の手が意外と大きいというか……ブッチ先輩に胸揉まれてるんだなと思うとめちゃくちゃ恥ずかしいというか……」
「今?」
ラギーが呆れると、監督生は両手で顔を覆った。彼女の恥じらうポイントが全く理解できない。尻穴に突っ込ませろと持ちかけておいて胸を揉まれるのは恥ずかしいなんて。
(監督生くんって実は結構な特殊性癖持ちだったり……?)
もしかすると獣人になっている影響で彼女優位ならば恥じらいが消えるのだろうか。しかし、ハイエナは雌のヒエラルキーが高い生き物。雄は子どもよりも地位が低い。ラギーが主導権を持つのを許さないのであれば理解できるが、監督生の様子を見るに嫌そうではない。
惰性のように彼女の胸を揺らしていると、顔を覆っていた手がラギーの胸板を押した。全く力のこもっていない添えるようなそれに、彼女の出方を待つ。
「いえ、あの、っていうか! 私が先輩を抱くって話でしたよね?!」
どうやら覚えていたらしい。しかし途中からラギーが突っ込んでも良さそうな話をしていたのは彼女の方だ。そして、ラギーは一度たりとも彼女に抱かれることを了承していない。
「ん♡♡……、痛いのは勘弁ッスけど、アンタも好きに触っていいッスよ。ほら」
彼女の手を取り、無造作に自分の股間に押しつける。柔らかな肉の感触と雌の匂いに、ラギーの雄は反応し始めていた。自分の手よりも小さくて柔らかい彼女の手が、雄に触れてびくりと跳ねる。
「ひぇ」
「変な鳴き声ッスねえ。こういう雰囲気なんだから……もっと、かわいく鳴いてくださいよ。なんなら、逃げ惑ってくれてもいいけど?」
「はわ……」
ぐるる、と喉を鳴らせば、相変わらず監督生の口からは嬌声とはほど遠いよく分からない呻きが漏れた。その声色は陶酔しているようにも聞こえる。
気を良くしたラギーは、彼の下着の中にしまわれた形に添って物慣れぬ様子で指を這わせてくる彼女をそのままに、自分の股間を彼女の同じ場所に押しつけた。
「っ!」
息を呑み手を引っ込める彼女を尻目に、何度か彼女の上で腰を揺らしてみる。
(……オレのよりでかくねえ? マジか)
彼女の服の下にある膨らみの大きさにラギーは引いた。立派に勃起している彼女の肥大したクリトリスの大きさは、確かに男性器が生えてきたと思っても仕方が無いのかもしれない。
しかしクリトリスはクリトリスでしかない。動物のハイエナならまだしも、獣人は基本的に人間ベースの身体をしている。彼女のそれには鈴口は無いはずだ。気づかないのだろうか。男性器をまともに見たことがない? それとも、先ほどラギーがペースを乱されたように、男性器だと思っている彼女は己のそれをきちんと確かめていないのだろうか。
「うぇ、あう、」
困惑した様子で意味不明な音をこぼすだけの彼女の様子をつぶさに観察する。
彼女はしっかりと、クリトリスとペニスが服越しに擦れ合う様を見ていた。凝視していたと言っても良い。息は乱れ、呼吸は浅く、顔は紅潮している。
「か~わいい。そんなんでオレのこと抱くつもりだったんスねえ?」
「だって……だってブッチ先輩が私に馬乗りになって腰擦り付けてきてるんですよ……?! 兜合わせだし……え、えっちだ……」
「……ハア?」
ラギーは口角を下げた。まるでラギーが彼女に入れて欲しくて誘っているような口ぶりは心外だ。
不満に思ってぐり、と強く腰を押し当てると、
「あっ」
ようやく監督生の口から嬌声らしいものがまろびでた。
(そうそう、そうやって余計なこと言わなけりゃいいんスよ)
ラギーは寮服の下を寛げるべく自分の股間に手を伸ばした。服が汚れるのも面倒だし、ジーンズで勃起したままは単純に窮屈でそのうちに痛みを伴う。
ヂヂ、とファスナーを下げてボタンを緩める。後ろ手に尻尾用のファスナーを下げていれば、監督生がのんきな声を上げた。
「ブッチ先輩、今めちゃくちゃえっちですよ大丈夫ですか」
「オレはアンタの頭の方が心配ッスね」
どうやら監督生の口はラギーの手が止まると碌なことを言わないらしい。
ラギーは手際よく服を脱ぎ――その際に忍ばせておいたコンドームの箱はさりげなく布団の陰に隠して――取り敢えず床を避けて先ほどの勉強机に向かって放り投げた。床も綺麗に掃かれてはいるが、カーペットもない板張りの床。その上普段は土足で行き来する場所なのだ。かと言ってベッドの上は汚れるかもしれないし落ちるかもしれないので避けたい故の行動だった。
さっさと上半身の衣類を脱いだラギーは、呆けたように自分を見上げる監督生を見下ろした。
「なんと豪快な……。さっ 寒くないです?」
「多少はね。でも、分かった上でここに来てんだからある程度は覚悟の上に決まってんでしょ。そんなことより……」
寝そべったままの彼女は、今のところ何一つ仕掛けてくる気配が感じられない。それはそれで思う存分貪るだけだが、気負うだけ無駄だったような気もして、本当にこの子は他人を振り回すのが上手いと思う。
「ほ~ら。アンタも脱ぐ」
「えっえっ」
するすると、彼女の部屋着の中に手を潜り込ませて、直接肌に触れる。その柔らかな感触に、ラギーの雄はぐっと熱を持った。男の、少なくとも自分は持たない柔らかさだった。
喉が鳴る。そのまま胸元まで押し上げれば、彼女の胸を包んでいるブラジャーが現れた。そういう意匠なのか、生地と同じ色の糸で繊細そうな花の刺繍があしらわれ、レースになっている。制服を着ているときはそうでもないものの、流石に下着はかわいらしいものを選ぶらしい。それとも、ラギーに話を持ちかけた故にそれを選んだのか。どちらにしても眼福だった。ラギーの言葉に押されてか、彼女が自分で背中に両手を回して、ホックをはずそうとしているということも含めて。
緩められた瞬間、ラギーの指先に感じていたワイヤーが浮くのが分かった。そろりと手を差し込めば、腹とは比較にならないほどの彼女の柔らかな胸を感じる。
まるで吸い付くようにラギーの手のひらに収まる彼女の乳房は、力の込め方によっていくらでも形を変えるようだった。仰向けになっているせいで、ラギーの手が無ければ緩やかに左右に流れるのも気分がいい。彼女の乳首が既にぷっくりと存在を主張していることもだ。
またぞろ腰が熱くなる。やはり先にジーンズを寛げて正解だったとラギーは思った。
「……いい眺め」
彼女の乳房を真ん中に寄せれば、それなりの高さになる。その頂(いただき)で触って欲しそうに鎮座する乳首に向かって、ラギーは遠慮無く食らいついた。
「あんっ!」
彼女の腰が跳ねる。柔らかな彼女の部屋着の感触と、寛げた故に下着越しに雄が擦れた。さあいよいよだ。
「んっ、んっ、せんぱいっ、やだ、そんな、だめ、」
ちゅ、ちゅ、と何度もリップ音を響かせながら、歯で噛みつかないように気をつけて彼女の乳首をしゃぶる。口は一つしか無いが、もう片方の彼女の乳首は勿論指先で弄っていた。優しく、優しく、金庫破りをするように慎重に。けれど相手が慣れてしまわないように、時折指の腹ですりすりと優しく天辺を撫でる。
「んっ、何が『やだ』なんだか……んちゅ、ずいぶん、ちゅ、気持ち良さそうな声で……ん、っは……説得力ないッスよ。ほら、乳首どんどん硬くなってきた」
「きっ、もちいいっ、からっ、……や、あっ♡」
ラギーのペニスの向こう側。彼女の股間の硬さが増していく。
「乳首もアソコも……こんなにしちゃって……やらしーの」
「♡♡っひあん♡♡」
強く乳首を吸い上げ、同時にごり、と腰を押しつけると、一際強く反応があった。
「アンタの方がよっぽどエロいんスけど? すぐ感じちゃうんスね」
ぴくぴくとラギーの愛撫に合わせて反応する身体は、ラギーがのし掛かるだけで這い出る事もできないか弱さだ。普段は女か男かよりもただただガキだなという風貌にもかかわらず、今の彼女は雄を誘う立派な雌だった。
「はあっ……ん……♡ ちが、いつもは、っ、くぅんっ♡ こ、こんなじゃ」
彼女からは一度も聞いたことがないほど甘えた声に、ラギーの耳はピクピクと反応する。セックスの経験が無いとはいわないが、狙っていた獲物が快楽に耽る様に目眩にも似た感覚を覚えた。
(なんだ、これ……全然違う。やばい、ゴムつけねえと)
童貞を卒業した時の方がもっと冷静だったはずだ。ラギーはそのままむしゃぶりつきたい衝動を抑えて一度上半身を離した。彼女の上にまたがったまま、見せつけるように未開封の箱を手に取り、下着を下ろす。既に硬く勃ちあがったペニスは下着から勢いよく頭を振って姿を現した。それを監督生が真っ赤な顔で見つめるのを確認しながら、ラギーは彼女の目の前で箱を開ける。
「そういや、ゴムは持ってる? こういうの、相手に任せんのイヤなんで持ってきたんスけど」
連なる中身から一つをちぎり、個包装されたそれを破る。裏表を確認し、下生えを挟まぬように根元までしっかり付けると少し気持ちは落ち着いた。これでどのタイミングで射精してもまあ安心だからだ。自分に性病はないが、彼女はどうか分からない、その上彼女が雌である以上孕む可能性はある。考えもなしに避妊を疎かにするのは馬鹿のすることだ。
「あっ、えと、ブッチ先輩のサイズ知らないので……一応、一通りは……」
「どこにあるんスか?」
「枕の下に……ひえ」
監督生の返答を訊いて直ぐに、彼女の頭の脇から枕の下へ手を突っ込む。確かにいくつか硬い感触があった。
さっと取り出してみれば、確かにコンドームの箱が五つほど。サイズと種類はバラバラだ。獣人向けと書かれたローションまである。だが、その中に一つ見慣れぬものをみつけて、ラギーは首をかしげた。
「これは?」
「……フィンガーコンドームです」
「……一応聞きますけど、何スか、それ」
「指に付けるコンドームです……お尻の穴に指を入れるのは不潔なので……」
「アンタ、マジでオレのケツをどうにかするつもりだったんッスね……」
「浣腸もトイレに準備しましたし、ベッドのヘッドボードに掛けてあるタオルはその、汚れないように敷くためのヤツです……」
「用意が良いことで」
言いながら、これを使うタイミングなどあるのだろうかと思案する。まあ、別にラギーの指に付けて彼女に手マンしてもいいが、最低でも三本分。付けるのは面倒だ。それにどうせなら彼女がそのつもりをしていたらしいアナルに使うべきだろう。ラギーではなく、彼女のそこを拓くときにでも。彼女の言うようにアナルプレイはどうやったって不潔なので、ラギーの趣味ではないのだが。
「まあ今は良いでしょ。それより、アンタにもゴムつけましょうか」
「えっ」
「ゴム付けるならしゃぶってもいいかなあ」
「お、お願いします……」
「シシシッ……素直でイイ子ッスね」
それじゃあ、と彼女の下半身を包んだままの部屋着に手をかけ、ずり下げる。現れたのは、ラギーの持つ雄より少し大きいかと思う程のクリトリスだった。肥大化に合わせて包皮も長くなっているのか、見た目には確かに男性器のように見えなくもない。皮から出ている先端は亀頭のようにぷっくりとして、桃のようだ。特に今の彼女は彼女にとって未知なる種族、獣人。知らなくても無理はないように思えた。
けれど、ラギーは知っている。
「はあ~、エロいかっこ」
「う……」
「こーら。顔、手で隠さない。今更でしょ」
ブラジャーとおそろいの意匠が施された女性用のパンティからはみ出る、勃起したクリトリス。これで性衝動を煽られない方が無理だ。その上、部屋着越しに香っていた雌の匂いが濃くなり、ラギーは舌なめずりを我慢するのに苦労した。案外余裕がないことを彼女に悟られたくなかった。
「ほら、自分で脱いで」
「うう……!」
ラギーが腰を浮かせると、彼女も同じようにそうしてそろそろと下着を下ろしていく。その、下着の濡れ方が酷い。
「ぐっしょぐしょじゃないッスか。オレが来る前に一通り気持ちよくなったりした?」
「ちが……本当に違うんですっ いつもはこんな、」
「へえ。ならオレがちょっと触っただけでこんなに」
「……うぐ」
獣人化したのが影響しているのだろうか。個人差も大きいが、雌の獣人の中には明確に発情期が残る者もいて、コントロールするのにピルの服用をすると聞いたことがある。今の彼女にも発情期があるのかもしれない。校舎で彼女から雌の匂いがしたのはその始まりだった可能性は充分にある。聞かれないので教えるつもりはないが。
「まあ気持ちいいならいいけど。快感に振り回されてオレを抱くどころじゃなさそうッスね?」
「悔しいけどその通りですね……」
「まあ今晩ヤってれば慣れるかもしれないし。元気出して」
「ブッチ先輩の一晩分しか買ってませんが?! 実質三日間の内もう一日お値段そのままでお相手してくださる?!」
「別料金ッス」
「ひどい!」
「んなこと言ったってねえ。しれっと一晩から一日に変わってるし。最初の話と違うし。そもそも羽振り良さそうだったじゃないッスか」
「事故を起こした連中、お金持ちのボンボンだったので慰謝料ふんだくってやったんです。あの五万マドルは取り急ぎで寄越されたんで……。渡されたところ他の人にも見られてますし、あんな大金、直ぐに使うか誰かに使われないようにしないと絶対取られますし……。
でも! 残りの慰謝料も既に殆どグリムの食費とか最低限の部屋の修繕とか現物でお願いしてて、ラギー先輩の時間をもっと買えるような大盤振る舞いは無理ですよ! 逆に身体売るとかでもしないと……」
「アンタ結構ここに馴染んだよなあ。……それより、ここでウリで稼げるほどの技術も腕っ節もない弱っちいコが何生意気なこと言ってんスか。自分で今高額紙幣持ってたら取られるって言ったのにさあ。無料肉便器になりたいんなら止めませんけど」
「先輩が別料金って言ったのに……」
「だからって手段が現実的じゃなさ過ぎるでしょ……ったく、なんでそこまでしてオレのケツなんかに興味を……」
呆れもドン引きも通り越して純粋に疑問だ。にもかかわらず、監督生は「えへ」などと言ってはぐらかすつもりしかない言葉でへらりと笑うものだから、ラギーは他の男に抱かれようなんて考えつかないほど犯してやろうと心に決めた。
持ち主の許可は得ている。彼女の用意したコンドームの中から良さそうなものをと目を走らせた。
コンドームは未成年でも買えるものだし、なんなら売店で普通に取りそろえられている。正しい避妊具の扱い方などはミドルスクールで既に習う範囲だということもあり、余程爛れた性生活でもなければ――勿論勉学が疎かになるのはアウトだ――咎められることもない。
そしてナイトレイブンカレッジには多様な生徒がいるため、コンドームのサイズ展開や種類は多岐に渡る。彼女の用意したものは当然のようにどれも獣人向けのものばかりで、本当にこういう所なんだよなあ、とラギーの心中は複雑だった。
「……とにかく! 今晩のところはいただいた金額分、しっかり働くんで」
獣人でもゴムの匂いが感じにくいとキャッチコピーが入っているものを選ぶと、ラギーは先ほどと同じように箱を開けた。サイズはラギーにはもしかすると大きいかもしれないが、彼女の今のクリトリスには合うだろう。
(にしてもでかいッスね)
ラギーはクリトリスだと知っているからそれ以上の感情はないが、もし仮に、万が一これがペニスだったらと思うと男としてはプライドを刺激されたかもしれない。
「んっ♡」
包皮ごと彼女のクリトリスに触れると、それだけで気持ちが良いのか監督生の喉から甘い音が響く。
「兜合わせ……でしたっけ? さっきみたいのが良いならゴム付けた後やりますけど。……ローションでベタベタになりたくないなら、今のうちに全部脱いどかないと後が最悪ッスよ。ああ、下半分は脱がせるんでお構いなく」
「ひゃい……」
呂律の怪しい監督生は、またもラギーの指示に素直に従った。あまりにも従順すぎて拍子抜けするほどだ。
しかし、コンドームを付けるだけのラギーの手つきにさえもどかしそうに膝をすりあわせる彼女の姿は視覚情報の強さを知らしめてくる。そういう意味で侮れないのは確かだった。
監督生が部屋着の上とブラジャーを脱いでヘッドボードへ引っかけるのと、ラギーが彼女のクリトリスにコンドームを被せて、下着ごと彼女の服を脱がせたのは同時だった。彼の手から彼女の勃起しきったクリトリスが離れることはなかったからだ。そろそろと上下に扱き、彼女の意識を、理性を蹴散らしていた。
「あんっ、せんぱい、せんぱいっ」
監督生は腰をくねらせて、まるで早く先を欲しがるかのようにラギーを呼ぶ。
(先輩なんてたーっくさんいるでしょうが)
快感に夢中で気づいてない彼女に、自分を名前で呼ぶよう教え込む楽しみが一つ増えた。加えて、こんな空気になって尚ラギーを名前で呼ぶことのない彼女をみて疑問符が浮かぶ。酷く淫らな感度の割に、意図して相手を煽ることはしない。余程今までの相手が独りよがりだったか、経験が少ないか、そもそも初めてなのか。
(いや初めてで男を金で買うのは流石にないでしょ。……でも異世界人だしなあ……)
知りようもない文化の壁はこういう些細なところで致命的に立ちはだかってくる。器用に立ち回れるラギーにとって監督生は格好のカモだが、時折驚くほど無知で、だからこそ大胆で、故に要注意人物だった。
(最初は本当にそれだけだったんスけどねえ)
ずらしただけのデニムと下着を彼女の前で脱げば、既に耳まで赤くした監督生はやはりラギーを見つめていた。その目線はラギーの手元に釘付けになっている。
「せっ ん、ぱい」
「今度は何ッスか」
「そのパンツ、えっちすぎます……」
「アンタの感性、マジでわかんねえッスわ」
尻尾のある獣人はその身体の特性上、尻尾用に衣類には穴が開いていたり、制服のようにファスナーがあったり、ボトムの前と同じように後ろにもボタンがついていたりと様々で、無論それは下着についても同じ事が言えた。大抵は尻尾の上に引っかけるか、ハイウエストのデザインになる。ラギーが今穿いていたのはジョックストラップタイプの下着で、確かに臀部が丸出しになるが、ラギーにとっては一般的な下着の範囲だ。それを性的すぎると言われても困る。いや、確かにえてして異性の下着というのはそういう風に見えるものだが。
「私がヒモパン穿いてたり覆わなきゃいけない場所がぱっくり開いてて脱がなくてもえっちできるタイプのパンツ穿いてる感じって言えば伝わります?」
「アンタにそういう目で見られてるってことはじゅーぶん分かったッス」
監督生が何を思ってラギーに声をかけたのか。その一端を見た気がした。ラギーとしても雄として見られているのは一向にかまわない。だがそもそもの発端はラギーを抱きたい、だったはずだ。獣人化の影響なのか、いや、そもそも――
「異世界人ってみんなそうなんスかねえ」
「さあ……個人によるとしか……」
「でしょーね」
この監督生に喋らせるとどうもいけない。空気が緩い方へ流れてしまう。学んだラギーは、互いに全裸になった状態で改めて彼女の上に覆い被さった。
「確認なんッスけど」
「はい」
「オレを一晩買うって話の中に、キスは入ってます?」
ぺろりと唇を舐めながら訊ねると、監督生はまるでそのサービスは期待していなかったとばかりに何度も首を縦に振った。
「んじゃ、遠慮無く」
「は、んむ」
かぷ、と音がしそうな程の大口を開けて、ラギーは彼女の唇を塞いだ。同時にローションのボトルを引き寄せ、ぺりぺりと音を立てて新品の証したるビニールを引きちぎる。キャップを外して彼女の下腹部に向けて適当に絞り出せば、冷たさからか塞いだ口の奥からくぐもった声が聞こえた。宥めるように直ぐに手のひらで撫でれば、彼女の方から押しつけるように腰が揺れる。
「んやっ♡ あむっ、ん、しぇんぱ、ふぁ♡♡ んふ、っふ、ちゅ、んく」
「ん、なに」
唇に吸い付き、甘噛みのように歯を立てて、舌を吸い上げて唾液を混ぜる。何か言いたげな監督生の言葉を聞く気は、最早ラギーにはなかった。聞きたい言葉、嬌声以外はどうでもいい。腰を揺らして彼女のクリトリスにペニスを擦り付けつつ、ローションを絡めた手で二本の発情した肉棒を扱く。
「あっあっ♡♡ んっ♡ あ♡ せんぱいのて♡ おっきくて♡♡ あったかい♡♡♡♡」
ちろちろと舌先で彼女の唇を舐めていると、彼女が喘いだ。悪くない。
「アンタのとオレのちんこ、両方扱ける程度にはね……扱かれるの好き?」
「すき♡ すきれすっ♡♡」
「オレのとアンタのがくっついてんのは?」
「それもすきぃっ♡♡♡」
「そっかー。じゃあ、ちゃーんと見とかねえと。ほら」
キスと言うには一方的に蹂躙するような貪り方を止め、ラギーは上半身を起こした。彼女に見せつけるように、ローションにまみれながらお互いのものを扱いている光景を彼女の眼前へ持ってくる。
「♡♡っ♡♡♡」
「あ、すげえまたデカくなった。……オレに合わせて一生懸命腰振っちゃって……かぁ~わいいッスね♡」
ラギーのキスの所為で口元をべたべたにしたまま、監督生は浅い呼吸を繰り返していた。両手は使えるにもかかわらず無抵抗のままシーツを乱すだけだ。時折引きつるようになっている喉元からは、声にならない快感があるのだろう。察するには十分だった。
ラギーの内股から、彼女がもっとして欲しそうに両足をすり合わせているのが伝わってくる。ペニスをクリトリスに擦り付けながら、ラギーは扱いていた手を止めてさらに腰を浮かせた。
つつ、とラギーがまたがる位置よりも後ろにある彼女の内股へ指を這わせる。やや背をそらして重心を後ろに持って行き、強引にならぬようにそっと差し込めば、足の付け根を強張らせていた監督生は力を緩めた。ローションに塗れた手はぬるりと彼女の股座へ潜り込む。そのまま、ラギーは中指で彼女の膣口を探り当てた。一際柔らかく泥濘(ぬかる)んだ場所。ラギーの指を優しく押し当てれば、嬉しそうに飲み込むのがそこだ。
「見ぃ~つけた♡」
何の抵抗もなく中指が埋まっていく。ローションだけではない。彼女自身の愛液で濡れそぼったそこは、あっという間にラギーの中指全てを暖かく包み込んだ。くい、と中で指を曲げて肉壁の感触を探る。腹側のざらついた場所を指の腹でトントンと押してやれば、監督生の背がしなった。
「はあんっ♡ だめ、せんぱ、いっ♡♡♡」
「え? もっとして欲しいって?」
「ああんっ♡♡♡♡」
一度指を抜き、体勢を変える。彼女の上に馬乗りになっていたのを、今度は彼女の足の間に自分の膝が来るように。そうすれば、目でもちゃんと彼女の身体のどこになにがあるのか分かる。
「ねえ、分かる? アンタのおまんこが物欲しそうにひくひくしてるの」
「やあっ……い、わないで……ください……」
「自覚はあるんッスね」
彼女の膣口が物欲しそうに動いていた。今すぐにでも自分のペニスをぶちこんでしまいたい。それを喉を鳴らしながら我慢して、ラギーは再び指を入れた。次は二本。
「んあっ♡ やっ♡♡ ふと、い♡♡♡」
「あーあ。もう二本も入っちゃった」
普通なら急すぎるそれも、今の彼女には丁度良いのか、喘ぎ声しか出てこなかった。
鍵を開けるように手首をゆっくりと捻って指で中を刺激する。二本の指で彼女の膣口を広げるように意識して動かしつつ、同時にもう片方の手でクリトリスを扱くと、監督生の足が面白いほど戦慄いた。足が自然と大きく開き、膝を軽く曲げるようにして腰をくねらせる。
「こんなに気持ちよさそうなのに、止めちゃっていいんスか?」
「ちがっ、いいのっ、いいからっ♡♡♡♡♡♡ も、うっ♡♡ イっちゃ♡♡♡♡ あっ♡♡♡♡♡」
ラギーの指をきゅうきゅうと締め付けていた内壁は、膣口を残してラギーの指から離れた。中に空間ができたのを感じながらも指を止めずに一定のペースで微かに抜き差ししてやると、今度はまた指全体をきゅうきゅうと締め付けてくる。何度かそれを感じた後、
「くぅんっ♡♡♡」
子猫とも子犬ともつかないような幼気な声で監督生が鳴いた。何かがとりついたようにも見えるほど大きく身体を跳ねさせて、動きが止まる。
「はっ……♡ はあっ……♡♡」
「初っぱなから中イキできるなんて、ほんっとエロい身体ッスね」
「んぅ……♡」
指を止め、宥めるように唇に軽く吸い付くと、彼女の中がまた締まる。ラギーは反省した。獲物が美味すぎて先を急いでしまったが、いきなりメインディッシュに手を伸ばしてしまうとは不覚だった。一回ではなく一晩なのだ。――もっと味わわなくては。
「じゃあ、約束のフェラ、してあげる」
指を抜き、彼女のハイエナ耳にそう囁きかけながら耳の背の根元を唇で食むと、監督生は甘えたように喘いでうっとりとラギーを見上げた。柔く白い肌を目線で舐めながら、未だ勃起したままのクリトリスを見下ろす。
「そういやさあ、アンタ、獣人になったとき先生になんか身体調べられたりしなかったんスか?」
「……せんせい、は……変化しただけって、別に、なにも……」
未だ余韻が引かないのか、息を整えながら監督生が答える。
「獣人特有の病気とかも?」
「そもそも、入学の時に本当に色々調べられて、健康的に問題ないことは学園長のお墨付きなので……多分、ない、かと」
「ふーん。……なら、ゴム、外しましょっか」
「……へ?!」
「学園長のお墨付きで病気ないならいいでしょ。一応ローションは獣人向けの奴ッスけど、口ベタベタになるし。腐ってないなら味に好き嫌いはないけど……アンタの味、わかんないでしょ? どう?」
ラギーがそう言ってにんまり笑うと、監督生は突然のリップサービスに混乱したらしく、「情報量が多い」とか細い声で鳴いた。
「これ以上無いまでにちゃんと理由言ったじゃないッスか。で? 返答は?」
「愚息をよろしくお願いします……」
「はい、お願いされました」
彼女を包んでいるコンドームを外し、獣人向けとは言え微かにゴム臭さはあるものの、ラギーはそれを口に含んだ。クリトリスはペニスと似ている。敏感で、優しく舌先で舐め上げて先端をちゅぱちゅぱ甘やかしてやれば、監督生は直ぐに我慢できない様子で喘いだ。
「あっあっ♡ せんぱいっ♡ なんで、そんな……っ♡♡ 気持ちいいトコ、知って……っ♡♡♡♡♡♡」
「はむ、セオリーってもんがありますからねえ……ちゅ、んちゅ、サオは舐められるより皮ごと扱かれる方が良さそうッスね?」
「♡♡♡♡♡♡」
微かに聞き取れるほどの音量で、監督生は息を詰めて快楽を耐えているようだった。腰がかくかくと揺れて、涙をためた両目がラギーと、ラギーがしゃぶっている彼女のクリトリスを見る。
「せんぱいがっ……私のおちんちんしゃぶってる♡ すごいの見てる♡ せんぱいの顔にいっぱい出したい……っ♡♡ 先輩のおくちまんこ暖かくて♡ 柔らかくて♡ とろとろで♡♡ 最高……♡♡♡♡」
蕩けきった顔でそんなことをのたまう彼女に、ラギーは見せつけるように彼女のクリトリスを愛撫しながらまだ減らず口をたたけるのかと呆れた。
気持ちよさそうに腰を振って可愛く喘ぎ倒してると思ったら、そんなことを考えていたとは。あの手この手で可愛がってやろうと思っていたのに。ラギーを上機嫌にさせる蕩けきった顔で
「せんぱいの顔にかけたいっ♡♡♡ びゅっびゅって♡♡ 顔射したいですっ♡♡♡」
ラギーに好き放題されておきながら、そんなことを言うものだから。ラギーはそんな彼女にお前は狩られる側だと突きつけたくなった。
皮を剥きながら彼女のクリトリスを喉元までくわえ込み、じゅぶ、ちゅく、、と音を立て頭を動かして唇で扱きあげる。舌で先端をぐりぐりとなめ回し、激しく音を立ててぺちゃぺちゃと舐め嬲り、もう一度彼女のクリトリスを吸いながら口でくわえる。
「あ♡ あっ♡♡ せんぱいっ♡♡♡ せんぱ♡♡ あ♡♡♡ そんな吸われたら♡ イっちゃう♡♡♡ おちんちんイっちゃいましゅ♡♡♡」
それに言葉で答える暇はない。ラギーは監督生の言葉に反応する代わりに、強く吸い付いた。
「ひ、ぃ――っ♡♡♡♡♡♡」
監督生が、ラギーの口から逃げるように腰を引く。それを許すはずもなく、ラギーは自分が満足するまで吸い付き続け、ちゅぽ、と音を立てて口を離した。
頭を上げて彼女を見遣る。目尻から涙を流しながら、微かな声と共に息をする彼女の様子に多少は胸がすく思いがした。といって、この程度で済ますつもりはない。
「……オレの顔にぶっかけたいなんて、大胆ッスねえ。いいッスよ? まだまだこっちはビンビンだし」
「あうっ♡♡♡」
ちう、と先端に軽く吸い付くと、監督生は首を横に振った。
「そこは、もうっ、……強くされたら、怖い……です……っ」
「痛かった?」
ラギーの問いに、さらに首が横へ振られる。
「きもち、よくて」
息を整えながらそう答える彼女に、ラギーはにんまりと笑った。
「ねえ、アンタさ、さっきイっちゃった? まだッスよね?」
「え、」
「まだこんなにおっ勃ってるし、おしっこ出るような感覚じゃなかったでしょ。それ、まだイけてない証拠ッス」
「あ、でも、あの、」
「……今度はちゃあんと、オレの顔にかけないと。ね?」
ラギーの物言いに違和感を覚えたのか、彼女が狼狽える。ラギーの考えていること、彼女が思い違いをしていることを悟られる前に、ラギーは彼女の下腹部に残ったローションを使って優しく彼女のクリトリスに指を這わせた。
「ひぁ、ん♡」
大げさなほど身体が跳ね、高い声が出てくる。すかさずもう片方の手で彼女の膣口を撫で回せば、いやらしく腰がくねる。
「ああっ♡」
「うわ、さっきよりも濡れてる。分かる? アンタのおまんこ、栓を閉め損ねた水道の蛇口みたいッスよ。どんどん溢れてくる」
人差し指と中指を浅く入れて、わざと音を立ててかき回す。溢れてくる彼女の愛液は乾くよりもずっと早く次から次へと湧き出しラギーの指を濡らし続ける。くちゅくちゅとした音は直ぐにぐぷ、ぐちゅ、とした大きなものへ変わった。音を拾う度に彼女のハイエナの耳がぴくぴくと震える。
「あんっ♡♡♡ なか、そんな♡♡ かきまぜちゃ♡♡ だめっ♡♡♡」
「どうして? こ~んなに気持ち良さそうじゃないッスか。こっちだって……オレに触って欲しそうにしちゃって……♡」
言いながらクリトリスをそろそろと撫でていた手で円を描くように先端に触れる。監督生は懸命に首を横に振っていたが、それでも彼女の腰はラギーの手を求めるようにかくかくと動いていた。
「へん♡ へんなのっ♡ なんか漏れちゃう♡♡ 漏らしちゃうう♡♡♡」
彼女の膣を犯していたラギーの指がきゅうきゅうと締め付けられる。ラギーは最早舌なめずりを隠す事もせずに彼女を責め立てた。彼女の中、女にあるという前立腺辺りをリズム良く押して、それに合わせて彼女のクリトリスを扱く。まるでそこからなにかを掻き出すように。
「いいんスよそれで♡ ほら、漏らしちゃえ♡♡」
「やらああああっ♡♡♡♡♡」
監督生はラギーの手から逃げるようにして足裏に力を入れて腰を高く上げた。その拍子に指が抜け、同時に、彼女の股座から勢いよく液体が迸る。彼女の望み通りそれを頬で受けたラギーは、伝った液体を舐めとった。量は多いわけではないが、潮吹きには違いない。尿とは違って匂いも味もあまりしないが、雌の匂いで鼻が効きにくい所為だろう。不快に思うこともなかった。
「いっぱいおしっこ出せて良かったッスね♡ 上出来、上出来」
ぴゅっと潮を吹いてラギーを濡らした後、彼女は何度か腰をもどかしそうに揺らしてベッドの上へ落とした。彼女の潮を浴びて濡れるラギーを、信じられないような顔で力なく見上げてくる。格好の獲物。食らうに値する表情だった。
「ちんぽから出なくてびっくりした? アンタさあ……前に『ハイエナのことなら任せてください』とか言っときながら全然知らないんスね? ハイエナのメスのアレはちんぽじゃなくて疑似ちんぽでしかないわけ。獣人の雌に生えてるように見えてんのはでっかいクリトリス。だからアンタのこれはクリチンポなの。わかる? アンタにできるのは射精じゃなくって潮吹きなんスよ♡」
ラギーの背にゾクゾクと快感が這い上がった。ネタばらしをする時の獲物を前にすると、どうにもこれ以上の我慢が耐えられなくなり口角が上がっていく。
「えぅ、なん、」
「どこまで行ってもアンタは雌で、オレは雄ってことッスね。分かったら上手に潮吹きできるようになりましょうね?」
にっこりと笑顔を見せると、ラギーは監督生が用意したヘッドボードのバスタオルを雑に引き寄せて、ベッドのスプリングを使って素早く自分たちの下に敷いた。それを見た彼女が何を思ったのかは想像に難くない。
「やうっ♡」
「今更嫌がったって止めるわけねえよなあ?」
引き上がった口角もそのままに、ラギーは自分のペニスを彼女の膣口に擦り付けた。愛液ともローションともつかない滑(ぬめ)りをつかって、亀頭で膣口を広げ、ちゅぽちゅぽと出し入れする。その度に彼女の口からは嬌声が溢れた。
無抵抗なのは、心持ちがどうであれ、結局の所今の状況を受け入れているからだ。そもそもこの行為は合意の上だし、ラギーは彼女を痛めつけるつもりはない。
ただ、この行為を経てラギーという雄の身体に心底堕とされて欲しいのだ。
「知ってる? ハイエナの雌は疑似ちんぽを身体の中にしまってそこに入れるんス。だからオスと見分けがつきにくいんスよねえ。でもアンタのココ、ちゃあんと人間のおまんこついてるでしょ? びしょ濡れになってやらしーなあ。こんなんじゃ誰でも突っ込めちゃうじゃないッスか。それとも、誰でもいいんスか? オレじゃなくても? そうッスよね、最初はオレに入れたいとか言うくらいだし」
「ちがっ♡♡ それ、はあっ♡♡♡♡」
焦らすようなラギーの動きに、監督生は快感に思考を乱されながらもどうにか返事をしようと試みる。最初に否定の言葉が齎され、ラギーの耳はぴくぴく動いた。――気分が良い。すごく。
「ふーん? オレがいい? オレじゃなきゃ嫌なんスか? オレのちんぽ欲しい?」
ぐぷぐぷと、カリ首が入りきらない範囲で彼女の膣口を広げ、腰を揺らして何度も出し入れし、焦らす。自分の我慢の限界も近いが、獲物の首元に噛みついて、自分の胃に収めるまでが狩りだ。それに、彼女から聞きたい言葉を引き出すのは自分が射精し快感を得ることよりもラギー自身が欲することだった。
「ほしいっ♡♡♡ ほしいれしゅ♡ しぇんぱいのおちんちんっ♡♡♡ はやく♡ はやくう♡♡♡」
「誰の事言ってるのかなあ? オレは先輩だけど、オレじゃないとイヤなんでしょ? オレの名前は?」
「らぎー・ぶっちせんぱいっ♡♡♡♡」
「名前だけでいいッスよ」
「らぎー、せんぱいぃっ♡♡♡ はやく♡ くらしゃい♡♡♡」
「ええ? 何をッスかあ?」
「らぎーしぇんぱいのおちんちんっ♡♡♡ もっと♡♡ もっとおくまでほしいっ♡♡♡♡ おねがい♡ おねがいひましゅ♡♡♡♡」
「はあい♡」
腰を動かしてラギーのペニスを迎えようとする監督生を押さえつけて、ラギーは彼女の膣口に当てていた亀頭をゆっくりと彼女の中へ埋めた。柔らかな肉壁はラギーのペニスをあっさりと受け入れ、飲み込んでいく。
「あ♡ くる♡♡ せんぱいのおちんちんっ♡♡♡ ふああっ♡♡」
「もー、先輩だけじゃダメッス。名前言わなきゃ」
「あん♡ らぎーしぇんぱい♡♡ すき♡♡ おちんちんふとくて♡♡ おくまでっ♡♡ しゅごい♡♡ きもちい♡ ふあ♡♡♡」
「はあっ……♡ すげ、中、うねってる……」
ラギーのペニスを奥へ奥へと引き込むように、限界まで入れた後は吸い付くように監督生の膣内は妖しく蠢いていた。それだけでフェラチオよりもずっと気持ちがいい。腰を軽く揺らすだけで、堪らない快感がラギーの腰で生まれて溜まっていく。
一度腰を引いてペニスを出し、カリ首で引っかかるギリギリまで抜いた後今度はぬめりのまま腰を打ち付けると、ぱちゅんと肌がぶつかった。彼女の奥で亀頭がこりっとしたものを掠めて、その気持ちよさといったら、もう我を忘れそうな程。
「ああん♡♡♡♡」
「んくっ♡ アンタの中、最高……♡ アンタのおまんこオレのちんぽの形にしていい? いいッスよね? すっかり馴染んじゃって、オレ以外じゃ気持ちよくなれなくなっちゃってもっ♡ オレがいいんスもんね? いいでしょ?」
柔らかくもしっかりとラギーのペニスをくわえ込み絡みついてくる感触に、ラギーは腰を揺らし続けた。監督生の腰をしっかりと両手で押さえようとして、ローションのせいで掴み損ねる。思わず爪を立てそうになって、ラギーは咄嗟にシーツでローションを拭い取った。敷いていたバスタオルで彼女の腰を包み、掴み、腰を振る。
「あんっ♡ せんぱいのおちんちんきもちいいっ♡♡ はじめてなのにっ♡ せんぱいのおちんちんでイっちゃうくらいおまんこえっちになっちゃう♡♡♡♡ せんぱいのかたちおぼえてっ♡♡♡ せんぱいじゃないとイけないカラダにされちゃう♡♡♡♡♡」
ラギーが快感を追いかけるように、監督生もこの淫蕩に耽っていた。口から漏れてくるのは考えた末の言葉ではなく、ただただ互いの性感を煽る反射のような本能的なものだ。
「はあっ♡ これで初めて? 初めてなのにちんぽで中イキしそうなんだ? やらしー♡ オレもアンタのおまんこにすげーしゃぶられてすぐイきそ……♡ アンタの中でゴム越しに精子ぶちまけていい?♡」
「いいっ♡♡ いいれしゅ♡♡ いっぱいだして♡♡」
ぱちゅぱちゅとラギーの腰を振る速度に合わせて肌がぶつかる音が変わる。
大きいストロークは小刻みなものへ。それに合わせて監督生の声が徐々に高く、追い詰められていく。
「あっ♡♡ イく♡♡ イっちゃうっ♡♡ イくイくっ――♡♡♡♡」
ラギーは膣の収縮を感じながら、搾り取られるままに任せて彼女の中で思い切り射精した。
「んっ……♡♡♡」
びゅくびゅくと快感が腰へ刺さり、抜けていく。腰を掴んで、自分の腰を押しつけて、奥へ精子が届くようにと腰がねっとりと揺れる。
「んん……♡」
二人の間で荒い息が絡まった。散々お互いの気分を高め合った果ての絶頂に、頭が痺れるようにぼうっとする。普段ならこんなに無防備ではまずいと理性が叱るけれど、今はそれも無い。嫌な感覚では無かった。
「……アンタ、ホントに初めてなんスか?」
「はあっ……♡ ん、はい……一人でならそれなりですけど……」
別にそこまでは聞いてない。だが、監督生の言葉通りならば、彼女の今のハイになっている状態は発情期によるものとするのが妥当だろう。
しかしラギーにとって、今やそんなことは二の次だった。
ゆっくりとペニスの根元、ゴムを指で支えながら腰を引く。射精を経たにもかかわらず一向に萎む気配がないのは彼女の発情に引きずられているからだ。カリ首で監督生の膣口を傷つけぬようにゆっくりと目で見て確かめるように引き抜けば、ぴゅっと少しだけ愛液があふれ出す。その後には、ラギーのペニスに合わせて拓かれた膣口がぽっかりと開いているのが見えた。他にも、ラギーの下腹部は愛液やローションでは説明がつかないほど濡れて、彼女の下に敷いていたバスタオルまで随分と濡らしていた。さっき綺麗に潮吹きをしたと思ったが、どうやらまた出たらしい。一人の時もそうなのだろうか。体質かどうかはラギーには分からない。ただ、ラギーの性欲を煽るには充分だった。
ちら、と監督生に目をやれば、どこか眠そうにも見えるうっとりとした顔が確認できる。
(これで終わりなワケないでしょ)
口には出さず、ラギーはさっとコンドームを外すと口を縛った。それから、脇に押しのけられていた箱からまた一つ新しいものを取り出し、付ける。
「え? せんぱ」
「名前」
「……ラギーせんぱい?」
「何ッスか?」
「それは一体?」
「勃起したオレのちんぽッスね」
「ふぁ?! どうして?! まさか絶倫……?!」
「どーしてもこーしても。アンタの気が収まるまではそーなんです」
さて、とラギーは改めて監督生の隣に身を横たえた。
咄嗟に距離を置こうとする彼女の身体は、今までにない快感の余韻がまだあるのか、頭を僅かに反らすことしかできなかった。
「おっと、あんまそっちいくと落ちて危ないッスよ」
「あの、ええと、つまり……どういうことでしょうか……」
「まだまだ一緒に気持ちよくなろうってことッスねえ」
「ひえ……」
「この内容だったら、五万マドルは正直貰いすぎなんで」
もっともらしいことを言えば、監督生はそういうものかという顔をした。
(……そういう所が!! カモでしかないんスよ!!)
理不尽な憤りを向けながら、ラギーは監督生の腰に手を這わせ、自分の体を彼女へ近づける。ぎし、とベッドから文句が出たが、気にするはずも無かった。
「さっきは激しくしちゃったんで……今度はゆっくりしましょ♡」
腰から太ももへ手を移し、監督生の片足を持ち上げる。最早ローションなどなくとも充分にラギーを受け入れるに足る愛液の量は、新しくコンドームを付け直したラギーのペニスを改めて濡らした。
何度かすりすりと彼女の股座へ擦りつけ、膣口を探る。顔の距離が近いせいで、監督生がどこを見ていれば良いのか狼狽えるのがラギーにはよく見えた。結局、快感のせいか、どこか恥ずかしそうに目を伏せる。それを少し勿体ないと思った。
「っ♡」
「あ、ここッスね」
ラギーの亀頭がくちゅ、と容易く沈み込む場所。泥濘んだままのそこは、普通なら入れにくい角度でもラギーのペニスをゆっくりと飲み込んだ。
「足、降ろしていいッスよ。力抜いて。……そう。腕はオレに回して」
持ち上げていた彼女の足を降ろしてそう促すと、彼女は言うとおりにゆっくりと力を抜いた。自然と膣が締まる。ラギーは動いていなくても膣圧だけでこんなに気持ちいいのかと感じ入った。お互い向き合ったままで繋がり、抱き合う。彼女の胸に膨らみの感触も、それを目で楽しめることも心地よかった。
「ラギー先輩、あの、これは、」
「ん~?」
すり、と頬ずりをすれば、ラギーの腕のなかで監督生からもおずおずとすり寄ってくる。これでいいのだろうか、という戸惑いや躊躇いが窺える挙動に、ラギーは彼女の背に回していた腕の内、片方を腰の付け根へ遣った。
「ひうっ♡」
尻尾の付け根。一部の獣人はそこに性感帯を持つことがある。
「シシシッ♡ 中、締まったッスね。気持ちいい? 尻尾近くのここ、触られるとすげー良いんスよねえ……♡」
小指以外の指先で、尻尾の付け根を摘まむようにしながら優しくくりくりと動かす。そうすると、彼女の耳はぴるぴるとせわしなく動き、ラギーがペニスで感じている彼女の肉壁は疼くように締め付けてきた。彼女が逃げ腰にならないように、もう片方の手は腰に添えたまま、反応を味わう。
「んっ♡ どうッスか? 気に入った?」
顔をのぞき込むと、眉尻を下げて泣きそうな不機嫌そうにも見える程顔をゆがめた表情が見えた。けれど、小さくとも確かに甘やかに鳴く彼女の声を聞けば分かる。快感によるものだと。
「この体勢じゃあんま動けないッスけど、その分手が自由になるんであちこち触りやすいんスよね」
顔を見られたくないのか、監督生が頭を窄め、ラギーの首元に押しつけてくる。そうすると彼女の耳が丁度ラギーの口元に来ることになるが、監督生は気づいていないようだった。これが本当に獣人同士であったならば明らかに相手を誘っている所作なのだが。
その上、生憎と折角教えたというのに監督生がラギーの尻尾に触れてくる気配はない。思いつくほど余裕がないか、快感を追いたいのだろう。
「……っ♡♡ らぎ、せんぱ、いっ♡ だめ、イっちゃ、また、」
微かな声を拾う。ただの人間なら聞き逃しそうな声量でも、ラギーには容易だ。しかし手を緩めはしなかった。寧ろ彼女の耳を軽く食み、刺激を増やす。
「っ♡」
ぴくん、と腕の中で彼女の身体が強張り、弛緩する。強張る直前、彼女の中がラギーの雄を欲しがるようにきゅっと収縮し、彼女が軽く達したのを感じた。
「全然動いてないのに、尻尾の付け根くりくりされるだけでイっちゃった?」
ちゅ、と耳の付け根にキスを繰り返しながら、意地悪く囁く。
「ん……♡ やあ、だめ♡ みみ、だめ♡ らぎー、せんぱい……っ♡」
「なんでッスか? もっと気持ちよくなっていいんスよ?」
監督生の方から腰を押しつけるように動かしてくるのを感じて、ラギーはほくそ笑んだ。それが、上半身を離そうとする動きの反動であっても、なんでもいい。足を絡めて、ラギーからも腰を擦り付ける。
「オレのちんぽ気持ちいいッスねえ♡ 次はどうします? おまんこの口元カリでいじめられるのと、奥のこりこりしたとこ押されるのとどっちが好き? 早さは? 次はゆっくりトントンされたい? さっき以上に獣みたいにがっつかれてどちゅどちゅ激しくヤられんのがいい?」
「――♡♡っ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「シシシッ♡ 想像しただけでイっちゃった? ほんと、やらしくて最高♡」
ラギーは監督生の身体を抱えるようにして正常位に戻した。後背位でそれこそ獣のように抱くのも悪くないが、今夜は金を貰っている身だ。彼女の反応が拾いにくいのはまずい。それに、彼女の声や表情をダイレクトに耳と目で浴びる方が、今はいい。
夢うつつのような顔でラギーを見る監督生の身体はくったりとしているのに、膣だけはきゅんきゅんとラギーのペニスに何度も吸い付いてくる。
「奥だと何回でもイけそうッスね。そんじゃ……もっと奥、いっぱいシましょっか♡ いっそのこと、使えるゴムがなくなるまでする? 一晩って話ですもんね♡」
浅い吐息。いくつか目尻から涙が流れた跡のある、潤んだ瞳。ラギーは目の前の獲物を見下ろし、今一度自分の歯を意識させるように笑いながら自分の歯列を舌でなぞった。
2020/11/15 pixiv掲載 2020/11/23 UP